窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「麒麟がくる」第二十三回「義輝、夏の終わりに」

あらすじ

光秀は信長の上洛を促すべく尾張に向かった。が、信長には、美濃攻めが忙しくてそれどころではないと断わられる。将軍からの手紙を渡すも、中を読んでもらえない。さらに、重臣と戦略会議を開くから、以後の話は別の者に引き継ぐと言って登場したのが木下藤吉郎であった。

藤吉郎百人組の頭で、信長から「見どころのある奴」と言われるが、「重臣と戦略会議」には参加できない身分の者。不機嫌になる光秀に藤吉郎は、料理や酒を振る舞いつつ、「京では将軍様が狙われているという噂をご存知か」と打ち明ける。初耳の光秀は「まさか」と否定するが、糸を引いているのは松永久秀で、信憑性の高い話だという。

光秀は、慌てて尾張を出て大和に向かい、松永と会う。松永は、義輝は公職を放棄して好き勝手に振る舞い、もはや将軍職にふさわしくないのだという。しかもそこには細川藤孝がいた。細川も義輝を見限っていたのだ。

失意の光秀は京へ戻り、義輝と再会。信長は上洛しない件を報告する。義輝は、自分のために動き回ってくれた光秀に感謝の意を伝えるとともに、だが遅かった、もっと早くそなたと会いたかったと告げる。

半年ぶりに越前へ戻ると、自宅には門ができており、家もなにやらきれいになっている。朝倉義景が本当に面倒をみてくれて、十分な金子をくださっていたようだ。帰宅前に朝倉義景に会い、これまでの顛末を報告すると、義景は「やはり」とつぶやき、下手に野心を抱かず、目の前のことだけ考えるのが良いと言ったという。久しぶりに会う妻子の顔を見て、その通りかも知れないと光秀は思う。

駒は東庵の家が強盗に襲われたという話を聞いて、急ぎ帰宅。中はすごい有様で、およそ金目のものはすべて盗られており、東庵も右腕を骨折していた。薬も、米も味噌もない、右手をやられたから料理をすることもできないと東庵は嘆く。ちょうどそこへ伊呂波太夫が訪ねて来る。お駒ちゃんの薬がほしいという寺社があって、7貫(約100万)分ほど注文を取りまとめてきたんだけど! と言うと、東庵は、とりあえずそれを売って当座をしのごうと言い出す。こうして駒の薬は公認されたが……

雑感

ぞくぞくする話だった。どの辺がぞくぞくしたかというと、光秀の頭は悪くないのだろうし、四書五経などの知識も豊富。だが、長い間の浪人暮らしで世の中からすっかり取り残されてしまっていることがだ。京に行って将軍にまで会っていながら、肝心なことは何一つ見ていない。尾張の田舎で戦に明け暮れ、京など行ったこともないであろう藤吉郎の方が、よほど京の事情をつかんでいる。

思えば、細川が越前に来た時に、義輝様は仕事をせず自分勝手なことばかりする、それを注意するわれわれは遠ざけられると言ったことを、話半分にも聞いていなかったのだろう。事情をよく知らない、義輝とも数回会っただけの光秀は、義輝こそが武士の棟梁と思い込み、しかも自分の目をかけてくれているので感激しているが、日々義輝のそばにいた細川らには、別の景色が見えていたということだ。

東庵先生の家を襲った盗賊は伊呂波太夫の差し金ではないかという説をネットで読んだ。駒の薬作りに反対する東庵が、許可せざるを得なくするため。それは駒のためではなく、自分が仲介手数料を稼ぐため。まさか、と思ったが、伊呂波太夫ならそのくらいのことは顔色を変えずにやりそうだ。真相はいかに?



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(2020/9/16 記)