窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

図鑑の謝辞

最終回に図鑑の前書きが放映された。できれば全文読みたいところだが、画面から謝辞の部分を抜き出してみる。(漢字と仮名遣いは現代に合わせて修正)

更に、小生が植物の道を歩んでこられたのは、様々な人々のご尽力あってのものである、学問への道を切り開いてくださった名教館の池田蘭光氏、植物分類学を教授賜り絶間ない支援を供与せられたる里中芳生氏、野田基善氏、その後、東京大学植物学教室への出入りをお許しくださった田邊彰久氏、生涯研究を支えてくださった徳永政市氏、研究を共に致したる大窪昭三郎氏、本書完成事業の進捗並び刊行などに関し、波多野泰久氏、藤丸次郎氏、堀井丈之助氏、山元虎鉄氏の斡旋尽力に負うことの多大なり、小畠治氏、鳥羽成太郎氏、他学生諸君が、小生のため温かき友情を披露し学問のために奮って加勢せられたる事とは、小生の深く感謝して措かざるところである

また本書の作図は中に小生自身の描きしものもあれども、野宮朔太郎氏の絶ゆまざる努力に負うところ多きをもって、今これに対し玆にその労を感謝せねばならぬのである

次に山元千歳、槙野百喜、槙野大喜、槙野千鶴の不堯精励もって原稿の整理、校合の努力、図書の整理、印刷所との交渉等の万端、これら家族の労力に対してもまた小生の感謝するところである

終わりに、妻である槙野寿恵子は小生と歩むことおよそ五十年、ともに図鑑を完成させる事を夢見てきた、幾多の困難に立ち向かいてこの図鑑の完成をもたらしてくれた寿恵子に特段の感謝を捧ぐ、空へと還った我が娘の園子に、本書が届くよう祈る

さて、蘭光先生から始まって家族まで一々名を挙げて感謝の意を表しているが、名教館の同門であり生涯の友であった広瀬佑一郎の名がない。これについてはSNSでも疑問視する声があった。

隠れて読めない前半の部分に書かれているのでは、という説もあったが、これに対して、順序としては蘭光先生が先頭だろうからそれ以前にはないのではという意見があり、読み返してみると、文章としても謝辞は上記引用した部分から始まっているのは明らかなので、佑一郎の名は抜けていると考えざるを得ない。

索引を手伝っただけだから省いた、とか、過去の反省から田邊教授の名はちゃんと書かれているが、今度は佑一郎を抜かしてしまい、万太郎のうっかり屋さんなところが現われているとかいう説もあった。いろいろ想像するのは楽しいが、自分は佑一郎が辞退したのではないかと考えている。既に専門分野で十分な評価を得ているから、今さら畑違いの分野で名前を出さなくていいと。それを万太郎が受け入れたのではないだろうか。

ただし、彼の、索引への注意喚起は、さすがは別分野とはいえ一流の研究者だと思ったし、非常に貴重な助言であり、図鑑の作成に限っていうならば、もちろん特筆大書されてしかるべき貢献であった。



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