窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

お江は説教をするのだ/07「母の再婚」

出演

雑感

少々あざとい題だ。描かれたのは「清洲会議」であり、その結果(のひとつ)として市の再婚があったに過ぎないのに。しかしこのドラマの世界にあっては、好きでもないのに嫁いだりファザコンの娘に新しい父親ができたりといったことの方が重要なのだろう。

清洲会議は、1982年6月27日に開催された、織田家の跡継ぎおよび領地配分を決める会議である。集まったのは、柴田勝家丹羽長秀池田恒興羽柴秀吉の4名。……たったそれだけ? 家臣団が集まってきたのかと思い込んでいたが、実際にこの4人だけだったようだ。ドラマでは別室に信雄(のぶかつ)と信孝が控えているが、なぜか会議には加わらない(史実では信孝は欠席)。織田四天王の一、滝川一益は、戦の真っ最中で参加できず。

織田四天王といえば、柴田勝家丹羽長秀滝川一益明智光秀を指す。首席家老が柴田勝家で、次席が丹羽長秀木下藤吉郎羽柴秀吉を名乗る時、柴田と丹羽から一字ずつ取って「羽柴」という姓を作ったことからもこの二人が信長の両腕だったことがわかる。秀吉はベスト4にも入っていなかったことになるが、中国攻めをしていた頃は5位くらいに食い込んでいたのではないか。それが逆賊・明智光秀を討ったことで急に名を挙げ、無視できない存在になったわけだ。清洲会議では4人しかいない中に池田恒興がいるのが不思議だが、山崎の合戦に合流し、光秀を討つのに協力したのが効いて重臣の地位を得たのだろう。

三男の信孝と嫡孫の三法師とどちらが織田家の跡継ぎにふさわしいか、という問題ではなく、後見する武将のどちらが、信長が治めていた広大な勢力圏を維持・発展させるにふさわしいか、という問題である。丹羽と池田は秀吉がふさわしいと判断した……から、勝家は引っ込まざるを得なかった。

敵対するのは勝家、と考えた秀吉は、自分に味方するよう事前に丹羽と池田を懐柔したはずである。ドラマではその場になるまで三法師の存在を隠していたが、これは変だ。勝家に隠していたのはわかるが、妻や母にまで隠す理由がない。まあ、お江がひょっこりやってきたりするので、情報が柴田側に漏れたら一大時、と警戒したのだろうか。

前回、光秀に説教をかましたお江は、今回は秀吉に噛みつく。「なぜそのような大事、そなたが決めるのじゃ!」と。なぜかはワタシが説明してあげよう。秀吉は織田家重臣だ。おまけにいち早く信長の仇を取り、今まさに日の出の勢いの武将だからである。そしてお江よ、いくら信長の姪御だからといって、キミこそ政治に口をはさめる立場ではないのだよ。

信長の受け売りで姉に訓示を垂れるくらはかわいいが、重臣に説教して回るというのはねえ。まあ、そうでもしないと主役の登場する場面がないのだけど。