出演
雑感
初回から登場していて、全く怪しさを感じさせなかった人が一人だけ残ったので、その人が犯人かと思ったら果たしてそうであった。もちろん動機は不明だったがそういうことであったか。
しかし、どうもよくわからないことが残る。事件当日、岸田克哉は被害者・三井峯子と会っているが、それは何のためだったのか。犯人の元々の動機は金目当てだが、自分が遣うためではなく、別の人に渡すためだった。犯人から金を受け取った人は、その金を何に遣ったのか。生活費に消えたとするには(いくら贅沢な生活だとしても)額が大き過ぎないか。
峯子は、離婚する時にあまり慰謝料云々は深く考えず、あっさり別れてしまった。が、息子に子供ができたと勘違いし、援助するつもりで、まとまったお金を必要とし、今からでも元夫から慰謝料が取れないか画策していた。それが殺される遠因になってしまったのだが、離婚の理由はドラマを見る限りでは、生活のすれ違い、性格の不一致、あとは専業主婦の座から飛び出して翻訳家になる夢を追いかけたかったこと、などであって、特に夫婦どちらかに大きな責任がある(不倫など)というよりは、気持ちが離れてしまったというだけのように思われる。
峯子の気持ちが離れてしまった理由については、直弘の側にも原因がいろいろあろうが、少なくとも別れたいと先に思ったのは峯子の方であり、もともと直弘の方は別れるつもりはなかったようである。子供も家を出ており、養育費も必要ないとなると、法的にどうあれ、今さら慰謝料をもらうのは無理があるだろう。自分がお金を欲しかったわけではなく、息子のためとはいえ、だったら直弘にとっても息子なのだから、直接援助してやるよう素直にかけ合うべきだった。
直弘は弘毅のことをよく思っていないから、援助を依頼しても応じてくれないだろうと考えたのだろうが、いったん自分がもらっておいて、そのお金をあげるのであれば、自分ばかりいい子であって、ちょっと虫が良過ぎるのではないか。
いきなり事件の犯人やトリックを突き止めるのではなく、被害者を取り巻く人々のドラマをじっくり取り上げることによって、記号ではなく、人間や、街全体の生活感を実感させ、生きた物語に仕立てた手法は斬新で評価できる。阿部寛のキャラクターも良かった。しかし、加賀の相棒のはずの松宮脩平が今一つキャラが立っていなかったこと、青山亜美の存在が最後までよくわからなかったことが残念。青山亜美はドラマ的にはいったい何のために登場したのだろう?
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