窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

サスペンス&ヒューマン「スリーデイズ」

題名スリーデイズ(The Next Three Days)
監督・脚本ポール・ハギス
原作フランス映画「すべて彼女のために」(2008)のハリウッドリメイク
出演ラッセル・クロウ(ジョン・ブレナン)、エリザベス・バンクス(ララ・ブレナン:ジョンの妻)、ブライアン・デネヒー(ジョージ・ブレナン、ジョンの父)、レニー・ジェームズ(ブルシ警部補)、タイ・シンプキンス(ルーク・ブレナン:ジョンとララの息子)、他
公式サイト映画『スリーデイズ』公式サイト
制作USA(2011年9月23日日本公開)
劇場TOHOシネマズ ららぽーと横浜

雑感

最近、やけにリメイクが目につく。ハリウッドもネタ枯れか? でもやっぱりハリウッド映画は面白いと思うの。思うの。

ジョンは平凡な大学教授。妻のララも仕事をしているが、上司とどうもソリが合わない。ある日、上司と口論をしたあとその上司が何者かに殺され、ララが殺人容疑で逮捕されることに。ララはもちろん犯行を否認、ジョンもそれを信じるが、裁判の結果、罪が確定してしまう。

ジョンは控訴して冤罪を晴らそうと動きまわるが、引き受ける弁護士が見つからない。ララの精神も限界に達しているとみたジョンは、ついに脱走させることを決意。

そこから先は手に汗を握るダイナミックなストーリーで、あっという間に話が進む。それに比べて前半にあまりにも時間をかけ過ぎ、テンポも悪いとする評をあちこちで見た。僕はそうは思わない。正当な方法で彼女を取り戻す手段が断たれたジョンにとって、諦めるか、イリーガルな手段によるか、道は二つしかない。これまで(恐らくは)一度も法を犯したことはなく、裏社会との付き合いもまるでないジョンにとって、イリーガルな手段の選択は極めて大きなリスクを伴う。もちろん、失敗すれば現在よりもはるかに状況は悪くなるのは火を見るよりも明らかである。そうした中、さまざまな葛藤を経て脱獄に踏み切るまでの心理描写は見ごたえがあった。

それにしても、救いのない映画だ。ララの殺人容疑はどうやら冤罪らしい、と視聴者に確信が持てる説明があったからまだいいようなものの、ララの容疑に疑問を持った刑事が再調査をしてみるも、タッチの差で証拠が見つからず。ジョンは、ヤクザ者から身を守るためとはいえ、本当に殺害を犯してしまうし、とりあえず警察の手を逃れて国外脱出は成功しかけるが、これから長い間、本名を名乗ることも、親や兄弟、友人と会うことも連絡を取ることもできず、生涯、日蔭者として生きていかなければならない。そうした孤独と、いつつかまるかという不安に耐え続けることができるのだろうか。行きつく先は一家心中しかないのではないか。

せめて、ラストでジョンとララが抱き合ってほしかった。

面会にきたジョンに「セックスできないのがつらい」と漏らしたララのセリフがリアル。妻の無実を信じ続けるジョンの態度が心を打つ。チラとでも妻を疑ったりはしなかったのだろうか?

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(2011/10/24 記)