概要
まひろは倫子から道長との関係を問いただされ、二人のこれまでを打ち明ける。全てを知った倫子は驚きと共に、ある願いをまひろに託す。その後、まひろは「源氏物語」に興味を持った見知らぬ娘と出会い、思わぬ意見を聞くことに。やがて時が経ち、道長は共に国を支えた公卿や、愛する家族が亡くなる中、自らの死期を悟って最後の決断をする。まひろは道長が危篤の知らせを聞き……。(NHKオンデマンドより)
倫子は最初はまひろに妾にならないかと持ち掛けるる。そうすれば殿も元気が出るのでは、と。が、まひろは7歳で出会ったこと、母の仇の弟だったこと、などを話してしまう。二人の結びつきの深さ、長さを知った倫子は取り乱し、「そのことは死ぬまで誰にも口外しないで」と言って去る。もちろん妾の話はなし。
が、いよいよ道長の具合が悪くなってきたら、倫子はまひろの許へ百舌彦を使わし、「殿に会いに来て」と頼む。魂を繋ぎとめてほじいと。まひろは道長に会い、その手を握り、「サブロー物語」を語って聞かせる。
偶然知り合った娘(菅原孝標の娘)が「源氏物語」の大ファンで、まひろを作者と知らず、作品の魅力を熱く語る。
まひろを訪ねてきたききょうは、自分たちの書いたものがお上に読まれ、政にも影響を与えたことを言い、「私たち、結構すごいことをしましたよね」と言って笑う。
まひろの家では、いとが為時を惟規と思い込んで「若様」と呼び、乙丸はまひろを「姫様」と呼ぶ。いとが話しかける下働きの女はきぬではない。まひろが「私もまた旅に出ようかしら」と言い出すと、乙丸が「私を置いて行かないでください、どこまでも、どこまでもお共しとうございます」とすがる。
乙丸を連れて旅に出たまひろは、双寿丸らの一行とすれちがう。東国で戦が起き、自分らは朝廷軍に加わるのだ、と。彼らを見送るまひろは「道長さま、嵐がきます」とつぶやき、カット・アウト。
感想
- 今日は満月(コールドムーン)。さすがにこれは狙っていたわけではないだろうけど。
- 倫子は二人の仲を察していたとはいえ、ここまで深い結びつきがあったとはさすがに想像しなかっただろう。「あなたは殿だけでなく娘も私から奪ったの」と叫ぶ。倫子は彰子とも必ずしもいい関係を結べておらず、いろいろなものに奪われたと感じていたのか。まひろも、何もそこまで言わなくてもと思ったが、訊かれた以上、せめて正直に語ることが誠意だと思ったか。が、賢子のことは口にしなかった。
- 最後の最後で倫子はまひろを呼び、道長はまひろと極上の時間を過ごすことが出来た。そのシーンに感動した人も多かっただろうが、その時の倫子の心境を考えると切ない。結局倫子って、赤染衛門という忠実な従者はいたけれど、友もおらず夫からも愛されず、最後まで孤独だったな……。
- 一話から登場していたのは藤原為時、いと、乙丸、百舌彦の四人。実資は二話から。乙丸、よくぞ最終話まで生きていてくれた。「どこまでもお共しとうございます」に泣く。まひろにとっても本当のバディは乙丸だった。
- きぬは亡くなったのだろう。そのためもあって、乙丸の頭の中はきぬと出会う前に戻ってしまった。だからまひろのことを「お方様」ではなく「姫様」と呼ぶ。姫が出かけるなら自分がお共せねば、と思ったのだろう。
- よいドラマというのは、役者がみな名演技をするものだ。お互いに触発され、いいものが引き出されていくということもあるのだろう。MVPを選ぶのは難しい。吉高由里子、柄本佑、黒木華ら中心人物は無論として、ファーストサマーウイカのききょうも当たり役だったし、秋山竜次の藤原実資もよかった。凰稀かなめの赤染衛門、高杉真宙の藤原惟規、塩野瑛久の一条天皇、見上愛の藤原彰子など枚挙に暇がないが、一人あげるなら矢部太郎をあげたい。乙丸役は矢部太郎にしかできなかったし、乙丸がいたことで本作は輝きを増した。大家さんはきっと今ごろ、「矢部さん、いい仕事をなさったわね」と微笑んでいるに違いない。