窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

アンヌ隊員の魅惑的な肢体「鏡の中の野心」

今月、銀座シネパトスでひし美ゆり子の出演する映画が5本上映される、ということをひし美さんのブログで知り、さっそく見に行った。1本が一週間かかっているのかと思ったが、よく見たら5日間だけ。毎週の銀座通いも厳しいけど、5日では、全部観るのはキツイ。しかし大画面で見られる機会はもうないかも知れない……

題名鏡の中の野心
監督小林悟
原作戸川昌子
出演荒木一郎(瀬木山雄二)、堤杏子=ひし美ゆり子(筒見杏子)、戸川昌子戸川昌子)、他
制作日本(1972年)
劇場銀座シネパトス

感想

  • 長らく幻だったひし美ゆり子の初主演映画(つい先年DVDが発売されたようだが)。
  • ポルノ映画だということは事前に承知していたが、瀬木山が出会う女、出会う女、みな瀬木山が好きになり、かつ、色情狂かと思われるほど即物的。やたらにヌードが出てくるので、すぐに食傷した。が、そんな中でひし美ゆり子演じる筒見杏子は簡単には瀬木山になびかず、凛としたところを見せてくれたのはカッコ良かった。谷本香子に挨拶に行き、お辞儀をした時、胸元がかなり奥まで見え、思わずゴックン。
  • この映画が制作されたのはひし美ゆり子が24歳の時で、「ウルトラセブン」の4年後になる。4年の歳月が経ってはいるが、顔も声も喋り方もアンヌそのまま。ちょっと表情に色気が出てきたかなあとは思うが……。そのアンヌのヌードは、ファンとしては複雑は心境だ。前半はチラっと胸が見えるものの、他の女優たちのように脱ぎッパではない。が、ラストに近いところで素裸で瀬木山と波打ち際を走り、砂の上で絡み合って嬌声を上げる姿は、ちょっとツライものがあった。
  • ストーリーはいちいち記すほどもないような退屈なもので、要するに瀬木山が次々に女をコマして、その女を利用して金を手に入れ、難航した筒見杏子もようやく落とし莫大な金と権力を手に入れた……と思ったところが、最後にどんでん返しが。なるほど、清純そうな笑顔の下にこんな企みを隠していたワケか。この瀬木山をはるかに上回る悪女ぶりは、ひし美ゆり子の演技力あってのもの。お見事。
  • この筒見杏子の手口は、松本清張の「わるいやつら」を彷彿させる。
  • 瀬木山が仕掛けた隠しマイクが、あまりにも大きく不格好で、37年の時の流れを感じるというより、「こんなん、一発でバレるがな」と笑いをこらえるのに必死だった。
  • タクシーの初乗りが170円になっていた。現在は620円。これを基準に考えれば、物価は約4倍ということになる。つまり筒見杏子が濡れてに粟で手にした5000万円は、およそ2億ってことだ。でもまあ、事業資金と考えればそれほど大金というわけでもないか。
  • ひし美ゆり子は、この3年後にTVドラマ「手紙−殺しへの招待−」へ出演。これはDVDを持っているが、かなり濃厚なベッドシーンを何度も披露している。これは確かにひし美さんなのだが、役者としても、肉体的にも、かなり成熟しており、僕としては完全に「アンヌとは別人」であるところの、一人の素敵な女優として割に冷静に見ていられた。そしてその美貌と色気のある姿態に胸をかき乱されたものである。

過去記事

リンク

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