窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

江は秀吉を怒鳴るのだ/11「猿の人質」

出演

雑感

今回はどこが見所だったんだろう。難しい。お市と三姉妹の別れは、前回さんざん(過剰なほど)やったので、今回は新生活が始まるかと思っていたら、今回もまた母を思ってはめそめそする場面が延々と続いた。ナレーションの鈴木保奈美は「市」の立場で語るので、今後とも市のイリュージョンが登場するということだろうか。いくらなんでもくどい。

秀吉と対面した三姉妹は敵意をあらわにする。特に茶々は「われらはそなたを生涯許しません」と宣言。その後、京極龍子と対面し、従姉妹(龍子の母マリアは、浅井長政の姉)であると聞いて喜ぶが、秀吉の側室であると知り、嫌悪感を示す。秀吉は龍子にとっても仇のはずなのに、なぜ? その上、いがみあってもおかしくないはずの正室のおねと仲睦まじいのも納得がいかない。

戦国時代だからなあ。好きとか嫌いとかの感覚で夫婦になる人っていなかったと思うのだよ。特に武家の場合は戦略ありき、家柄ありきで。それはともかく、前回は市が秀吉に対する嫌悪感をあらわにし、今回はこれである。ここからどうやって茶々は秀吉の側室になるのか。あっと驚く起死回生の手を用意してある、ということなんだろうな? ここまで言われたら、なまじの説明では納得できんぞ。

石田光成が市からの手紙を秀吉に差し出すと、江が秀吉に「声に出して読むのじゃ!」と命令し、「もっと大きな声で!」と怒鳴りつける。久々のお江節の炸裂だが、いつまでこんなことをやっているのだろう? いい加減、こういいう演出は終わりにしてほしい。

信長の家来は、信長の息子の家来ではない。家臣の側からすれば、主君の子息に対してはそれなりの礼を尽くすだろうし、少々勝手なことを言われても従おうとはするであろう。しかし、その息子が独立した侍大将になり、信長から「お前は今度からあいつの下についてくれ」と言われて(あるいは、信長が隠居し織田家の代がかわって)はじめて主従関係が生じるわけであり、そうでなければ息子に命令権などない。まして江は信長の跡取りでもなんでもない、ただの血筋の者であるというに過ぎない。

相手が子供だから(この時点で江は10歳)本気で取り合わず、勝手に言わせておけということだったのだろうが、それにしたってそんな勝手が許されるのは信長存命中の間だけだろう。あるいは、秀吉は一応織田家のため、という大義名分で動いているわけだから、織田の血筋の者は取り敢えず立てておけ、ということだろうか。