窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「ブギウギ」(012)

第3週「桃色争議や!」(火)

放送日

  • 2023年10月17日

登場人物

  • 藤間爽子(タイ子)

概要

大和礼子が演出の公演に向けた厳しい稽古が始まった。スズ子はなんとか良い役をつかもうと必死に稽古に取り組んでいた。ある日、同期の桜庭和希は後輩の秋山美月と比べてダメだと言われ、落ち込み、ついには稽古を休んでしまう。さらには、秋山の厳しい指導を受けた新人たち全員が、やめたいと言いだしてしまう。スズ子はなんとか劇団をまとめようとするのだが……。(NHKオンデマンドの解説より)

スズ子は和希を励まそうとするが、秋月という才能と闘わなければならない私の気持ちなんかわからないっ、と切れられてしまう。スズ子は、私だって礼子さんやリリーという才能と闘っているんやで……と呟く。

スズ子は秋月を食事に誘い、「才能のない者は辞めろ、なんてキツイことを言うな」と釘をさす。「才能がなかったら、やってはいけないの? 私だって才能ないよ」「先輩は毎晩遅くまで努力してはるやないですか。私が言うてるのはそのことです。努力する才能です」

秋月はかつて花咲に在籍していたが、先輩らと喧嘩して飛び出したところを林部長に拾ってもらったという。梅丸には恩がある、だから梅丸を花咲よりも大きくしたい。そのためには嫌われ役になっても、言うべきことを言うという。

帰宅すると、父は脚本書きに精を出していた。スズ子は、才能もないのにいつまで続けるつもりだとからかう。梅吉は才能がないのに続けているのは偉いだろうと開き直るが、その時スズ子は、礼子が「続けるのが一番たいへん」と言っていたことを思い出すのだった……

感想

才能のないことを自覚するスズ子は、才能がなくても続けることが大切と思うが、父に対しては、才能がないからやめてしまえと考える。ナチュラルにダブル・スタンダードになっているのだ。これに気付いただけ立派だ。

林部長は、「新人全員に辞められた教育係はこれまでいないぞ~」とスズ子を脅すが、あの子たち三人が辞めたいと言い出した原因は、第一には礼子であり、第二には秋月であり、それを許容した劇団自体である。それなのにスズ子に責任を押し付けるのはいかがなものか。もっとも、スズ子が三人と話をしている時に、うしろの方で心配そうに様子を窺っている他の劇団員が何人かいた。それはよかった。

秋月は梅丸を花咲よりも大きくしたいそうだが、だったら他人を追い詰めるのは逆効果だ。組織が大きくなるためには人がいる。秋月にわかりやすく言うなら、スターだけでは芝居は成り立たない、その他大勢も大勢必要だ。才能のない人を切り捨てて行くと少数精鋭になるかというと、ならない。単に人が減って、組織の存続自体が危うくなるだけだ。

人が多く集まれば、そこにどんなタレントがいるかわからない。ちけっとぉ売りさばくのがうまいヤツとかポスターのデザインがうまいヤツとか、楽器の演奏ができる、アドリブがうまい、後輩指導に長けているとか……。そういう人を大勢集めてまとめ上げるのが大組織というものだ。

そもそも「辞めろ」というのは雇い主以外の人間が口にしていい言葉ではない。秋月の態度は越権行為もいいところだし、それをやらせている林部長も問題だ……


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