窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「ブギウギ」(112)

第24週「ものごっついええ子や」(月)

放送日

  • 2024年3月11日

概要

羽鳥善一作曲二千曲記念ビッグパーティーの日が近づいてくる。羽鳥はスズ子たちに、パーティーで余興をしてほしいとお願いする。スズ子がりつ子に相談すると、羽鳥があっと驚くようなことをしたいと言われ、スズ子が内容を考えることになる。そこでスズ子が考えた余興は……。パーティー当日、まずはスズ子が「東京ブギウギ」を披露。しかし、りつ子は余興をするかどうかまだ迷っていた。(NHKオンデマンドの解説より)

感想

服部良一の二千曲記念パーティー笠置シヅ子淡谷のり子が何をしたか知っていたので、どこまでそれを再現するのかに興味があった。残念ながら? 生足ではなく、スラックスを穿いての踊りだったが、梅丸歌劇団出身のスズ子はともかく、りつ子の足が高く上がっていたのは驚いた。調子に乗って舞台へ上がった羽鳥先生が、足を挙げようとして派手にすっ転んだのも。転ぶのは草彅からの提案だったらしいが、元SMAPで踊りは踊れるはずの草彅が転ぶところがいい。

余興は一日で終わり。愛子役の小野美音も今回がクランクアップらしい。

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左から山本和子(毬谷友子の母)、山本照子、淡谷のり子渡辺はま子、小川静江、笠置シヅ子服部富子服部良一の妹)



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「ブギウギ」(111)

第23週「マミーのマミーや」(金)

放送日

  • 2024年3月8日

概要

梅吉が亡くなった。葬儀では、松吉が号泣しながら、遺影の自慢をする。そんな中、スズ子は、葬儀に参列していた杖をつきながら歩く初老の女性と目が合う。それは、およそ15年前に一度だけ話をしたことがあるスズ子の生みの親、キヌだった。あのときは幼かった二人の息子たちも、今では立派な青年となっていた。スズ子は、キヌと二人で話をすることになる。(NHKオンデマンドの解説より)

香川から東京へ戻ってきた後、スズ子はかつてキヌからもらった金時計を愛子に託す。

今日の愛子とスズ子とキヌ

愛子「マミーのお友だち?」
スズ「そうやなあ……、マミーのマミーや」
キヌ「……」

今日の愛子

「おじいちゃんどこ行ったんやろ?」

感想

香川で梅吉は、キヌやその子らといい関係を保っていたらしい。写真を撮ったり可愛がったりして。周囲の目もあるから本当のことは言えないが、そうやって気にかけていたんだろう。だから梅吉の葬儀にキヌが来て、スズ子と会うことになり、話をすることができた。キヌの子らは「福来さんのような有名人と知り合いなんて、母ちゃんもやるやん」と呑気に言っていたから、知らないのだ。

だから愛子にキヌのことを聞かれたスズ子が「マミーのマミーや」と答えた時は焦った。今ここで言わなくてもと思ったのだ。それで愛子がキヌに向かって「おばあちゃん!」と叫んで近寄って行ったりしたら、子らに気付かれるではないか。もっとも、キヌの子ももう大きいから、事実を知っても動じることなく、「天下の福来スズ子が実の姉だとは!」と喜ぶ(だけ)かも知れないが。

スズ子にとっては親のことはずっとわだかまりがあったが、最後に梅吉と、自分は知っていたことを伝え、知っていたのに知らないふりをし続けたことを梅吉から感謝され、ようやく解放されたのだろう。

金時計を「発見」したのも面白い。実の両親のいわば形見だが、受け取ってからこれまで、恐らく見たり触ったりしたことはほとんどないはずだ。今回も、鐘を鳴らすアレを探していてうっかり見つけてしまったのだ。が、わだかまりも解けた今、隠すことなく堂々とそれを愛子に見せることができた。

それにしても、こんなことならもっと早く梅吉が香川へ帰って来ていたら、と思う。大阪で独りにしておけないと、半ば強引に東京へ連れて来たが、東京での梅吉は明らかに病んでいたし、スズ子とはお互いに悪影響しか与えていなかった。映画監督にも脚本家にもなれなかったが、カメラマンとしては大成した。その方面の才能は確かにあったのだ。

なお、タケシの「仕事詰まってますよ、予想外に香川が長引いちゃったから」はいくらなんでも無神経過ぎるセリフだ。これでは「梅吉がさっさと死んでくれないから」というように聞こえる。梅吉が予想より数日生き延びてくれたおかげで、スズ子はきちんと向き合うことができ、愛子はおじいちゃんと仲良くなることができたのだ。ドラマ内では誰も気にしていなかったけど、自分はこれまでのタケシのセリフや態度で一番気になった。

さて、過去編は終わり(だろう、さすがに)。残り三週間。どう展開する!?



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「ブギウギ」(110)

第23週「マミーのマミーや」(木)

放送日

  • 2024年3月7日

概要

久しぶりに香川に戻ったスズ子は、梅吉が写真館を切り盛りし、繁盛していたとの話を聞く。梅吉が大切にしていた写真が倉庫にあると言われ、スズ子が倉庫にあったアルバムを見ていくと……。一方、愛子は、はじめは梅吉に近寄らずにいたが、一人でこっそりと梅吉の部屋を訪れる……。やがて、医者から今夜が山だと聞かされる。スズ子は、寝ている梅吉に、昔を思い出しながら話しかける。(NHKオンデマンドの解説より)

昏睡する梅吉の枕元でスズ子は、「なんで血がつながっていないことを話してくれないのか、いつか話してくれるのか、と思ったこともあった……」と呟くと、「話す必要がなかったからや」と返事が返って来る。スズ子の言葉を聞いていたのだ。「ワシらは血よりももっと濃いもんでつながっているから、話す必要がなかったんや」「知っていたのに黙っていてくれたんやな、わしとツヤちゃんを親にしてくれて、ありがとな」

梅吉はスズ子に歌を歌ってくれとせがむ。何の曲がいいかと問うスズ子に、梅吉は「父ちゃんブギ」。なにゃそれ、というスズ子に、梅吉は「東京ブギ」の「東京」を「父ちゃん」に入れ替えた替え歌を歌う。

感想

昨日は、愛子が梅吉を「嫌がるのも無理はない」と書いたが、今日はすっかり仲良くなって亀の話で盛り上がったりしていた。梅吉の人柄によるものか。

枕元でのスズ子と梅吉のシーンは少々くどい。いくら危篤だとはいえ、まだ生きて、話もしている相手に、泣くものだろうか。田中好子が危篤状態に陥った時、伊藤蘭藤村美樹が呼ばれ、約7時間、ずっとそばについていたそうだ。この時、彼女らはスーが息を引き取る前に泣いたりしたのだろうか? ちょっと過剰な演出のように思われる。

週タイトルは「マミーのマミーや」だがまだ「マミーのマミー」は登場しない。



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「ブギウギ」(109)

第23週「マミーのマミーや」(水)

放送日

  • 2024年3月6日

概要

スズ子は四か月間におよぶアメリカ公演から帰国し、留守中に完成した新居を訪れる。スズ子は、愛子が自分を受け入れてくれるのか心配していたが……。スズ子が日本に戻ってから一年。スズ子はすっかりご近所さんと馴染みになっていた。そんなある日、香川の松吉から電報が届く。がんで闘病していた梅吉が危篤になったという。スズ子は愛子を連れて香川へと向かう。(NHKオンデマンドの解説より)

感想

ドラマでは、スズ子が出産直後に梅吉が会いに来て以来だが、描かれなかったところで何度か香川に来たりしたのか? 忙しくはあっただろうが、その気になれば、地方公演のついでに立ち寄ることもできただろう。もしそうでなければ、愛子にとっては今回が祖父との初対面になる。

「なかなか来れなくて堪忍やで」と梅吉に謝罪するスズ子。梅吉は「こうして帰って来てくれて嬉しい。おかげで寿命が二時間延びたわ」と言うが、「堪忍やで」は愛子にも向けられなければならない。実の祖父が元気なうちに会わせてあげられなかったこと。だから、せっかくこうして香川まで来ても、愛子は梅吉を一目見て、「遊びに行く~」と言い出す。知らないおじいさんに向かってお話しろと言われても話すことなどない。第一、退屈だ。嫌がるのも無理はない。

梅吉の写真館は流行っていたのだそうだ。当時の写真はしかめっ面をして写るのが普通だったが、梅吉は被写体をリラックスさせ、笑顔にしてそれを撮っていた。なるほど人気が出るのは頷ける。また、これまで何度もドラマ内で映って来たツヤの遺影が、妙にはしゃいでいる感じに違和感を持っていたが、これが梅吉流なのだと納得。

水着のおねーさんの写真が大量に出て来たのは、ご愛敬。



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「ブギウギ」(108)

第23週「マミーのマミーや」(火)

放送日

  • 2024年3月5日

概要

アメリカ行きを決めたスズ子だったが、愛子は、置いていかれることに拗ねてしまう。旅立ちの直前に開催された「お見送りショー」には、おミネたちも応援に訪れ、最後に披露された「東京ブギウギ」で会場は大盛りあがりとなる。しかし、客席で大野と一緒に見ていた愛子は相変わらずの様子でいる。出発の日、泣き叫ぶ愛子を残し、スズ子は胸が引き裂かれる思いで家を後にする。(NHKオンデマンドの解説より)

感想

今日はすべてを小野美音が持って行った。拗ねる仕草も、泣いたり甘えたりする態度も。お見送りショーに愛子も見に来て、「こんなに大勢の人から応援されているんだね! マミー、頑張ってね!」と安易にならない脚本は素晴らしいが、笑顔にはならずとも拗ねている顔に微妙に変化あり、マミーの人気が誇らしくはあるのだな、と感じさせる。出発当日も、「行ってらっしゃい」と言いたい、言わなくちゃいけないということは本人もわかっているようなのだが、「行って来ます」と言われたらつい「いやあー」と声が出てしまい、言い出したら止まらなくなってしまうところなど。

小野美音は本当にすごいが、朝ドラを見ていると、とにかく子役がみな素晴らしい。失礼ながら、中には本役の人よりずっとよかったと言いたくなる人もいる。NHKは何処からあんな子たちを見つけて来るんだろう?

出発まで大騒ぎとなった渡米だが、今日一回で四ヵ月のアメリカ公演は終わりのようだ。アメリカロケができるわけはないから簡単に済ませるのだろうとは思ったが、今日出発してそれで終わりとは思わなかった。

ところで、この渡米中に引っ越しも行なわれたと知って驚愕した。そこまで大野に押し付けたのか? スズ子は鬼やなあ。そもそも引っ越しに際して、何を捨て何を持っていくのか、新しい家具の購入や配置など、家主がいなければ決められないことはゴマンとあるはず。仮に家が完成したとしても、帰国を待って引っ越しをすればいいではないかと思うが……

「お見送りショー」での「東京ブギウギ」。さらなる成長を見せるスズ子などSNSでも評判がよいが、挨拶は肉声なのに歌に入ると突然、録音演奏になるのが不思議。急に声が変わって戸惑うし、ライブ感がブチっと切れる。演出上の理由があるのだろうが、ライブでやってほしいなあ……。



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「ブギウギ」(107)

第23週「マミーのマミーや」(月)

放送日

  • 2024年3月4日

概要

タケシがスズ子のマネージャーになって二か月。タケシはすっかり馴染んでいた。そんなある日、羽鳥善一からアメリカの公演に行かないかとの話が出る。スズ子は、本場の客の前で挑戦してみたいという気持ちがある一方、愛子を連れて行くことはできないと聞き、迷ってしまう。スズ子が結論をなかなか出せないでいると、タケシが先に愛子にアメリカ行きのことを話してしまう。(NHKオンデマンドの解説より)

感想

愛子の面倒を見ているのは、大野さん(主に昼間)とスズ子(主に夜)、今はタケシも結構遊び相手になってくれて、愛子も懐いている。そのスズ子とタケシが約四ヵ月、日本を離れる。愛子が母親を恋しがるだろうという問題はさて措き、これをスズ子は大野さん一人に押し付けるつもりなのか?

若いスズ子だって、出産してしばらくはワンオペで相当苦労したはず。それも(あまり頼りにならなかったとはいえ)山下などが頻繁に顔を出してくれていた。大野一人では気の休まる暇がない。もし愛子が病気になったらどうするのだろう。買い物行くにも愛子を連れて行くわけにはいかず、さりとて病人の愛子を一人置いて出かけられるわけがないではないか。大野に何かあった時はどうするのか。

ドラマ内では描かれなかっただけで、家政婦協会に連絡し、期間中はあと2~3人は派遣してもらう手はずを取ったのだと思いたい。が、小夜や山下の時にそうだったように、スズ子は無茶振りを平気でするから心配だ。



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(07)「おかしきことこそ」

題名

  • 「光る君へ」第07話「おかしきことこそ」

放送日

  • 2024年2月18日

登場人物

概要

道長への想いを断ち切れないまひろは、没頭できる何かを模索し始める。散楽の台本を作ろうと思い立ち、直秀に直談判。まひろの演目は辻で披露され、次第に評判を呼び大盛況に。噂を聞きつけた藤原家の武者たちが辻に駆けつけ大騒動に。一方、道長や公任ら若者たちはポロに似た球技・打毬(だきゅう)に参加する。招待されたまひろは倫子たちと見物に行くことになるが……。(公式サイトより)

985年、よしこ亡くなる。

為時は帝に、何もかも義懐(よしちか)にお任せするのはいかがなものか、と苦言を呈すると、信用できる者が義懐とお前しかいないのだから仕方がないと言う。それを聞いた為時は、兼家の間者でいることが耐えられなくなり、兼家に解任を願い出る。それが認められ、晴れ晴れと帰宅すると、まひろは喜んだが、宣孝は、次の帝は右大臣の孫だ、右大臣の側にいなくてどうすると叱り、いとは、以前のようなみじめな暮らしはもう嫌だ、右大臣の引き立てがなければ太郎もどうなるかと言って為時に泣きつく。

打毬に道長が出ることを知ったまひろは、観戦を躊躇するが、結局見に行くことに。倫子、茅子、しおり、赤染衛門のほか、ききょうも来ていた。まひろはこまろを抱き、なるべく下を向いているが、ついつい目は道長を追ってしまう。試合後、逃げ出したこまろをおいかけたまひろは、斉信らがまひろのことを「あれは地味でつまらぬ」「あれは身分が低いからダメだ」「女こそ家柄が大事」などと言っているのを聞いてしまう……。

今日の藤原兼家

「人の命を操り、奪うは卑しき者のすることだ」(どの口が言うか……)

今日の桐子

「あなたそれ、私に言わないで、日記に書きなさいよ」

今日の道隆と道兼

「父上に無理させられて、疲れておらぬか。お前は気が回る。その分、父上にいいように使われてしまう。そうではないか」
「……」
「わしはわかっておるゆえ、お前を置いてはゆかぬ」

今日の為時と兼家

「右大臣さまの御恩は生涯忘れませぬ。しかし、このお役目は、お許しくださいませ。……これ以上帝を偽り続けますことは……」

雑感

いくら斉信らの話を聞いて傷ついたからといって、こまろの捜索を打ち切って帰宅してしまったのはいただけない。視聴者は「帰るのかよ!」と叫んだに違いない。

斉信はききょうに首ったけ。しかしききょうは人妻だ(知らなかったがこの時点で子持ちのようだ)。

兄からの温かい(?)言葉に泣き出す道兼。本当は素直な、いい奴なのかも知れない。だんだん道兼が哀れに思えて来た。

花山天皇は為時が右大臣とはつながっていないと思い込んでいて、そんな帝の様子を兼家に伝えるのは気が咎めるのかも知れないが、別に為時は帝を騙しているわけではない。まして何か陥れたりしているわけでもない。ただ「報告」をしているだけだ。そこは割り切ってもいいんじゃないか、とは思う。世渡り下手は、悪いことではないが。

今日のtwitter

「ブギウギ」(106)

第22週「あ~しんど♪」(金)

放送日

  • 2024年3月1日

概要

ワンマンショーに向けて稽古や衣装合わせが続く中、スズ子は新しいマネージャーのタケシの様子を見て不安を感じていた。スズ子が大野にタケシのことを相談すると……。そして迎えたショー当日、タケシは寝坊して遅刻してしまう。楽屋にやってきたタケシに、スズ子は自分のステージをよく見とくようにと伝える。山下が側にいない中で臨む舞台、新曲「買物ブギ」が会場を席巻する!(NHKオンデマンドの解説より)

感想

ついに「買物ブギ」のお披露目。これまでのたくさんの歌の中で一番いい歌だし一番難しい歌。この歌が聞きたいがために今回の朝ドラを見始めたようなもの。twitterでも絶賛されていた。

悪くはなかったけど、礼によって口パクだったため、歌と踊りがバラバラ。特に今回は周囲の大勢の人も含めての踊りというか演技がコミカルでリズミカルで素晴らしいものだったからこそ、いっそう残念だった。

タケシは、やる気があるが知識と経験が浅いためにできることがあまりなく、失態を演じてばかりいる……というのではなかった。もともと好きなものもやりたいこともなく、仕事にも打ち込めず、一方で叱られるのはイヤだという若者なのだな。だから嘘を尽くし、すぐに言い訳をする。ワンマンショー当日に寝坊して遅刻してしまうのだが、こんなんではクビにされる、その前に自分から辞めると言おう……と考えてしまう。そういうのはわかるなあ。こういう「身体は健康だけど、物事に情熱的になれない人」が戦後は大勢登場したのだろう。

遅刻してきたタケシにスズ子の第一声が「来たな。逃げたかと思うた」だったのはいいな。



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「ブギウギ」(105)

第22週「あ~しんど♪」(木)

放送日

  • 2024年2月29日

登場人物

  • 三浦獠太(柴本タケシ、山下の甥)

概要

スズ子のマネージャーを辞めるという山下は、新たなマネージャーとして自分の甥の柴本タケシを連れてくる。初めは拒むスズ子だったが、どうしても辞めるという山下に押され、渋々タケシをマネージャーとして受け入れることにする。翌日、スズ子はタケシを連れて、完成した新曲「買物ブギ」を受け取りに、羽鳥善一を訪ねる。しかし、タケシの頼りなさが露呈してしまう。(NHKオンデマンドの解説より)

感想

業界経験の長いベテラン山下の後任が、業界経験ゼロどころか社会人経験なしの若者とは、いくらなんでも無茶だ。その上ろくな引継ぎ期間もなく、入れ替わってしまう。せめて数ヵ月くらい一緒について回らなければ、仕事は覚えられないだろう。そもそもマネージャー職は顔つながりが命ではないのか。未経験者に務まるとは思えないが……

スズ子が練習中に居眠りをしていたことでスズ子の怒りが爆発する。スズ子がワンマンショーを控え、ピリピリするのはわかるが、本来歌の稽古相手はマネージャーの仕事ではなかろう。慣れない仕事で気を遣い、走り回って、やっと座ってほっとして、ついウトウトしてしまった、そこを咎められるのはかわいそうだ。

スズ子は自分を支えてほしいのであって、自分が育てる気はないのだろうが、柴本を受け入れた以上は、もっとうまく使わないと潰れてしまう。それにしても山下は、「タケシのことは自分が保証します!」と威勢のいい啖呵を切ったが、ボンのことでわかるように、この人、身内には甘いのだ。



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「ブギウギ」(104)

第22週「あ~しんど♪」(水)

放送日

  • 2024年2月28日

概要

村山トミが亡くなった。スズ子は愛子を連れて葬儀に参加し、久しぶりに坂口や矢崎とも再会する。一方、長年トミと仕事をともにしてきた山下は、遺影の前にたたずみ、ある重大な決断をしようと心に秘めていた。数日後、スズ子は羽鳥善一から新曲を渡される。これまでになく難しい歌に練習を繰り返すスズ子のもとに、山下が改まって訪ねてくる。(NHKオンデマンドの解説より)

山下は、マネージャーを辞めたいとスズ子に告げた。トミが亡くなって気が抜けてしまったというのだ。スズ子は必死で慰留するが、山下の決意は固い。

今日の矢崎と坂口

矢崎「こそこそっとレコード集めて聴いたり、タナケンとやった映画、あれを見に行ったり」
坂口「全部バレてるっちゅうんや。なあ」

感想

前日の予告では葬儀の場でマスコミにもみくちゃにされるシーンが映ったため、ひと騒動あるのかと思ったが、ただそれだけで、別に何事もなく終わった。思うに、坂口と矢崎を最後にもう一度登場させるためだったのではないか。初登場時、あれほどいがみ合っていた(というか、坂口が一方的に嫌っていた)二人が、穏やかに談笑している風景はとてもよかった。

トミの死はスズ子にもショックだったが、最も影響を受けたのは山下だった。ずいぶんと叱られ、キツイことも言われたが、慕っていたのだろう。もともと引退していたところをボンのたっての頼みで呼び戻された、いわばピンチヒッターだ。辞めるにはいい機会だと考えても不思議はない。

一方、スズ子の態度はいただけない。リサイタル間近で、ベテランに抜けられるのが痛いのはわかるが、「生涯支えると言ったのは嘘やったんですか」のように追い詰めるのは逆効果だ。ここは諄々と、自分が山下さんをどれだけ頼りにしているか、山下さんに抜けられたらどれほど困るかを訴えるべき場面。スズ子は時に傲慢だと感じられる時があるが、この時はその最たるものだった。山下が辞めるのはスズ子が理由ではないというが、「この人にはついて行けない」と薄々感じていたのかも知れない。



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「ブギウギ」(103)

第22週「あ~しんど♪」(火)

放送日

  • 2024年2月27日

今日のスズ子と大野

「帰りになんかお使いしましょうか」
「だば、おネギをお願いします」
「おネギでんな。承知しました」
「あと、人参と牛蒡もお願いできますか」
「人参と、ごぼう
「せっかくだはんで、じゃがいもとお砂糖も」
「待ってくださいね、おねぎ、人参、ごぼう、あとは、じゃがいもと……」

概要

タナケンが入院したと聞き、山下とスズ子は、タナケンの見舞いに行くことにする。訪ねてきたスズ子に対して、タナケンは右足の古傷が悪化して立つのもつらいと言い、自分が客から忘れ去られてしまうのではないかと不安だと話しだす……。しばらくして、スズ子は、新曲の相談をしに羽鳥善一を訪ねる。しかし、羽鳥はブギのモチーフもネタ切れになってしまったという。(NHKオンデマンドの解説より)

村山トミの訃報が届く。死因は肺結核。マスクもつけずに愛助の病気を看病したせいか? スズ子は愛子を連れて葬儀に出席するが……

感想

スズ子と大野さんの買い物に関する(滑稽な)やり取りは「買い物ブギ」のフリであることは明らかで、少々わざとらしかった。家政婦が主人に買い物を依頼するなどあり得ないし、何が(どういうものが)いいのか、普段家事をしていないスズ子に的確な判断ができるとは思えないが、馴れ馴れしく頼めるほど親しい(家族のような)間柄になっているという表現でもあるのだろう。

それにしても、羽鳥先生の家へお邪魔するのに買い物かごを持っていくのもあり得ないが、それを見て羽鳥先生はインスピレーションがわくのだった……。そうなるのはわかっていたけどね。

麻里さんは洋服を着ていた。



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「ブギウギ」(102)

第22週「あ~しんど♪」(月)

放送日

  • 2024年2月26日

概要

大野が家政婦としてスズ子の家に来て半年、愛子はニンジンを食べられずにスズ子を困らせていた。大野はそんな愛子を見て、スズ子が仕事に出ている間にとっておきの食べ方を教える。一方、スズ子はコロンコロンレコードでの打ち合わせの帰りに、大野を紹介してくれたお礼をしに茨田りつ子のもとを訪ねる。そこでスズ子は、大野とりつ子の過去の話を聞くことになる。(NHKオンデマンドの解説より)

大野さんはもとは茨田の実家で女中をしていた。金持ちの娘で蝶よ花よと育てられ、わがまま一杯だったりつ子を大野さんは叱りつけた。その時は反発したが、「まともに向き合ってくれたのは大野さんだけだった」。その後夫を亡くし、息子を頼って東京へ出て来たが、息子は戦死し、嫁と孫も空襲で失ったという。その後もどこかの家で女中をしていたが、かつての面影がないほど変わり果てた姿を見て、福来さんなら合うのではないかとりつ子は考え、紹介したというのだ。

スズ子が帰宅すると、買い物に行くという大野に「一緒に行きましょう」とスズ子は言い、大野、スズ子、愛子の三人で手を繋いで出かける。

感想

大野さんは愛子に、人参を食べろと強要はしない。さりとて、食べなくてもいいとも言わない。「人参を食べると、美人さなりますよ」と囁くと、愛子は興味ありげな顔をする。人参をすりつぶし、ご飯と混ぜ、砂糖をかけて焼く。これは青森の「がっぱらもち」というお菓子。愛子も喜んで食べた。りつ子とやり合ってきたのであれば、愛子をその気にさせるくらいチョロイものだろう。

大野が孫を失うシーンも回想で出て来たが、感情的に孫の名を呼んで泣き叫ぶ、といったシーンでなかったのはよかった。愛子が遊ぶ姿を見ながら、その向こうに孫を思い浮かべているのが木野花の演技で十分伝わってきたからだ。昭和25年になって、復興が進み、明るい兆しがそこかしこに見えてはいるが、戦争の傷跡はまだまだ人の心に大きく残っているのだ。

愛助がおはぎを食べたいと言った時は、砂糖の入手にも苦労したし、闇市はとても子どもを連れて行ける雰囲気の場所ではなかったが、現在は砂糖は普通に出回り、買い物に子どもを連れていかれる世になった。大野のエピソードに絡め、さりげなくそれを見せてくれたのもよかった。この買い物は、間もなく登場する「買い物ブギ」の伏線か?



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「ブギウギ」(101)

第21週「あなたが笑えば、私も笑う」(金)

放送日

  • 2024年2月23日

概要

茨田りつ子の紹介で、大野晶子がスズ子の家政婦として働くことになる。この日のスズ子の仕事は、タナケンとの映画の試写会。スズ子はいつもどおり愛子も仕事に連れて行こうとするが、大野は愛子を留守番させるように言う。初めは愛子に留守番はまだ早いと反対するスズ子だったが、山下の説得もあり、初めて愛子を家に残して仕事に行くことにする。(NHKオンデマンドの解説より)

今日の大野晶子

「ずっと、一人で頑張ってきたはんでね。これからは私がいます。頼ってけ」

感想

大野さんがいい人でよかったー。

まず朝早く、スズ子が眠っている間にやってきて食事の支度を始める。勝手と言えば勝手だが、目が覚めた時に食事の用意をしておきたいという気持ちの表われであろうが、いろいろ躊躇しているスズ子に迷う隙を与えない、良い手だ。

当然のように仕事場に愛子を連れて行こうとするスズ子だが、当然のように大野は愛子はお留守番だと言う。山下が援護に回ったのは、自分が職場で愛子の面倒を見るのは限界だと感じていたためだろう。

大野は愛子が破った障子を張り替えただけでなく、愛子に手伝わせ、花びらをあしらう工夫も見せた。「女の子だもの、お花の障子は破けませんよ」。愛子が障子を破ったのは、悪戯というより、母の気を引くためだったと思うので、大野がずっと相手をしてくれれば、もうしなくなるとは思うが。

愛子を残して仕事に出たスズ子は、愛子のことが気になって仕方がない。あわてて帰宅するも、愛子が大人しく大野の手伝いをしている姿を見て、ほっとする。大野からは一人で頑張って来たことをねぎらわれ、これからは私を頼ってくれと言われて、安心し、泣き出すのだった。

夜、羽鳥から新曲だと言って渡された「ヘイヘイブギ」を、子守唄代わりに愛子に歌って聞かせる。「あなたが笑えば、私も笑う」はこの歌の中の言葉だった。

木野花は本当にいい演技をするなあ。いるだけで安心感がある。それと、小野美音が想像以上にうまい。



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「ブギウギ」(100)

第21週「あなたが笑えば、私も笑う」(木)

放送日

  • 2024年2月22日

登場人物

概要

スズ子は、羽鳥善一に新曲にはブギの歌を書いてほしいとお願いする。初めは、ブギが続けばおもしろみがないだろうと言う羽鳥だったが、スズ子とりつ子の対談の話を聞き、ブギを書くことに乗り気になる。一方、茨田りつ子のもとに鮫島が再びやって来る。鮫島はりつ子に、スズ子に言い足りないことはないかと、さらなる取材をする……。ある夜、スズ子の家を、突然りつ子が訪ねてくる。(NHKオンデマンドの解説より)

茨田りつ子に「ブギは終わり」と言われたスズ子は、まだ終わらない、終わらせない、次もブギで行くと決意。事情を羽鳥に話すと、羽鳥も「売られた喧嘩は買おうじゃないか」とノリノリ。

その後、さらに煽ろうと取材に来た鮫島に対し、すっかり乗せられてしまったことを反省したりつ子は、鮫島をぐうの音も出ないほど言い負かして追い返したのち、スズ子を訪れて謝罪する(それを知った羽鳥は、「なんだ、和解したのか、詰まらない」と漏らす)。

仕事と育児の両立は大変だが、今後も一人で頑張るつもりのスズ子を見たりつ子は、ベテラン家政婦・大野をスズ子の許へ遣るのだった。

感想

今回はりつ子様にやられた。

  • 鮫島を言い負かした。あの鮫島がすごすごと去っていく姿を見て、多くの視聴者が留飲を下げたのではないか。
  • 乗せられてスズ子に酷いことを言ったと気づいたりつ子は、すぐにスズ子に謝罪に言った。できることじゃない。
  • これまでの周囲の人は「困ったことがあったらいつでも言ってきて」と言うばかりで自らは動こうとしなかったが、りつ子は具体的に動いた。

そうしなかったらスズ子はいつまでも今のやり方をずるずる続けるであろうことは明らかだったからだ。しかしここまで強引にやられては、さすがのスズ子も受け入れざるを得ないだろう。一人では無理だし、愛子のためにもならないことだ。大野の年齢で家事と育児の両方を一人でやるのは大変だと思うので、本当はもう一人ほしいところだ。「愛子を食べさせていくために、なんでもやらないと」とドラマ内では言っていたが、歌も映画も大ヒットで、お金には不自由していないはず。

それにしても羽鳥先生、好戦的だったなあ。りつ子が何も言えなくなるようないい曲を作り、それをスズ子が歌って、りつ子をぎゃふんと言わせたかったのかな。



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「ブギウギ」(099)

第21週「あなたが笑えば、私も笑う」(水)

放送日

概要

鮫島の口車に乗せられたスズ子は、茨田りつ子と対談をすることになってしまう。対談当日、りつ子は「スズ子が終わった歌手だ」と言ったと認める。さらに、りつ子はブギの人気もすぐに終わると告げる。スズ子は怒って言い返すのだが……。一方、タナケンとの映画の撮影は、クライマックスの二人の歌唱シーンで最終日を迎える。その直前、タナケンがスズ子の楽屋を訪ねてくる。(NHKオンデマンドの解説より)

感想

仕事の場に愛子を連れて来るのは取り敢えず理解するとして、対談中も隣に座らせていたのは悪手だろう。せめて控室で待機させておくべきだったのでは。結局、愛子が泣きだしたところで対談は中止となった。そりゃそうなる。中途半端な形になり鮫島が慌てたのはまあいいとして、わざわざ足を運んでくれた茨田に対しては少々失礼な終わり方となってしまった。関係が修復できるといいのだが……。

それはそれとして、タナケンの温かさには感動した。まさか生瀬勝久が「カッコイイ役」をやる日が来るとはね。



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