題名 | 超高速!! 参勤交代(2回目) |
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劇場 | TOHOシネマズ ららぽーと横浜(スクリーン8/211席) |
雑感
二度目なので、筋はわかっているものの、それでも面白かったし、十分笑えた。「相馬、金はなくともお主には知恵があろう。なんとかせい」「ご家老、知恵を出してくださいませ」「相馬、知恵が出ぬなら禄は支払わぬぞ」などなど、相馬兼嗣に対する周囲の無茶振りが酷過ぎる。しかし、そう言われてちゃんと知恵を出すのだから、相馬はすごい人材なのだ。
江戸城の手前で隠密総動員で政醇の一行を襲った時、あんなに大勢で襲えば人目につく。人目についたら隠密の私的利用が露見するのでは? と思ったが、その直前に突風が吹いて、町人たちは家に入り戸を閉めていた、というのが伏線なわけね。その時表には関係者しかいませんでした、という。
政醇が参勤して松平信祝の悪事を暴き立てた後、徳川吉宗が「信祝の独断ということはわかっていた。証拠をつかむためにわざと泳がせておいたのだ」というセリフはいかがなものかと思った。その上、ムッとして吉宗を睨み付ける政醇に、「不服か? 余は弱い家臣はいらぬぞ」と畳み掛けるのはいくらなんでもヒドイ。極めて幸運なことに、今回は政醇たちには誰も死人が出なかったからよかったようなものの、全員が死ぬかも知れないところだったのだ。
が、そのあと「私たちはよいのです。万が一、上様が真に愚かであれば、苦労するのは民ですから」と言い返したのはいくらなんでもまずかったのではないか。これは言い訳のしようのない、上様に対する侮蔑の言葉で、その場でお手打ちになっても文句の言えないところだったのでは。
上様はさほど気にする様子はなく、政醇の心意気は値千金だ、と褒めるわけだが、言葉だけではなく、なんらかの報奨金を与えたのかなあ。どうもあの様子だと与えていないようだが、本来一年おきの参勤交代を、冤罪によって(冤罪であることを上様も承知の上で)立て続けに呼びつけたわけだから、かかった費用くらいは幕府が払うべきだ。余計な出費のために藩が潰れてしまう可能性だってあるのだから。
ところで、もともとの幕府の指示は5日以内の参勤である。そのように指示された江戸家老が必死で馬を駆ってその日のうちにいわきまで来てそのことを伝え、翌朝にいわきを出発したから、4日で江戸まで、ということになったのだ。江戸〜いわき間は280kmである。馬を使えば一日で行かれるものなのかしら。江戸時代の馬は現代の競走馬のようなサラブレットではない。日本在来種はサラブレットよりずっと小さく、スピードも出なかったというのは時代劇あるあるだが、当時の馬の速度は時速30km程度だったらしい。宿場町ごとに馬を乗り換え、人間は休憩なしで走り続けたとしても9時間以上。通達が朝何時に江戸家老に渡されたのかはわからないが、かなりの苦労があったものと思われる。
また、江戸家老からそのことを伝えられてのち、対応策を一本にまとめ、荷物を用意し、金策に走り、準備を整えて出発するまでをわずか一晩で成し遂げた点にこそ「超高速」の神髄があったのではないか。もちろん、ここで時間を取られて出発が遅れては間に合うものも間に合わなくなってしまうわけだが。
過去記事
- 面白く、カッコよく、胸を打たれる「超高速! 参勤交代」(2014/06/23)