窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「ばけばけ」(061)

  • 第13週「サンポ、シマショウカ。」

放送日

  • 2025年12月22日(月)

概要

夜な夜なヘブンに怪談を語るトキ。しかし、ヘブンが怪談を記事に日本滞在記を書き終えてしまえば、日本を去ってしまうかもしれない。トキはヘブンに海外に帰ってしまうのか聞くに聞けない状況が続く。そんな中、かつて東京で別れた元夫である銀二郎から、トキに手紙が届く。そこには、銀二郎が松江に帰ってくると書かれていた。銀二郎の目的は?(公式サイトより)

感想

かねがね、トキと銀二郎は正式に離婚したのか気になっていた。当時の戸籍制度や法律がどうなっていたかはわからないが、現代ならば本人不在では離婚届は出せない。当時はできたのか。それとも、当人は(家族も)すっかり別れた気になっているけれど、実はまだ夫婦なのか。銀二郎からトキ宛てに手紙が届く。差出人は「山根銀二郎」になっていたけれど、オープニングのクレジットでは「松野銀二郎」になっていた。やはり戸籍上はまだ夫婦なんだ。

正式に離婚するために来る、と考えられなくもない。いや、予告編では、トキとやり直したいと言っていた(だから予告編ってイヤなのよ)。トキとやり直すためには借金をなんとかする必要があるが、何か算段がついたのだろうか。

銀二郎に会うために休みを取りたいとヘブンに申し出ると、当初は「これまで休みなく働いてくれたから」と快く許可してくれたが、何の用があるのかと訊かれ、「うーん……知り合い、と会う」と答えたトキに怪訝なものを感じたヘブンは、許可を取り消す。

一方、ヘブンのもとにはイライザから手紙が届く。どうやら日本へ来るようだ。ヘブンはその手紙をトキから隠そうとし、急に休みの許可を出す。不審な態度を取るヘブンを見るトキの目は、浮気を疑う妻の目だった。

今日の怪談は「小豆とぎ橋」。今回は一部しか語られず、どんな話かわからなかったが、どうやらかなり悲惨な話なためわざと全容は紹介しなかったということらしい。その舞台となった橋をトキはヘブンと一緒に訪れる。その時の二人のキャッキャぶりは、すっかりできあがったカップルのようでもあるが……

本人同士が思いを寄せ合っているのは明らか。今週はそれぞれの元カノ・元カレ(いや、「元」ではないかも知れない、微妙な存在)の登場によって互いの気持ちを認識するということかも知れないが、40歳と22歳だから、仲がいいといっても、親子か師弟のようにしか見えない。そこを乗り越えるためにはまだピースが必要で、このままいきなり愛人にはならないと思うがどうか。

「ばけばけ」(060)

  • 第12週「カイダン、ネガイマス。」

放送日

  • 2025年12月19日(金)

概要

トキはヘブンのために、大雄寺に「水あめを買う女」を聞きに訪れる。花田旅館では、夜な夜なヘブンと怪談を語る喜びを平太たちに伝え、トキは幸せの最中にいた。そんなトキの元に、錦織がヘブンのために怪談を話してほしいと頼みにやってくる。既に話し始めているとうれしそうなトキに、錦織はある不安を告げる。(公式サイトより)

感想

トキが大雄寺を訪れたのは、もう一度ヘブンに怪談を語ってほしいと頼むためかと思ったら、私に聞かせてほしいという。自分が利かせてあげたいのだ。まあ、住職にヘブンが理解できるまで何回もやり直しをさせるわけにはいかないし。

昨日、正木からヘブンが怪談に興味を持って泣いていたという話を聞いた錦織は、全く理解できないながら、ヘブンが怪談に興味があるらしいと知り、怪談が好きらしいトキに怪談を教えてあげるよう頼みに来る。錦織先生、一回り遅いです。というか、「距離を置く」と言って朝の送迎も大雄寺への随行も断わった割に、そうやってヘブンの情報を収集し、陰ながら力になろうとしているのですね。けなげではあるけれど、なんというか、片想いをしている中学生みたい。

既に話がとっくに進んでいることを知った錦織は、「怪談がラストピースだとすると、これを教えるとヘブン先生は日本からいなくなる、とおトキに告げる。なんでこのタイミングでそんなことを言うかなー。嫉妬か? え、嫉妬か?

怪談を教えたらヘブンが日本からいなくなると思ったトキは、「鍋に焦げが」「お風呂が」と言って話をそらそうとするものの、ヘブンの「怪談を聞きたい」熱意に負け、「水飴を買う女」の話を始める。


映画ランキング

「ばけばけ」(059)

  • 第12週「カイダン、ネガイマス。」

放送日

  • 2025年12月18日(木)

概要

トキとヘブンの怪談語りから一夜明けた。二人ともまだまだ話したりない、聞き足りない! ヘブンは学校を休むと言い出すほど。また夜に怪談を話す約束をとりつけ、二人はそれぞれ仕事に取り掛かる。中学校では錦織が正木からヘブンが怪談に関心があると聞かされる。錦織はトキに協力を依頼しようと思うが、それはヘブンの帰国を早めることだと気づいてしまう。(公式サイトより)

感想

朝トキがヘブンの家へ行くと、待ち切れないようにヘブンが迎える。徹夜で「鳥取の布団」を文章化していたのだという。何気なく「これはお母さんから聞かされた話?」と訊かれたトキは、別れた夫から教えてもらった話だと答える。

今日は「子捨ての話」。ヘブンは、父が母と自分を捨てた話をし出す。「怪談話をする」フェーズから、「怪談をきっかけに、互いの過去(傷跡)を語り合う」フェーズに移行している……。



映画ランキング

「ばけばけ」(058)

  • 第12週「カイダン、ネガイマス。」

放送日

  • 2025年12月17日(水)

概要

ヘブンに怪談好きであることを告げたトキ。ヘブンは興奮してトキに怪談を求め、さっそく披露することになる。「タダアナタ、ノ、ハナシ。アナタ、ノ、コトバ、デナケレバ、イケマセン」。トキに期待の眼差しを向けるヘブン。トキは部屋を暗くし、ろうそくをヘブンの目の前に置く。そして火を灯し、トキは「鳥取の布団」を語り始める。(公式サイトより)

感想

トキは淡々と「鳥取の布団」を語る。ヘブンは日本語のため、半分もわからないが、面白いと言い、もう一度語ってほしいと願う。トキは面白がって聞いてもらえるなんてこれまでなかったから、嬉しくて何度でも語りますよと言って、再び「鳥取の布団」を語る。今度は抑揚も付き、vividな語り口になっていた。

その夜、何度繰り返されたのかはわからない。語りは深夜に及んだが、トキは嬉しくてたまらない。スキップしながら帰宅する。家では帰宅が遅いことを家族が心配していたが、階段を語っていたと聞き、おトキなら遅くなるかぁと納得する。

鳥取の布団」を最初に語る物語として選んだのは、トキにとって銀二郎さんから教えてもらった話がことさらに印象深かったからだろう。おトキの一番はこれなのか、と非常に感慨深かった。一方、ヘブンにとって、松江の冬が寒いことは体験済みな上、まさにその日、大雄寺でお経をあげてもらってきたわけで、兄弟が凍え死ぬ様子や宿屋の主人がお経をあげてもらうシーンは、内容をリアルに実感できたのではないか。ヘブンにとっても適切な題材だったといえる。

ひとつひとつさりげなく織りなして来た結果がここにつながっていると思うと、ドラマ制作陣にも「スバラシイ!」と言いたい。



映画ランキング

「ばけばけ」(057)

  • 第12週「カイダン、ネガイマス。」

放送日

  • 2025年12月16日(火)

概要

大雄寺でお祓いをうけるヘブンとトキ、正木。大雄寺の風情が気に入ったと伝えるヘブンに住職は、大雄寺に伝わる怪談「水あめを買う女」を語る。住職の怪談に感銘を受けたヘブンは、すっかり怪談に魅了される。もっと怪談を聞きたいと興奮するヘブンに、トキは自分が怪談好きであることを打ち明けたいと思うが、一歩踏み出せずにいた。(公式サイトより)

感想

ヘブンが怪談に興味を持ったことにあふれるような喜びを感じつつ、抑えに抑えて「怪談に興味がありますか」と切り出すトキ。そして「好きだ」「私、話できます」「ぜひ聞かせて」とどんどん二人ともテンションが上がっていくところがとてもよかった。

最初は怪談集を読もうとしたが、ヘブンは、本読むダメ! 自分の言葉で語ってほしいと言い、トキはではと簾を下げ、窓を閉め、ろうそくを灯し……話し出したのは「鳥取のふとん」。銀二郎さんに教えてもらった、隣の県の話だ……。


映画ランキング

「ばけばけ」(056)

  • 第12週「カイダン、ネガイマス。」

放送日

  • 2025年12月15日(月)

登場人物

概要

ヘブンは連日、金縛りに遭っていた。トキはヘブンにお払い〔ママ。正しくは「お祓い」では?〕を勧めるが日本語ではなかなか伝わらず、肝心の錦織も、なぜかヘブンを避けて迎えに来ないためトキは成す術がなかった。しかし数日後。出勤前の錦織をトキが訪ねる。錦織から聞いたお払いの英語の説明をトキが伝えるとヘブンは興味津々。トキはヘブンと錦織の代わりに通訳を頼まれた正木と、お払いにでかける。(公式サイトより)

感想

ヘブンが金縛りに遭う描写は先週からの続き。恐らく江藤知事の家での新年会の出来事(そこから、マーサを思い出したこと)がヘブンを苦しめているのだろう。そしてトキが「うらやましい」というオチがついていたが、今週も引き続き連日金縛りに遭っている。

錦織が朝迎えに来なくなったことはヘブンも気にしていて、「錦織サン、ワタシノコト、キライ」などとイラついているのだが、むろんその理由は全くわかっていない。

錦織は、単に距離を置くのではなく、トキのところにやってきてわざわざ事情を説明したのは、ヘブンが錦織のことを何か言っていなかったか(たとえば「寂しい」とか?)探りに来たのだろう。小学生か? トキは錦織に距離を置かれてヘブンが苛立っていることは伝えない。このあたりはうまい。これに限らないが、基本的にトキは何もしない、関わらないのだ。

お祓いを英語でなんと言えばいいか尋ねるトキに、錦織は懇切丁寧に書いてあげる。それをトキはヘブンに読み上げるがうまく発音できない。「エクソシジミ」などととんでもない言葉を発するが、ヘブンは理解する。その上、誰に教えてもらったのか? 錦織か? と追求。ここでもトキはとぼける。

ヘブンは正木とトキを連れてお祓いに。正木は通訳として十分任を果たす。すごい。日頃教えた甲斐があった。そして「お祓い」に興味を示すヘブンに、では怪談をひとつ……。明日は伊武雅刀の声で怪談が聞ける?
(2025-12-15 記)


映画ランキング

(48)蔦重栄華乃夢噺(最終回)

題名

  • 「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」第48話「蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)」

放送日

  • 2025年12月14日

出演者

概要

写楽絵を出した後も、精力的に動いていた蔦重だったが、脚気の病に倒れる。病身ながら仲間と共に書を以って世を耕し続ける蔦重だったが、ある夜、夢をみて……。(公式サイトより)

今日の九郎助稲荷

「何か私に尋ねたいことはありますか? 家事の折のお礼に、ひとつだけ何でも知りたいことにお答えしますよ」
「本当ですか」
「……はい」
「じゃあ、100年後の髷ってどうなってるんで?」
「すいません、もう答えちゃったんで。先ほど、本当かと」
「なんてこった」

今日の重三郎とてい

「昔、寺で言っていたじゃねえですか。くず屋に出せば本もただのくずだけど、読む人がいりゃあ本も本望、本屋も本懐って」
「よく覚えてますね」
「忘れるもんか」

感想

べらぼうらしい、明るい(たわけた)最終回。「拍子木、聞こえねえんだけど」のセリフで終わるとは思わなかった。

その日の未明、蔦重が「お告げがあった、今日の午の刻に死ぬ」と言い出し、妻と別れの言葉を交わすが、午の刻には「まだ拍子木の音が聞こえない」と呟いた(その日の夕方に亡くなった)……というのは史実らしい。いや、史実とも思えないが、そのように書き残されているらしい。枕元で蔦重の魂を呼び戻そうと「屁! 屁!」と叫んで踊ったのは森下佳子の創作だろうけど。

写楽プロジェクトが一段落つくと、歌麿が晴れ晴れとした顔で「オレは望まれねえ子だったけど……なんか、おめえも生きてていいんだよ、って言われているような気がしたんだ」には泣けた。いろいろあって、ずいぶん表情に影があったこともあったが、本当にいい顔をしていた。

また蔦重が、斎藤十郎兵衛も写楽ということにしたいと言ったのも、なるほど、そういうことか、と。

一橋治済が縛られ、護送される途中で巧みに逃げ出したものの、雷に打たれて死ぬ。近くに平賀源内らしき男が。エレキテルで恨みを晴らしたということか?

長谷川平蔵が蔦重を籠屋へ誘う。ここの人足は皆本好きだと。子どもも生まれて幸せに暮らしていると。そこへ瀬川との回想シーンが挟まれる。この籠屋の女将が瀬川だったということか? 実は最初はそういう意味だとは思っていなくて、平蔵が蔦重に、近く岡場所に手入れが入ることを教えただけのシーンかと思った。twitterで「瀬川が生きててよかった!」「一瞬背中が映ったが、小芝風花か?」などの声があって不思議に思っていたが、もう一度見ると、確かに平蔵は誰か女性の消息を蔦重に告げようとしている。そこに瀬川の回想が挟まれるわけだから……、そういうことか。

次の大河(豊臣兄弟)へのリンクはなし。あれは真田丸に始まったもので、その時は粋だな、と思ったが、それがパターン化されると面白くない。なくてよかった。それより、最終回に本居宣長を出してきたのは、前作「光る君へ」へのリスペクトが感じられてよかった。

「ばけばけ」(055)

  • 第11週「ガンバレ、オジョウサマ。」

放送日

  • 2025年12月12日(金)

概要

リヨの恋が終った。ヘブンは過去を話した余韻が抜けず、アメリカにいるイライザに想いをはせる。翌朝、出勤するトキの前にリヨが今までの応援のお礼に現れる。お礼のついでに発したリヨの一言に、トキは動揺する。一方、ヘブンを迎えに来た錦織の様子がどこかぎこちない。ヘブンにある質問をした錦織は、その翌朝迎えに現われなかった。(公式サイトより)

感想

公式サイトの概要に「アメリカにいるイライザに想いをはせる」とあるが、そのようなシーンは覚えがない。それはともかく、イライザは生きているのか? もう故人なのか? 論争があったが、アメリカにはいるらしい。

リヨがトキにお礼を言いに来る。別段、トキが役に立った場面はなかったように思うが、リヨにしてみたら、ヘブン先生に関するあれこれの話を聞いてもらえただけでもありがたかったのか。そしてトキにひとこと。「ヘブン先生を射止めるのは大変ですよ」。トキ自身も自覚していないトキの気持ちに気付いているのか。

いずれにしても、お嬢さまゆえにうっとおしい部分もあるが、基本的にリヨは気持ちのいい人だ。ヘブンにはっきりと気持ちを伝え、はっきりと玉砕したことで踏ん切りがついたのだろう。さっぱりした顔をしていた。

一方、錦織は複雑な心境である。53話の感想で触れたことが気になっている。「ヘブンさん」と錦織は言う。「ヘブンさんにとって、私はどういう人物ですか」。ヘブンは「とてもいい通訳。スバラシイ」「とてもいい世話係。スバラシイ」。ヘブンは最大限に褒めているつもりなのだが、錦織の心は晴れない。友だちだと言ってほしいのだろう。

朝は迎えに現われず、また授業をいつも参観しているのにそれもせず。ヘブンはそのことに対する愚痴を授業で生徒にディクテーションさせる……
(2025-12-14 記)



映画ランキング

「ばけばけ」(054)

  • 第11週「ガンバレ、オジョウサマ。」

放送日

  • 2025年12月11日(木)

概要

ヘブンが自分の過去をリヨや錦織に語っていた頃、トキは胸のモヤモヤの答えもわからずサワの元にいた。そこに司之介が合流し、サワもリヨの応援をすることになってしまい、トキのモヤモヤが加速する。一方、ヘブンの話は過去の結婚生活に差し掛かっていた。かつてある女性と結婚していたと語るヘブンはそこで自分が犯してしまった過ちを告げる。(公式サイトより)

感想

合衆国の奴隷制度は1865年には廃止されたはずだが、特にオハイオは黒人差別感情の強い町。そうルール通りにはいかないということだろうが、黒人女性と結婚したというだけでヘブンが会社をクビになったのは驚いた。酷い話だ。

マーサは大家を傷を負わせたとして捕まっていた。これは大家になにかをされそうになったのではないか。あるいは、自分が罪人にならない限りヘブンは自分と別れてくれない、自分と一緒ではヘブンの将来を閉ざしてしまうと考えたのか。わからない。

一方松野家では、リヨの成就を願う司之介に、おサワが何をしているのか尋ねると、「トキの給料が70円になるんじゃ」と答える。驚くサワにトキは「まだ決まったわけじゃないから」ととりなすが、決まったも何も、そんな額になるはずがあるか。何を妄想しているのだ。仮にそうだったとしても、それはトキの稼ぎであって司之介の稼ぎではないのだぞ。

トキ、こんな家族でいいのかよ。

銀二郎の一件で、彼らは少しだけ自分らの行ないを反省し、賢くなったはずだが、また元のパープリンに戻っている。腹立たしい。
(2025-12-14 記)


映画ランキング

「ばけばけ」(053)

  • 第11週「ガンバレ、オジョウサマ。」

放送日

  • 2025年12月10日(水)

登場人物

  • ミーシャ・ブルックス(マーサ、ヘブンの最初の結婚相手)

概要

リヨがヘブンにプロポーズするという話を聞き、なぜか落ち着かないトキ。その頃、快気祝いパーティーではまさにリヨがヘブンに告白していた。リヨの自分への想いを知ったヘブンは、返事の前に自分の過去を聞いてほしいと話し始める。ヘブンが語りはじめたのは、アメリカ時代に経験した一人の女性との思い出だった。それは、ヘブンの心に今も深く刻まれた大切で悲しい記憶。(公式サイトより)

感想

リヨはヘブンに真直ぐに自分の気持ちを伝える。恐らくこの当時、このようなことを女子が口にするのは相当にはしたないことだったであろうと想像するが、私は好きだ。よくぞ言った。

ヘブンは、自分は放浪の人であり、ひとつのところに長居できない、だから家族もいない、友人もいないと語る。リヨは、これから作ればいいではないかと言う。自分にはできない。やってみなければわからない。やってみた。……といって、過去の話を語り出す。1800年代後半のアメリカ・シンシナティオハイオ州)。

マーサは奴隷だが、白人との混血らしい。それは、母親が黒人奴隷でレイプされて妊娠したから。なかなか悲惨な身の上だ。

マーサとの顛末はともかく、ヘブンには黒人だから、奴隷だからと差別的な感情は持っていない人だということはわかった。恐らく日本人に対しても。

一方、自分に友だちはいない、と言い切った時の錦織の表情が切ない。月曜に「ヘブンさん」「錦織さん」と握手したのはなんだったのか、という顔だ。
(2025-12-14 記)



映画ランキング

「ばけばけ」(051)

  • 第11週「ガンバレ、オジョウサマ。」

放送日

  • 2025年12月8日(月)

概要

新年を迎えた松江。トキはヘブンに新年の挨拶を教えていた。そこに錦織がやってきて、新年の抱負を教え合うことに。ヘブンは日本滞在記を書き上げる、そのためのラストピースを見つけたいと語る。その後、トキたちは花田旅館で松野家、平太たちと新年会に。挨拶をふられたヘブンは、「ツギ、フユ、ワタシ、マツエ、イナイ」と宣言。お祝いの空気が一変する。(公式サイトより)

感想

先週でぐっと距離を縮めたヘブンと錦織だが、新年早々、錦織が「ヘブンさんと呼んでいいか」と尋ね、「世界を旅して得た知見をぜひ学びたい」と申し出る。ヘブンは快諾。

花田旅館の新年会の参加者は、花田夫妻にウメ、ヘブン、錦織、勘右衛門、司之介、フミ、そしてトキ。どういう人選だと思うが、前年にヘブンを迎えて苦労もしたけど儲けさせてももらったから、その謝意を込めて、ヘブンの関係者を集めたというところか。勘右衛門、司之介、フミはあまり関係ないような気もするが。

その後、ヘブンの家をリヨが訪ねて来るが、ヘブンは散歩で不在。トキはリヨに、来年の冬は寒い松江にはいないとヘブンが宣言した話を伝えるが、リヨは動じない。寒いなら我が家に暖炉を作ってしまえばいい、そこで一緒に暮らすのだと。さすがに腹が据わっている。

ヘブンの、来年には松江にいない宣言だが、いなくなるのは寂しいという感情もあろうが、ここで問題になるのは松野家の借金の額である。今のペースで返済していれば、あと一年くらいで完済できるのか、そうではないのか。それによって松野家の生活は(ついでに雨清水家の生活も)大きく変わって来る。だから、借金がいつ頃なくなるかという話は、ある程度解像度を上げて語ってもらわないと、「おたくらの借金は、宍道湖を埋め尽くすほど、まだまだたっぷりある」のような曖昧な説明のままでは、ストーリーは理解できないのだ。
(2025-12-09 記)


映画ランキング

「ばけばけ」(052)

  • 第11週「ガンバレ、オジョウサマ。」

放送日

  • 2025年12月9日(火)

概要

来年には松江を去る宣言をしたヘブン。ヘブンがいなくなれば、また地獄のような借金生活がはじまってしまう。焦る松野家は、リヨがヘブンを射止めれば、トキも県知事一家の女中になり給料が上がる! と勝手にリヨの恋を応援しはじめる。しかし、トキだけは素直に応援できずにいた。そんな中、リヨはヘブンを快気祝いパーティーに招待。トキはそこでリヨが告白するという話を耳にする。(公式サイトより)

感想

松野の家族の「人でなし」ぶりには腹が立つ。それは、いつまでヘブンの女中でいられるのか気になるのは当然。トキがヘブンを慕うはようになってきているのはトキ自身も気づいていないからわからなくて当然。それにしても、ヘブンとリヨが結婚してその夫婦の女中ということになれば、今より格も上がる、20円といわず30円、50円、いや70円くらいもらえるのではと勝手な妄想を繰り広げる。そういう態度こそ、何より自分たちの格を下げていると思わないのか?

必死で(リヨがヘブンに見初められるよう)祈る司之介らに「わしは何をすればいい?」と訊くおじじ様。あんたは働くんだよ!
(2025-12-14 記)



映画ランキング

(47)饅頭こわい

題名

  • 「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」第47話「饅頭こわい」

放送日

  • 2025年12月7日

出演者

  • 生田斗真(斎藤十郎兵衛、能役者)
  • 落合モトキ(徳川重好)←以前から出ていたがあまり見せ場はなかった。今日は主役

概要

治済の毒まんじゅうで定信たちは窮地に陥る。だが蔦重の驚きの策により、将軍家斉を巻き込んだ仇討ち計画が再び動き出す……。(公式サイトより)

感想

なかなか感想が書けずにいるが、次回が最終回。歴代ベストを更新するかも知れない作品の記録は、少しでも残しておかなければ。

将軍家斉が率先して口にした菓子は、一橋治済(はるさだ)も食べるだろう、死に至る毒ではなく眠り薬を入れ監禁してしまえばいい、という蔦重の案を受け入れる形で、清水徳川家で茶会が開かれる。ホストは徳川重好。罠にかかった治済と斎藤十郎兵衛が入れ替わる。

藤十郎兵衛は治済と瓜二つ。史実では治済は長生きをするので、この暗殺計画は失敗に終わるのだろうと思っていたが、別人に入れ替えるとは思わなかった。斎藤十郎兵衛も生田斗真が演じていて、確かに顔は似ているのだが、雰囲気がまるで違う。もちろん一橋家の当主が身に付けているべき教養や作法などもあろう。すぐにバレるだろうと思うが……

前回、大崎が「あっあなたは」と叫んでいたのは、斎藤十郎兵衛のことだったのだな。説明が足らず前回はよく飲み込めなかったが。その大崎はやはり前回死んだのだった。多くの人を手にかけたのだから致し方ないが、治済に命令されたら従うほかはなく、哀れであった。

ことを成したあと、定信は白河へ帰る前に耕書堂に立ち寄る。定信は恋川春町への愛を語り、耕書堂を聖地と呼ぶ。ナレに「オタク」と決めつけられる始末。ちょっとは軽い感じに終わったが、決して楽しい話ではなく、重苦しい雰囲気のまま、最終回へ。

KEI-COさんのべらぼう絵



映画ランキング

「ばけばけ」(050)

  • 第10週「トオリ、スガリ。」

放送日

  • 2025年12月5日(金)

概要

トキと小谷の約束の日が近づいていた。トキのあずかり知らぬところで、小谷の応援をすることになった松野家の面々もソワソワする中、出勤前のトキに小谷は正式にランデブーを申し込む。そして迎えた当日、小谷がトキを案内したのは怪談の名所であり、トキのよく知る清光院だった。気づけばトキが小谷をリードして清光院でのランデブーが続く中、いよいよ小谷が想いをぶつける。(公式サイトより)

清光院に着くと、小谷の存在を忘れて夢中になってしまうトキ。ここで歌を歌うと幽霊が出るとトキに聞かされた小谷は、謡曲「松風」を謡う。トキは必死で止めるが、小谷は「幽霊は出ませんね」と答える。その上で、自分は怪談を好きになろうと努力したが無理だと告げ、トキを残しその場を去る。

ヘブンの家に戻ったトキにヘブンは楽しかったか尋ね、トキは楽しくなかったと答える。それを聞いたヘブンは何やら複雑な表情を浮かべるが、トキから「何ですか」と訊かれても答えない。

感想

もともとトキを「素敵だな」と思った小谷がランデブー(デート)に誘ったに過ぎなかったのだが、これを松野家から持ち掛けられた縁談だと理解した小谷は、嫁にできるかどうか、いや、婿になれるかどうか、小谷なりに真剣に考えたのだろう。結果、無理だと判断したのだ。

「せっかく好いてくれたのに、済みません!」
「いえ、好きだと言ったのは怪談のことであって、小谷さんのことでは……」

こうした行き違いもあったが、行き違いだと思っているのはトキであり、小谷にしてみたら、なにせ両親と祖父から婿になるよう迫られたのだから、誤解ではないのだ。トキに黙って暴走した松野三人組のせいだが、女の縁談は親が決めるのが普通であった時代とあっては、必ずしも暴走とも言えないのだ。暴走なのは、あんな貧乏長屋に住み、借金を抱えていながらも格だの婿だのと読迷い事を言っていることだ。小谷はトキなんかよりはるかに条件のいい娘との縁談が、やがていくらでも降って来るだろうよ……

とはいえ、「聖地」で禁忌の曲を謡ったり、トキを置き去りにして一人で帰ってしまったりしたのは酷いぞ。小谷、そこは反省するように。

トキから「楽しくなかった」と聞いたヘブンは、恐らくほっとしたのだろう。そして、そう感じた自分に戸惑ったのかも知れないし、トキには知られたくなかったのかも知れない。二人の距離は少し縮まり、また、自分の気持ちに少し自覚的になった二人だった。
(2025-12-09 記)



映画ランキング

「ばけばけ」(049)

  • 第10週「トオリ、スガリ。」

放送日

  • 2025年12月4日(木)

概要

トキをランデブーに誘った小谷。トキのことをもっと知るため、サワの元を訪れる。そこにフミも現われ、気づけば松野家総出のトキの新たな婿候補面談会に。司之介や勘右衛門らの質問にも耐え、小谷は松野家公認の婿候補として応援されることになる。そんな中、ヘブンの体調が回復に向かい、トキと小谷のランデブーが迫る。(公式サイトより)

リヨがヘブンの見舞いに。そして湯たんぽを持って来た。以前、トキは湯たんぽを用意しろと書いたことがあるが、湯たんぽは金持ちだけが利用していたので、トキは知らなかったのだ。

リヨはトキを女中扱いしてあれこれ用事を言いつける。実際女中なのだから、その通りなのだが、回復したヘブンや、回復を喜ぶ錦織がトキに頭を下げて「君のおかげだ」と言うのとは対照的。

元気になったヘブンはトキに、小谷と何の約束をしたのか訊く。一緒に出掛ける約束をしたと言うと「OK」と軽く答える。その反応にトキは何か納得の行かないものを感じる……。

感想

小谷を囲んでおじじ様、司之介、フミが責め立てる図式はいただけない。あんなことをされて話がうまくいくわけがない。「親が子の足を引っ張ってはいかんじゃろう」と叱ってくれる傳ももういない。銀二郎の一件で少しは反省し、代わったと思ったのだが。

フミが出雲の大社の神官の娘だと(ようやく)明かされた。公式サイトの人物紹介には当初からそう書いてあるので知っている人は知っていたが、ドラマ内では紹介されなかった。隠しておくような話ではなく、本来ならもっと早く紹介されてしかるべきだった。もしかしたら、脚本上は早い段階で紹介があったが、撮影後、尺の関係でカットされてしまった……というような事情があったのだろうか。

怪談好きは母譲り、というのは花田旅館の人たちとのやりとりで言われていたが。



映画ランキング