題名
- 「鎌倉殿の13人」第15話「足固めの儀式」
放送日
- 2022年4月17日
概要
源義経率いる一軍が迫っていると知った木曾義仲は後白河法皇を捕らえて京に籠もる。一方、鎌倉では御家人たちが謀反を計画。上総広常も加わり、義仲の嫡男・義高を旗頭とし、都ばかりに目を向ける源頼朝の失脚を企む。八重との生活に幸せを感じていた義時だったが、御家人たちの計画を潰すため大江広元らと連携し……。(NHKオンデマンドの解説より)
千葉常胤らが首謀する反乱を鎮めるために苦心する小四郎は、大江広元から策を授かり、上総広常に、彼らから誘われたら乗ってください、と依頼(ここまで前週)。これは恐らく、反乱軍は烏合の衆なので、力のある人がいないとまとまらない。上総広常が仲間に入れば上総広常を中心にまとまる。反乱軍が過激な行動に出ないよう誘導したり、和睦の際に交渉相手として出てきてもらったり、ということを想定してのことであろう。
この上総広常の計らいで比企能員によって万寿誘拐作戦が筒抜けになり、小四郎らが駆け付ける。小四郎は「今兵を引けば鎌倉殿は一切を不問にすると言っている」と説得し、鎮圧に成功。御家人の不満は、結局のところ、坂東の地を守るためなら戦うが、わざわざ京に攻め上って平氏を滅ぼしても何の得もないことなので、平氏を滅ぼした暁にはその領地を御家人に分け与える約束をさせる。
これで一件落着と思いきや、大江広元は、誰か一人首を差し出させねば収まらない、と言い出す。それは誰かというと、上総広常だという。まさか、そうさせるつもりで上総広常を反乱軍に加担するよう仕向けたのかと小四郎が大江広元に詰め寄ると、そもそもこの作戦を言い出したのは鎌倉殿だという。
頼朝は、梶原景時に、お前にもスパイ容疑がかかっている、潔白だと言うのなら態度で示せ、と、上総広常を斬るよう命令。処分を発表する名目で御家人を集めた場で、梶原景時は上総広常に斬りつける……
その年の瀬、義時の妻となった八重は男児を出産。のちの泰時である。
雑感
ネタバレには気を付けていたのだが、三谷さん自身がいろいろ言ってくれるものだから、上総広常の最期らしいことはわかっていた。が、まさかこんな形になるとは思わなかった。
上総広常は頼朝の人柄に惹かれ、「武衛」と立て(もっとも本人は立てている意識はないのだが)、あれこれ言う者もいるだろうが気にせず信念を貫けと励ます。武に優れていても無学である自覚はあり、これから頼朝について京に行くこともあるだろう、その時字も書けないと頼朝に恥をかかせるから、と必死で字を練習するなど、純なところも見せていた。
景時に斬られた時に、何で自分が殺されるのか全くわかっておらず、小四郎に助けを求めるが動かず、やってきた頼朝にすがろうとするも頼朝は動かず、たまらず席を立とうとした小四郎に「来ればお前も斬る」と怒鳴った頼朝の声を聞いて、ようやく頼朝の指示であること、小四郎の意に反する処分であることを理解し、しかしなぜ自分がそうされるのかわからぬまま息を引き取った。
というわけで、視聴者はいちようにショックを受けていた模様だが、自分はかねてから、上総広常は頼朝に好意的だけどヤバい存在だよなーと思っていた。「俺が味方についた方が勝つ」と豪語するほどの兵力を持っているのである。そして頼朝自身は軍備を持っていない。御家人たちのバランスの上に立っているのだから、ずば抜けた力を持つ者は刈り取っておく必要があっただろう。その土地を他の御家人に分け与えれば、感謝されるし。自分が殺されるはずがないと信じ込んでいたような上総広常はあまりに無邪気で一軍の将たるにはふさわしくないとも思った。
そういうわけで、自分は割と上総広常が粛清されたのはすんなり受け入れられた。
それと泰時の出産との対比はうまくできていた。
(2022-04-19 記)