坂の上の雲 第五回「留学生」

出演

感想

第一部最終回。録画したものをようやく見た。

1時間半は長い。二つか三つの話を続けて放送している印象で、話の核がなくわかりにくい。放映日の関係もあろうが、45分×2話構成の方がずっとよかったのではないか。

正岡子規は松山へ戻って小康を得るが、だんだん悪くなっていく。残された時間は少ないからこそ、命がけで俳句に取り組むという。が、彼が俳句を通じてどのような人と知り合い、彼の句がどのような雑誌に掲載され、それがどのように評価されたか、という点がすっぽり抜けているため、単に新聞記者が趣味で俳句を詠んでいるだけのようにしか見えない。野球に興じたのも一瞬だけだったし、「正岡子規」という名前を知っているから話が通じているだけで、どのような俳人だったかがさっぱり伝わって来ない。香川が熱演しているだけに残念だ。

律は献身的に介護し、「私が死なせません」と言い張る。真之が、子規はあなたには心から感謝しているが、一番望んでいるのは幸せな結婚をし、正岡家の跡継ぎを産むことなのだ、自分はあなたを説得するよう頼まれた……と言うと、「じゅん様はなぜ結婚しないのですか?」と訊き返される。律は結婚しない、一生兄の世話をするというが、2回結婚に失敗しているからね。本当なら、子規がさっさと嫁を娶り、自分の世話は嫁にさせ、元気なうちに跡継ぎを作っておくべきなのだろうが。そして律としては、淳五郎こと真之のことを本当は慕っているんだろうけど。

真之はアメリカ留学が決まり、戦術家として名高いアルフレッド・マハン(米海軍予備役大佐)から直接教えを受け、さらに米西戦争を目の当たりにして戦術およびその効果について詳しく調査。この体験がのちに日露戦争の際に大きな効果を発揮する。その後はさらにイギリスへの留学が決定。

真之の友人の広瀬武夫はロシアへ留学することになる。そこで美人のロシア娘に言い寄られ、それに腹を立てたロシア軍人ボリスと喧嘩になるも柔術の投げ技でこれを叩き伏せるなどやんちゃぶりを発揮。

政治面では――伊藤博文は戦争に否定的で、これ以上の挑発的行為を慎むよう陸奥宗光らにきつく言いつけるが、逆に、力の裏付けを持たない外交政策は何の意味もない、もっと軍事力をつけるべきだと言いくるめられる。日清戦争に勝って遼東半島を手にしたのに、三国干渉によって放棄させられ、しかもその日本が放棄した遼東半島をのちにロシアが実質的に支配するようになるので、このロシアに勝たない限り日本の将来はないというのが、当時の支配的な考えだったのだろう。

リンク

ドラマでは描かれなかった正岡子規の状況が詳しい。

明治維新以降、日本が使節団や留学生を大量にヨーロッパに派遣したことは、良く知られている。

本来、国交を結ぶ際には、その国に視察に行き、相手国の状況をよく見定めてから交渉をすべきと思うが、鎖国が恐ろしいと思うのは、夷敵(外国人)が神国日本を踏み荒らしたら国が滅ぶ、などと言っておきながら、ちょっと脅されると(ちょっとではなかったのかも知れないが)、ろくに相手のことも調査せずいいなりの開国をしてしまったことである。明治に留学が流行ったのはその反省であろう。