窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「舞いあがれ」(034)

第07週「パイロットになりたい!」(木)

放送日

  • 2022年11月17日

概要

祥子のところにめぐみから、舞を迎えに来ると連絡があり、祥子は舞に伝える。さくらは舞が五島に来ていることを知り、自分がつくった「みじょカフェ」へ舞を連れて来ない祥子を責める。一方木戸は、祝いの鯛を舞に渡しに来て、舞と祥子は不思議に思う。木戸は、一太から、舞がフィアンセを五島に連れて来たと聞いて勘違いしていたのだった。(NHKオンデマンドの解説より)

舞は木戸から、めぐみが浩太を連れてきた時に祥子が反対したことを知らされ、なぜ反対したのか証拠に尋ねる。めぐみは教師になりたいという夢があり、だから大学までやったのに、中退して町工場のおかみになるというのが許せなかった、浩太に対しても、まともな男ならなぜめぐみの卒業を待たないのかと責め、そのためめぐみは家を出、以後15年、音信不通になったということを聞かされる。

五島に浩太とめぐみがやってくる。めぐみは理を尽くして危ない道を渡ってくれるなと舞に説くが、舞は、みんなの期待を背負って飛ぶということがやってみたいのだと言う。その熱意に、ついに両親は、やってみろと言うのだった。

祥子はめぐみに、舞が自分の意見をあれほど主張するようになるとは、と褒め、あの時も、あんたの言うことをもっと聞いてやればよかった、悪かったと頭を下げる。和解して10年経つのだが、本当の意味での和解が成立した。

感想

本当にうまい筋立てだと思う。一太の勘違いに端を発し、木戸が鯛を持ってくる、舞は誤解だと説明。自分はまだ20歳だと言い、木戸は、舞のお母さんは20歳で浩太を連れて来たと答え、そこから駆け落ちの話につながる。視聴者はこのことを既に知っているけれど、実は舞は当時のいきさつを知らなかった。だからお母さんだって大学を中退したでしょ、といささか無神経とも思えるセリフを言ってしまったわけだ。この時と状況は似ているが、親は娘のことを本当に心配しているのだということを舞が知り、逃げるのをやめて親と向き合おうと改めて決意するのだ。

舞のパイロットに賭ける思いは、視聴者がわかっていた部分もあり、そうでない部分もある。今回の説明で、なぜ「旅客機の」パイロットなのかがわかった。単に空を飛ぶことではなく、みなの期待を背負って飛ぶことがやりたいのだ。

思い出されるのは、かつて祥子が、客の迎えに大幅に遅刻してしまったこと。前回、船で三人を迎えにきた祥子を見て久留美が「かっこいいね」と言ったが、これは、その客も最初は舞に「おばあちゃん、かっこいいね」と言っていたことを視聴者に思い出させるため。一歩間違えは乗客に迷惑をかける、命の危険にさらすこともある、だからこそかっこいいのだ。舞のパイロットに対するあこがれには、ばんばの姿も入っているはずだ。

舞と浩太・めぐみのやりとりに、祥子が一切口をはさまないのは見事。口をはさまないが、うしろで演技している高畑淳子は見事。あの時のことを思い出し、反省したり後悔したりしている様子が視聴者から丸見えだった。

ドラマとしてはこれで十分ではあるが、個人的には納得のいかない部分もある。

めぐみには、浩太がまず会社を継ぎ、最初は一人で頑張ってもらって、自分は大学を卒業する。なんならその間に簿記の資格を取るなど、即戦力になるような準備を進める。そして、卒業と同時に結婚する、という選択肢もあったはずだ。祥子は、教師の夢を諦めることも不満だったようだが、少なくとも普通の大人であれば、その道を推奨するのではないか。しかし浩太もめぐみもその選択肢はなく、中退して今すぐ大阪に行く一択だった。これはなぜなのか。(もちろん、若い情熱で、今すぐ私も一緒に行って浩太さんを支えたい、と思うのはわかるけれど)

舞も同じ。まずは大学を卒業して、その後航空学校へ行くのではなぜいけないのか、についての説明がなかった。めぐみは、女がパイロットを目指すこと自体に不安を感じているようだが、大学は卒業してほしい、という気持ちはよくわかる。パイロットになるとしても、航空工学をきちんと学んでおくことは役に立つと思うし、自分が舞の友人なら「卒業してからにすれば?」と言うと思う。その二年が待てない理由が知りたかった。



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