「見えない目撃者」

時間が作れないでいるうちに公開から一ヵ月が経ってしまい、上映している劇場は数えるほどになってしまったが、なんとか無理して見に行って良かった。これは劇場で見ないと面白くない。

題名見えない目撃者
監督森淳一
出演■家族/吉岡里帆(浜中なつめ、元警官・盲目)、松大航也(浜中大樹、なつめの弟)、松田美由紀(浜中満代、なつめの母)
長者町警察署/大倉孝二(吉野直樹、捜査一課・強行犯係の刑事)、田口トモロヲ(木村友一、捜査一課・強行犯係の刑事、定年間近)、浅香航大(日下部翔、生活安全課少年係所属の刑事)、酒向芳(高橋修作、捜査一課・強行犯係の刑事、木村らの上司)
■その他/高杉真宙(国崎春馬、目撃者)、渡辺大知(横山司、名簿屋)、栁俊太郎(桐野圭一、風俗店スカウトマン)、國村隼(平山隆、元刑事)、他
公式サイト映画『見えない目撃者』公式サイト
制作日本(2019年9月20日公開)
時間111分
劇場TOHOシ丸の内TOEI

概要

  • 2011年の韓国映画のリメイク(知らなかった)。
  • なつめは前途有望な(?)警察官だったが、ある時、弟を乗せて運転中に不注意から事故を起こして弟を亡くし、自らも視力を失う。警察を辞め、テープの書き起こしなどの仕事を細々と続ける日々。
  • ある時道を歩いていて、接触事故を起こしたと思しき自動車に近寄り様子を伺うと、後部座席に女性が監禁されていたことに気付き、通報。が、目の見えない人間がどう「目撃」したのかと、警察ではまともに取り合ってくれない。しかし自分の誤解だったとはどうしても思えないなつめは独自に調査を始め……
  • ミステリーかと思ったが、事件の全容と犯人は比較的早い段階でわかる。それ以降は、証拠を消そうとする犯人とのサスペンスフルな追いかけっこ。こういうタイプの作品を見るのは久しぶりだが、大画面であればこそ。引き込まれたし、見て良かったとしみじみ思った。

雑感

  • 事故の原因となった不注意運転は、ちょっと信じがたいほど愚かな行為。自分なら運転中にあのようなことは決してしないし、やるなら自動車を停めてする。不注意というにはあまりに軽率な行為で、現役警官であればなおさらだ。まあ、だからこそ罪悪感に苦しみ、心身症にかかって長く病院通いをすることにもなったのだろうが。
  • なつみの目撃証言が警察で信用されないのは仕方のないことであろう。「見ていない」のだから。おまけに精神病院への通院歴もわかり、本人の妄想なのでは、とも疑われる。吉野刑事の身長や昼食に食べたものを当てて、見えなくてもわかることもあると証明し、少しずつ信用してもらうのだが……なぜ元刑事であることを告げなかったんだろうか? 訓練を受けた人間だとわかれば、無碍にされることもなかったと思うが。
  • 主人公に寄り添い、こちらがだんだん感情移入した人が次々に死ぬ。えーっというような人が死ぬ。あまりにも無慈悲だけど、サスペンスドラマだからな。そこがいいのだ。しかし、アノ人とアノ人は死ぬかと思ったら死ななかった。あの状態から生き返るのはちょっとフェアじゃない。あのまま死ぬべきだった(笑)。
  • クライマックスで犯人となつみが対峙する。なつみは拳銃を持っているが、犯人の位置がわからないと撃てない。犯人は、音を立てなければ気付かれないと、靴を脱いで静かに近寄る。あわや、というところで亡き弟の力を借りて犯人の居場所を特定。泣かせるシーンだ。
  • 春馬は、当初はなつみに反発するが、だんだんと行動を共にする中でなつみに親近感を抱き、最後は信頼関係でガッツリ結ばれる。もうおじさんとしてはニマニマしながら二人を眺めていて、事件が終わったらどうする? ねえどうする? え? 付き合っちゃう? 付き合っちゃう?? などと思っていたのだが、特にそうした関係を示唆するシーンはなし。春馬を助けるために命懸けだったのは「自分のせいで亡くした弟の代わり」という説明はちょろっとあったから、うーん、弟のように感じていた(だけ)なら、付き合うのはナイか……。

配役

  • 吉岡里帆高杉真宙、ともに初めて知った役者だが、実によかった。特に吉岡の「目の見えない」演技は絶品。本当に目を瞑ってしまうと多分、危険だから目は空いている。が、微妙に相手から視線をずらすことで見えていないことを表現。本当に見えていないようだった。なかなかできることではない。
  • 松田美由紀を初めて見た(調べたら初めてではなかったが記憶になし)。アノ人の妻でアノ人とアノ人の母親だから、どんなにすごい人かと思ったら以下略。

(2019/11/5 記)