夜、何気なくテレビをつけたらTHE MOVIE2「レインボーブリッジを封鎖せよ」をやっていた。なるほど映画化キャンペーンの一環なんだな、と思いつつ、これは劇場へも見に行ったしDVDも持っていて何度か見たんだけど、ついそのまま見続けてしまった。終わったあと、織田裕二、深津絵里、ユースケ・サンタマリア、柳葉敏郎の四人が登場し、現在上映中の映画についてコメントしていた。
織田裕二によると、「ヤツらを解放せよ!」のテーマは「死」なんだそうである。なるほど確かにそうだ。しかし、それがテーマだというなら、あまりにもその扱いが雑ではなかったか。以下、ネタバレあり。ちなみに、今回は批判的である。
湾岸署の引っ越しの喧騒の中、青島に健康診断を受けた病院から電話が入る。多忙な青島は電話に出られず、代わりに電話に出た魚住から折り返すよう念を押されるが実行せず、しびれを切らした医師がわざわざ湾岸署にやってくる。
魚住が同席する中、青島が医師に話を聞くと、レントゲンに影が写っており、悪性の腫瘍の可能性があるから精密検査を受けるように、という指示だった。魚住はそれを中西に「腫瘍にかかった」と言い、中西はすみれに「青島くんもう長くないんだって」と伝え、すみれは「青島が癌であとわずかの命」と思い込む。
それですみれは青島に「どうせ死ぬんだったらそれまでは生きなさいよ」などとけしかけ、結果、青島は、犯人を追いかけるのにうっかり落ちたら大変なことになるビルにも平気でよじのぼるし、爆弾もものともせずに向かっていく……というのだが、いろいろとヘンである。
健康診断を受けた後、要再検査になることはしばしばあるが、普通、それは郵送されてくるものであり、いちいちごていねいに電話してくることはほとんどないと思うし、まして医師がわざわざやってくるなんていうことはあり得ないと思う。もし再検査をするまでもなく明らかにおかしいなら、そう言ったと思うが、そもそもレントゲンはすぐに結果が出るものなので、あとからわざわざ伝えるのではなく、その場で伝えるのではないか(自分の経験では、健康診断の時は最後に内科の診断があり、その時にレントゲン写真や心電図など、その日の結果を見ながら、問題ありませんとか、少し血圧が高めですね食生活がうんぬんとか言われる。結果が後日になるのは血液検査である)。
次に、医師はあくまで精密検査を受けるよう強く薦めたに過ぎないが、それを魚住が大げさに伝え、尾ひれがついて噂になるのはわかるし、笑いどころでもある。が、すみれが青島にそのことを言った時点で「まだ癌だと決まったわけじゃないよ、再検査しろと言われただけ」というのがわかったはずである。が、二人が話をしても間違いに気付かず、会話が成り立っているのはどうして? 青島自身が「悪性の腫瘍の可能性があるから精密検査を」と言われただけなのに、「もう俺は死ぬんだ」と思い込んでしまったということだろうか。それもあり得ないような気がするが、それならせめて、医師が帰ったあと、「もうダメだ、俺は死ぬんだぁぁぁ……」と叫ぶとか、せめてもうワンシーンほしいところ。
で、精密検査を受けたらなんでもなかった、というならともかく、後日その医師が再訪し、あれは間違いでした、青島さんは健康です、で終わるというオチ。いやいや、いくらなんでもそれはないでしょう。レントゲンに影があるとなれば、何度も見直すだろうし、医者の仕事はそこまでいい加減ではないだろう。何人もの人に同じ箇所に同じような影があって、あとから調べてみたら、撮影機のレンズの部分にゴミがついていました、とかいうなら、せめてそういう説明がほしい(そういうことがあるのかどうか、知らないけど)。
「容疑者 室井慎次」では、既にいかりや長介は亡くなられていたが、和久さんは生きている設定だった。今回、和久さんが亡くなられたことが明らかにされる。そして、青島も死ぬと思い込んだ時、本人と周囲は……という設定自体は悪くない。それならそれで、もう少しなんとかならなかったかと思う。