陶酔というか……「ラストスタンド」

2回目。感動というか興奮というか陶酔というか。観終わった後も2〜3時間はぼーっとなって、何も考えられない状態だった。レイ・オーウェンズは、アーノルド・シュワルツェネッガーは、つくづくカッコいい。

題名ラストスタンド
劇場多摩センター:ワーナー・マイカル・シネマズ

雑感

いい作品に出合うとしばらく余韻が続くのは、映画でも小説でも、芝居やコンサートなどでも同じだが、ぼーっとして何も考えられなくなるような状態というのは、近年、記憶がない。分析すると、他の情報を取り込むことによってこの感動や余韻余情を消したくないから、他の映画作品やドラマ、小説・漫画などを見たり読んだりすることはもちろん、すべての情報を遮断してこの作品世界に浸っていたいという感情なんだろうかと思う。

冒頭で、コルテスの脱獄が見事である。ビルの屋上に降り立って、そこにFBIの面々が集まってきた時には隣のビルに颯爽と移っており、さらに囚人服を着た替え玉を何人も用意して周囲をうろつかせるなど、FBIを翻弄。さらにSWATチーム2個体に対しては、コルテス一人がスーパーカーで追い抜きざまに煽るだけで事故を誘発させ、一発の弾丸も撃たずに壊滅させるなど、敵をカッコよく、強く描いておいて、実はシュワちゃんの方がもっと強かったという、持ち上げ方と落とし方が絶妙。

だいたいシュワちゃんが登場しただけで、ああもうこれは勝てない、と思ってしまう。それは、これまでのシュワルツネッガーの積み上げたキャリアがそう見せるわけで、新人にできる芸当ではない。地元民から信頼され尊敬される保安官、という役どころも良かった。牛乳が配達されないというだけで、農場のオッチャンを心配した飲食店の従業員がレイの自宅に夜明け前に電話してくるんだから。でもこの電話がなければコルテスを捕まえることはできなかっただろうし。

レイが「年かな」とつぶやくシーンがあるが、レイも、シュワルツネッガーも、いい歳の取り方をしていると思う。

何気ないけどギャグもうまい。自動車で逃げたコルテスを、「ちっ」と思ってあたりを見回したレイの目に、町長の自家用車が。この自動車を見た瞬間、観客はみな笑いを漏らしたはずである(声に出さなくても)。なぜ自動車を見ただけで笑えるのか。伏線の張り方がうまいのである。