第12週「マルバマンネングサ」(水)
放送日
- 2023年06月21日
概要
万太郎、寿恵子、竹雄が峰屋に到着すると、蔵の前で綾が役人に厳しく詰め寄られていた。万太郎が役人を諭し、どうにかその場は逃れたものの、万太郎は酒屋の厳しい現状を目の当たりにする。さらに、タキの体調が思わしくないことを聞いた万太郎は……。(NHKオンデマンドの解説より)
今日の綾
「政府の改めより宴会が大事じゃと?」
「その通りでございます」
今日の万太郎と竹雄
「わしは姉にすべてを任せて家を出た身でございます。今は東京大学に通うちょります。東京は日々変わちゅう。鹿鳴館も今年間もなく開館いたします。政府が西洋化をたいそう急がれちゅうことは、重々承知しております」
「西南戦争で政府が大きな借金をしちゅうことも、地租改正がうもういっちょらあせんことも、よーくわかっちょります。ほんじゃき、金を取れるところから取るいうことも」
「そうやったらせめて、思いやってはいただけないでしょうか。酒屋にとって、一年で一番大事にしゆう甑倒しを、その一日だけでも、ともに重んじてはいただけないでしょうか」
感想
万太郎がどうやって役人を説得するのかと思ったが、なかなかうまく話をつけた。本人はどこまでが作戦なのかはわからないが、地方の役人なので、東大生であり、鹿鳴館やなんやと中央の事情に明るいこと、そもそも竹雄ともども洋装であったこと、さらに集まってきたやじ馬が峰屋の味方をすることに気圧されたのだろう。ただ、こうした場合逆らうなら全員逮捕するぞ、などと言って逆上する恐れもあった。そこを万太郎(と竹雄)は、決して怒鳴らず、穏やかに、「今日だけ」と下手に出たのはよかった。役人に「日を改める」と言える隙を残せた。
綾、ふじからタキの具合がよくないことを聞いた万太郎は、慌ててタキの部屋へ行くが、タキは着物を着てピシッと座っていた。綾とふじが大げさに言ったのだろう、と言うが、その顔は、気丈にしていてもどうみても具合が悪そうだった。万太郎とその嫁の前でだらしないところを見せたくなくて、無理に虚勢を張っているのだろう。万太郎も寿恵子も、それに気づいたはずだ。気付いた上で、それに合わせた。咄嗟に状況を飲み込んで行動する点、寿恵子は実に頭がいい。
蔵の者皆から「若、若」と慕われる万太郎を見て、寿恵子は嬉しかっただろう。それにしても洋装の竹雄はカッコいい。