窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

のだめカンタービレ in ヨーロッパ その2

一話びっしり2時間×2本+特典映像をじっくり見た。一話120分は通常の映画よりも長く、少々疲れた。

出演

感想

十分面白かった。期待通りといえば期待通り。よくできていた。ただ、まあ、……のだめはこれでもういいかな、という気も少しした。

原作の方はまだずっと続いているので、依然として人気もあることだし、ぜひスペシャル版をまた制作してほしい、できれば劇場で見たい(聴きたい)、という気持ちもあるのだが、少々複雑ではある。

文句を先に言うのもアレだが、なんだかなあと思ったことを列挙。

  • 千秋は指揮者のコンクールに向けて、全く独学で勉強していたようだが、もともときちんとした先生に就いていたわけでもない彼が、独学で、国際的なコンクールに優勝というのはあまりにも非現実的。だいたい、「ヨーロッパに来られるようになったなら、すぐに自分のところに来い。そしてコンクールに出場するのだ」と言っていたシュトレーゼマンは、なぜ千秋をほっておいたのか? 千秋は、なぜシュトレーゼマン(あるいはビエラ先生)に教えを請いにいかなかったのか? あれだったら、コンクール出場直前まで日本にいて、R*Sオーケストラを続けていた方がまだ練習になったのでは?
  • 千秋とのだめのすれ違い(追いかけっこ)がこのドラマの面白さのひとつだが、それは本編の最終話で決着がついたはず。その後一緒に留学し、アパートまで同じということであれば、双方の親だって知らないはずはないし、もはや二人の関係は明らか。今さら追いかけっこはイライラする。もちろん、男と女は(結婚しようがなんだろうが)常に追いかけっこである、という見方もあるが、少なくとも、千秋がのだめのことを「君の彼女が……」と言われて「彼女じゃありません」なんていうのは、もうやめろって感じ。
  • 全体として、玉木宏上野樹里も、いったん作り上げた「千秋」「のだめ」というキャラクタに振り回されていた感がある。ユニーク過ぎて、「それはいくらなんでも……」と思いたくなるような大げさな態度・言い方が目に付いた。たとえばのだめが、友人などに自分のことを「のだめ」と呼ぶようにいうのはいいけれど、リサイタルの挨拶で「のだめと申します」はいくらなんでもおかしいでしょ。
  • ドラマに登場したキャラクターで一番好きだったのは清良と黒木君。この二人が同時期に留学していて、登場するというので、楽しみにしていたのだが、見せ場がなくがっかり。黒木君もまた千秋やのだめとは別の意味の壁にぶつかり、苦労する姿はそれはそれでよかったけど、もう少しカッコいいところも見たかった。最後にみんなの前でオーボエを演奏するのだから、それを聴いて「一緒にやろう」という人が現れるとか。
  • 清良から連絡がなくて龍太郎がイライラするが、ヨーロッパに渡った清良にとって、もはや龍太郎のことはどうでもいい(とは言わないけど、少なくとも二の次、三の次になっている)のか、単に意地になって連絡を取らないだけなのかがわかりにくい(後者らしいが、それならもう少し彼女の気持ちを描写する場面がほしかった)。もともとコンクールに失敗した傷心の清良が、代償として龍太郎を求めたに過ぎず、立ち直れば龍太郎に固執する必要はない、と思うのだがどうなのだろう。そりゃあ龍太郎も友情に篤い、いい男だけど……

もちろん、感動したところもある。印象的だった場面を列挙してみる。

  • コンクールの本選直前、龍太郎ら元Sオケのメンバーが電話で千秋を激励し、それを聞いて千秋が自分を取り戻していく場面は感動的。神様俺様千秋様も、みんなの力があってここまでこれたのだということを再認識しただろう。龍太郎の友情にもじんとくる。しかし、千秋が思い出すのはSオケの初舞台なんだなあ。R*Sオケのコンサートではなくて。まあ、(漫画と違ってドラマでは)Sオケのメンバーが大挙してR*Sオケに参加しているので、どちらも今となっては大差ないんだけど。
  • のだめが孫 Ruiに対抗意識を燃やし、彼女のピアノを必死で練習して、あの超絶技巧が必要とされる曲をオクレール先生の前で弾き切った時は「すごい」と思ったが、オクレール先生は「全然ダメ!」という。ピアノの奥深さに、のだめも視聴者も気づかされる瞬間である。
  • このどん底の状況からのだめは千秋の力を借りずに立ち直ったわけで、ここに彼女の成長が見える。同時にオクレール先生の教師としてのすごさも見せつけられた。「君が(もじゃもじゃ組曲について)いろいろ言いたいことがあるように、モーツァルトだって言いたいことはいろいろあるはずだよ」は胸を衝くセリフだ。
  • しかしまあ、二話を通じて最高の名セリフは、のだめの千秋評、「高い鼻が折れたことは一度もないんですっ!」だな。

複雑なのは、役者が年をとることだ。ストーリーとしては約一年前に放映された話から続いているわけだが、漫画や小説と違って役者はどんどん年をとるわけで、「北の国から」とか「踊る大捜査線」のように、ポツリポツリと続編を作っていくのは難しい。今年の秋にでも「のだめ2」とかで再度連ドラにでもできればいいが、そうでなければ、この続編を作っていくのは難しいだろう。

と思うが、第二話の最後にR*Sオケの新指揮者が登場して終りになった。これは続編への伏線なのだろうか?