初めてのオトコが忘れられない/10「わかれ」

雑感

あちこちでファンタジーとの批判かまびすしい「江」であるが、それはそれで楽しめている、とこれまで書いてきた。が、今回はそのファンタジーが成り立っていなくて、げんなり。

冒頭でまたも初がまんじゅうがなくなったと騒ぐ。いい加減まんじゅうネタは飽きたが、それはともかく。

いよいよ賤ヶ岳の戦いが始まったが、血気にはやる佐久間盛政が勝家の命に背いて敵陣に深く斬り込み過ぎたことも、秀吉軍の急激な進行も、盟友・前田利家の離反も、賤ヶ岳の七本槍も、ほとんど触れられることなくあっさりと敗走。賤ヶ岳は、これを描かないでどうするという戦国末期の重要な戦だが、本作品では戦を描くのが目的ではないからスルーである。

で、問題はそのあと。延々と勝家・お市と三姉妹との別れのシーンが続いたのである。いくらなんでもちょっと長過ぎる。その上、いろいろと気になる場面があった。

死なないでくれと懇願する三姉妹に、「生き延びたところで、どうせ猿の側女にされるだけだし……」とつぶやく。おいおい。アンタがそんなことを言うから、アンタの代わりに茶々が側室にされちゃうんじゃないの。側女になるくらいなら死んだ方がまし、という秀吉のさ。それをわざわざ視聴者の前で宣言するのはどういう料簡だ? 誇り高き市は側女より死を選び、金と権力に目がくらんだ茶々は秀吉の側室になりました、ってか?

それから、市が勝家とともに死を選ぶシーン、浅井長政を思い出し、「側に行けます……」とつぶやく瞬間があった。ひどい! これでは勝家の男としての面子は丸潰れではないか。

結局、市は、勝家の妻だから勝家と生死を共にしたわけではなく、生きて秀吉の側室になるのが嫌で、死ねば長政に会えるから死を選んだということらしい。そういう解釈もあるのかも知れないが、ここまで育んできたものを崩壊させるとはなあ……。

市がいなくなって、いよいよお江の物語が始まる。来週は京極龍子も登場するようだし、話が動いていくはず。8歳9歳の幼少時を無理やり演ずるのではなく、等身大の女性を演じる上野樹里水川あさみをみてみたいと思うのだが、これ以上、こんな妙な話が続くようなら、考えどきかも。

ちなみに、石田三成は、市に怒鳴りつけられへへーっとなる情けない男として登場したが、この賤ヶ岳の戦いにおいて一番槍の手柄を立て、これを契機に歴史の表舞台に躍り出てくることになる。のちに福島正則加藤清正武断派に対して石田三成は文治派の筆頭といわれるが、この戦に関しては福島や加藤よりも大きな手柄を立てている。

賤ヶ岳の戦いのあと、国内で戦らしい戦と言えば、あとは小牧・長久手の戦いくらいしかない。その後の秀吉の朝鮮出兵で、三成が国内に残ったことによるねたみ・ひがみがあったのだろう。三成の武将としての働きも、福島・加藤らに劣るものではなかった。