題名 | 舟を編む |
---|---|
劇場 | 109シネマズ港北 |
2回目。2回目でも大笑い。むしろ1回目より笑った。
- 馬締が香具矢と二度目に会った時、香具矢は庖丁を研いでいた。この研ぎ方が変。向こうへ押す時に力を入れ、手前に引く時に力を抜くのが基本と思うが。料理人としてまだ素人であることの表現? 宮崎あおいが下手なだけ? それとも僕が間違っている?
- タケちゃんが、香具矢が煮物を作ったから味見して、と馬締の部屋にやってきた時、馬締は鍋から直箸で食べていた。食べた箸を突っ込んだら、他の人は食べられないではないか。
- いったんプロジェクトが中止になりそうになった時、これからは電子辞書の時代で、いつまでも紙媒体じゃないだろうという意見があったが、意味が分からない。紙か電子媒体かは単なる出力の問題で、中身の辞書自体は作る必要があるのだから。それとも、これは西岡が勝手に考えただけのピント外れな意見?
- ジテンとジショの話。注意して聞いていたら、当初は関係者はみな辞書と言っていた。西岡と馬締が村越局長に談判に言った時、村越が「これからは事典の類は全部お前らが作れ。料理事典に怪獣事典……」と言い出す。ここで初めて辞書と事典の混同が起きる。とすると、村越は出版社の局長でありながら辞書と事典が別物であることを知らなかったのか。それともわかっていて、わざと無理難題を押し付けたということか。
- 用例採集に入る時、なぜ皆大きな声で「用例採集!」と宣言するのか。ただのストレートが「ギャラクティカ・マグナム!」と叫ぶことによって必殺技になるみたいなものか。
- 岸辺みどりを演じた黒木華の、「はぁ?」とか「NGなんで」とか「15年も何やってたんですか!?」とか、いかにも今風の若い女の子っぽい口調がうまかった。そして馬締より遅くまで会社に残り、酒がなんでも飲めるようになり、「眠い時には寝ろよ」と言われるほど仕事に目覚めていく「過程」の表現も見事だった。「草原の椅子」にも出ているのか。観てみたい。どこかで上映していないかなー。
- 伊佐山ひろ子の演じた佐々木薫の突っ込みが地味に効いている。西岡が馬締のしたためた恋文をばさっと机の上に広げて置いた時、自分の席を立ってとことことやってきてていねいに畳み、西岡の机の上に置いてそのまま自席に戻った時。何が起きたのかと唖然として見てしまった。馬締も唖然としていたようだったが。
- 麻生久美子がどこにいたかわかった。「大渡海」発売のポスターね。子供を抱いた女性と辞書とどう結びつくのか、よくわからないが。
- 「大渡海」の表紙のイラストは良かった。画像検索しても出てこないのが残念。
- 馬締が書いた「恋」の語釈は新明解みたい。新明解さんがどう書いているのかは、知りませんが。
- 馬締が香具矢と結婚したのは、タケちゃんの生きている時だろうか……。
- 香具矢が「みっちゃんて、やっぱり面白い」とつぶやいてカットアウトになるラストシーンが秀逸。馬締が荒木に「明日から改訂作業に入ります」と言ったところで終わる終わり方もあった。テーマが「舟を編む」なのだから、完成した日にもう次の戦いが始まっている、言葉の海はかくも広いということでそれなりの収まりはついたと思う。でもそうしなかった。多分、そうしていたらあれだけの余韻余情は出なかった。あれ、まだあるの? と思わせておいて、あの海を見せ、馬締の言葉、香具矢のつぶやきでストンと終わる。出色の出来である。ラストが印象的な作品はいいなあ。
過去記事
- ジテンの定義をはっきりさせてくれ「舟を編む」(2013/4/19)
リンク
- あのベストセラーが映画化(週刊文春、2013/04/11)