窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

なつかしの踊る大捜査線(田中哲司)

踊る大捜査線」は好きだった。どのくらい好きだったかというと、テレビ本編、テレビスペシャルのすべて(歳末SP、夏SP、すみれSP)、映画(OD1、OD2)のDVDをすべて持っているのはもちろん、ネットワーク捜査員に登録したこともあるくらい。スリアミスペシャル(深夜も踊る)は持っておらず(現在は入手不可能)、スピンオフは、真下正義木島丈一郎は面白かったけど室井慎次は詰まらなかったので灰島秀樹はそもそも見ていない。その程度。

で、田中哲司が「踊る大捜査線」の第4話「少女の涙と刑事のプライド」に出ていることがわかったので、確認のため久しぶりに見てみた。

うえー、つまらねー。

青島が室井に呼ばれて捜査一課とともに捜査をすることになる。が、室井以外の刑事からイビられ、仲間に入れてもらえない。飲み屋で張り込みをしていた時、すみれが様子を見に来るが、すみれのバッグを狙ったひったくりをつかまえているところを被疑者に見られ、逃げられる。次に張り込みをしていた時、店の中で暴力をふるっていた人を止めに入って騒ぎになり、それを被疑者に気づかれて再び逃げられる。

第一の失態。張り込み中の青島に、遊びに来たと称して隣に座ってあれこれ話しかけたりするなんて信じられない。しかも、すみれのバッグを狙っている人に気づいていたなら、さりげなくバッグの位置を変えるなり、その人を睨みつけるなりして牽制すればいいのに、わざと気づかないふりをして逮捕するなんて下手すれば囮捜査である。張り込み中の刑事の隣でこんな騒ぎを起こしたすみれは、懲戒処分ものだ。さらに、その件で青島が室井に厳しく叱責され、すみれも近くにいたのに、「私が悪いんです」と申し出ることもなく、黙っていた。ひどい女だ。

これは、いくら仲間外れにされたとはいえ、青島が単独捜査をしていたことから起きたミス、という見方になっているようだが、それは全然違うんじゃないか。青島に罪はない。

第二の失態。暴力男は、トイレか何か、隅の方で女を殴っていた(だから、青島以外の人に気づかれなかった)。それを止めに入った青島は、わざわざ男をフロアに引きずり出して取っ組み合いを演じて騒ぎを起こし、しかも「お前はなんだ」と聞かれて「湾岸署だ」と素直に答えている。バカだなあ。他の客(や被疑者)に気づかれないよう、トイレの中でやり合えば良かったし、正体を聞かれても、「女に暴力を振るうのが許せないだけ」「通りすがり」と答えておけば良かったのだ。

大きな事件の犯人を追っている時(本庁の仕事を手伝っている時)、小さな事件(所轄の事件)なんか無視しろ、という本庁側の態度に、「事件に大きいも小さいもない」という(有名な)セリフを返すのだが、この事件はやり方次第でどちらも解決することができたはず。単に青島の手際が悪かっただけだ。

第一の失態も第二の失態も、事件を防ぐことが真の目的のはずなのに、青島やすみれの中で、検挙することが目的にすり替わってしまっているようである。このあたりが全く共感できない。

島津は室井に向かって「所轄の刑事なんかにやらせたあんたの責任だ。上層部に報告する」と騒ぎ、周りの刑事も同調する。室井が「責任は取ります。今は犯人逮捕が先です」といくらいっても、責任の押し付け合いに忙しい……。保身も大切だろうが、本庁のエリートたちがここまで間抜けかなあ。カリカチュアされているのだろうが、これまた共感できない。

室井にも問題はある。捜査グループに青島をまぜたら反発が起きることはわかっていたはずだ。だったら、なぜ青島を混ぜる必要があるのか、みんなが納得するまで説明しなければいけない。また、第二の張り込みの際、被疑者を逃がさないようなぜ出口を固めなかったのかが不思議だ。

時を経れば感想も変わるもんだ。第4話はもともとあまり好きな回ではなかったけど。

肝心の田中哲司だが、青島をいじめる本庁の刑事の一人。タイトルバックで名前が出てくるが、これといったセリフはない。