「踊る大捜査線」第三弾はどのくらいヒットするか

1998年に公開された「踊る大捜査線」劇場第一弾(OD1)は、興行収入101億円で当時の実写邦画では「南極物語」(110億円)に次いで2位。さらに2003年に公開された劇場第二弾「レインボーブリッジを封鎖せよ!」(OD2)は174億円と、実写邦画の記録を大幅に更新、現在も史上1位の座に就いている。もっとも、アニメでは「千と千尋の神隠し」(2001年)の304億円などというダントツ作品があるのだが、実写に限れば、劇場第一弾は今でも歴代ランキング3位である。

というわけで第三弾(OD3)に関しても関係者の鼻息は荒く、亀山Pは「100億超えを狙う」と言っているらしい。初日の10時の段階で前作対比94%、12時の段階で102%だったそうだ。「このペースなら120〜130億は固い」という声もある。

お金のことはわからないが、僕の感想としては、100億どころか、70〜80億もいけば御の字なのでは? と思っている。

ひとつは、時代の変化がある。最近は年間に発表される新作が多いせいか、DVDを早く売りたいせいか、一作をあまり長くやらなくなった。客が入らなくて終わるならともかく、たとえば「のだめ」は前編も後編も、最終週まで結構人は入っていた。にも関わらず終わってしまう。そもそもその以前から一日一回上映とかになる。OD2は確か半年くらい上映していたと思う。そのくらい長く続けられれば別だが、それは難しかろう。よほど瞬発力がないと三桁など無理と考える所以である。

もうひとつは、周囲を見てもあまり踊っていないこと。次々と話題作が封切される(のに振り回される)せいもあるのだが、前作、前々作の時とは盛り上がり方が違う。たとえば僕自身、映画公開まで本店サイトには一度も行っていない。かつてはネットワーク捜査員にちゃんと登録していたのに。僕のテンションが単に落ちただけかも知れないが、10年以上前から踊ってきた人たちは、もう、そうそう当時と同じ熱意では踊れないだろう。映画に先だって「係長 青島俊作」が携帯配信され、織田裕二が「みんな、観てないんスよねえ(笑)」と言っていたらしいが、頷ける話である。「アバター」「のだめ」「アリス」などは盛り上がりを肌で感じることがあった。まあ、これから話題になって、盛り上がってくるのかも知れないけど。

最後に、映画を観た率直な感想として、「のだめ」の三倍面白いか? といえば「それほどではない」と思うからだ。「アバター」は公開50日で100億を超えたそうだ。最終的にどのくらいに達したのか、調べてもわからなかったのだが、もともと素晴らしい作品であることに加えて「3D」というホットな話題がプラスされた効果だろう。これは「アリス」も同じ。が、「踊る」の第三弾、という以外の話題としては、青島が係長になりました、湾岸署が新庁舎に引っ越します、小栗旬が出ます、……話題としては弱い。

OD1はテレビ編の集大成にして、本店と所轄の対立・止揚という壮大なテーマがあった。当時急激に発展したインターネットで人気に火がついた。OD2は空き地だったお台場が一大繁華街になった時代変化を背景に、レインボーブリッジを封鎖するなどというスケールの大きなテーマに、女性のキャリア(真矢みき演じる沖田仁美)が初登場した。男女差別の問題は「踊る」初のテーマだし、沖田仁美がまた強烈なキャラクターで、記録更新も当然と思えるインパクトがあった。

OD3は何があるだろう。いろいろと工夫を凝らしているが、すべてが過去の作品の延長線上にあるように思える。犯人がOD1と同一人物というのもそうだし、これまでの張ったままだったリンクをいろいろ回収するという作業もあったし、オールドファンにとっては楽しい作品だったが、歴史を塗り替えるようなインパクトは感じなかった。

面白い作品には間違いないし、あと1〜2度は劇場へ足を運ぶと思うが、他の邦画の何倍もヒットするかといえば、そこまでの差はないだろう。僕としては、来年武内英樹監督によって制作される「のだめカンタービレ・オペラ編」(もう制作されると決めている)の方が、よほど歴史を変える作品になるのではないかと思う。