窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

超高速! 小牧・長久手の戦い/「軍師官兵衛」第32話「さらば、父よ!」

先週は清須会議がアバンで終了したが、今週は小牧・長久手の戦いがアバンで終了。超高速過ぎる。

出演

  • 大橋吾郎(池田恒興)←今まで書いていなかったので。まあ、最初から最後まで印象は薄かったが。というかどの人がそうだったか区別がついていなかったが、今回、三河を攻めよう! と言った人がそうだったんだろう。

粗筋

  • 小牧・長久手の戦い勃発。秀吉の作戦を家康は見抜いていて、裏をかかれる。物量で勝る秀吉勢だったが負け戦に。
  • この戦いに官兵衛は参加していない。その時毛利と領地の配分の交渉の最中だった。
  • 官兵衛が離れている間に秀吉は三成を重用。三成はぐんぐん出世。秀吉は官兵衛が怖くなったのだ。
  • 陣を立て直し再び徳川に決戦を挑むという秀吉を官兵衛が諌める。最後は秀吉は官兵衛の言うことを聞くが目が笑っていない。
  • 黒田家新しい領地を治めるのは長政に任せるがうまくいかない。
  • 職隆死す。

雑感

今年は違うと当初は思っていたのだが、結局ホームドラマ大河に落ち着くのかね。小牧・長久手を1分で(もっと短かったかな)で済ませ、長政が領民とうまくやっていけず苦労してそれを職隆がやさしく諭す……というような場面に延々と時間をかけることになんの意義があるのかよくわからない。糸が光に、黒田官兵衛の妻にふさわしい豪華な打掛をと薦めるのに対し、質素倹約が黒田家の家風だと諭すところとか。糸の長政に対するツンデレぶりとか(いや今回はデレのシーンはなかったが)。

政治的な側面は、切れ味を増していく官兵衛を秀吉が恐れ始め、徐々に遠ざけ、代わりに三成を重用する、という変化を見せる回にしたかったのだろう。ただ岡田クンの演技は確かに凄味を増してきているが、肝心の「官兵衛のすごさ」は描かれないため、秀吉が何を怖がっているのかサッパリわからないのだった。

小牧・長久手の戦いで負けたのか官兵衛がいなかったから、という解釈は、ああなるほどな、そういうことにしたいのねと納得できたけど、そもそも小牧・長久手は、後日官兵衛からボロクソに批判されるほどの負け戦だったのか?(秀吉軍を撥ね返したのは家康の強さだが、あのまま戦を続けていても家康に勝ち目はなかっただろう。)家康を直接叩き潰すより、四国・九州を制定し力をつければ、家康の方から臣従してくる、その方が簡単、という考え方にようやく軍師の片鱗を感じたくらい。

小牧・長久手は、天下人に色気のある家康にとって、信長の遺児を大義名分に抱き、秀吉を叩いて自分が天下に号令する千載一遇のチャンスだった(結果的には秀吉の死後、家康の天下になるが、あの時点では、この戦で勝てば自分の天下、負ければ豊臣の天下で自分の出番はない、と思っていただろう)。秀吉にとっては、四国の長宗我部や九州の大友・島津、関東の北条なんかは単独で戦えば負けるはずがなく、自分が天下を取るための最強・最後の敵が家康だった。これは天下分け目の戦いだったのだ。軍記物を描くならここを外してはいかんでしょうと思うのだが。

それにしても、「秀吉が三成を重用する」シーンを描くのも、茶々への贈り物を届けさせたり、側室になることを説得させたりといった場面だけ。三成は別に秀吉の下半身の世話だけしていたのではないだろうに。

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