窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「軍師官兵衛」第44話「落ちゆく巨星」

出演

粗筋

  • 豊臣秀吉の老醜を描く。
  • 秀次に対し、秀吉は当初は出家させて追放でよいと思っていたが、淀にけしかけられ、結局切腹、妻子も皆殺しという過酷な裁定を行なう。
  • お拾は秀頼と名を改める。
  • 母里太兵衛、飲み比べに勝ち福島正則から槍の日本号を手に入れる。これがのちに黒田節に歌われるエピソード。
  • 第二次朝鮮出兵。官兵衛も出兵することに。武功をあげるためではなく、被害を最小限に抑えるため。
  • 官兵衛の次男・熊之助も出兵したいと言い出すが、官兵衛・長政は許さない。万が一の時に黒田家から男が三人いなくなると困るから。しかし吉太夫を連れてこっそり家を出て行く……

雑感

タイトルを見て、秀吉が死ぬのかと思ったが、まだ死なない。

秀次事件は、その過酷な処遇に多くの反発を買い、豊臣家臣団の対立が深まった。また数少ない秀吉の血縁(秀次は甥)を減らすことになり、豊臣家の力を自ら弱めることになったのだが、ドラマでは単に秀吉が年を取って、秀頼のことしか考えられなくなり、淀の言いなりになっている様子が描かれるにとどまった。その代わりに秀吉がおねしょをする場面は描かれた。日本史上有数の人気者である秀吉の晩年の醜いありさまをここまで描いたドラマは、これまであまりなかったのではないか。

一方、秀吉はどんどん年老いていくのにおねが全く歳をとらない。毎年そうだが、老け役をやらせると女優さんが嫌がるのだろうか?(そんな莫迦な)

朝鮮出兵はかなり危険に満ちた戦で、確かに官兵衛・長政ともに命を失う危険はあった。たとえ熊之助が幼くなくても、連れて行くわけにはいかなかっただろう。熊之助は、父や兄の若い頃がそうだったようにいけいけドンドンで、早く初陣を飾り手柄を立てたい気持ちではやるのはわかるが、そうした状況を全く理解できていなかったのが残念。

それにしても、太兵衛に息子がいたとは驚いた。いや結婚していたとは知らなかった。善助が嫁を取ったので、年齢的にも、太兵衛、九郎右衛門とも嫁をもらってもおかしくないのだが。こういうシーンを描くなら、もう少し前振りがほしかった。熊之助は何度も出てきたのだから、その遊び相手として登場させておくとか……。

公式サイトで、速水もこみちが、突然息子が登場して驚いたと言っており、ああやっぱり、役者さんにとってもそうなんだと妙に納得した。今年の脚本は、あるシーンを描くことしか考えていなくて、そのシーンをリアリティをもって描くためにどのくらい前から仕込んでいくかといった計算がまるでできていない(としか思えない)。ダイジェスト大河と揶揄されるゆえんである。

(2014/12/21 記)

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