官兵衛は誰の家臣なのだ……/「軍師官兵衛」第13話「小寺はまだか」

粗筋

羽柴秀吉が播磨へやってきた。官兵衛は姫路城を秀吉に献上することにした。喜んだ秀吉は官兵衛を義兄弟とし、誓紙を渡す。感激した官兵衛は秀吉のために仕えることを誓う。

播磨では姫路に入城した秀吉に、地侍が続々と挨拶にくる(そうするように官兵衛が取り計らった)。しかし、肝心の小寺政職だけがこない。挨拶を促す官兵衛に政職は臍を曲げ、「秀吉は百姓上がりで小寺とは身分が違う。儂は織田と同盟を結ぶ約束はしたが秀吉の下につくといった覚えはない。挨拶なら向こうが御着にくればよかろう」と取り合わない……

雑感

竹中半兵衛の強い叱咤によってようやく秀吉と小寺政職の会見を実現させた官兵衛だが、とにかくいいところがない。中間管理職特有の苦悩には同情する面もあるが、自身の態度にも大きな原因がある。

官兵衛は秀吉のために働くことを誓うが、彼はあくまで小寺の家臣だ。小寺が織田と同盟を結んだから、その家臣同士、親しくお付き合いをしているわけであって、秀吉のために働くことが彼の目的であってはならないはず。もちろん織田と小寺の力関係を考えれば、決裂はあり得ず、なんとか信長に(そして信長の名代である秀吉に)取り入ろうと必死な気持ちはわかるが、小寺政職に断わりもなく勝手に義兄弟になるなど、許されないのではないか。

秀吉にとっては政職なんて眼中にないのだと思うが、秀吉が官兵衛に義兄弟となることを持ちかけた時に、「自分としてはこの上なく光栄だが、まずは小寺の殿に相談をしてみないと」と話すべきだっただろうし、官兵衛がそう言ったからといって秀吉が気を悪くすることはなかっただろう。これは裏切りと見られてもおかしくない行為であり、その意味で櫛橋左京進ら家臣団の心配は当たっているのである。

それにしても半兵衛と官兵衛の差よ。二人が二十も年が離れているのであれば、経験の違いと考えることもできようが、わずか二歳しか違わない。病気が進行中で、長生きはできないかも知れないと考えている半兵衛は誰かにあとを託したいのだろうが、その相手が官兵衛では不安で仕方ないだろう。