窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「虎に翼」(004)

第01週「女賢しくて牛売り損なう?」(木)

放送日

  • 2024年4月4日

概要

味方のはずの直言も頼りにならず、寅子ははるに女子部の話を切り出せない。そうこうするうちに花江と直道の結婚式が迫る。式が終わるまでおとなしくしていてと花江に釘を刺された寅子は、「したたかに」ふるまう作戦に出る。しかし、重要な場面で男性の横でスンッとしている女性の姿には納得できない寅子。式が終わり、いよいよ寅子ははるの説得を決意するが……。(NHKオンデマンドの解説より)

結婚式と同じ会場であったイベントに穂高重親が出席しており、式を済ませた直言、はるらとバッタリ顔を合わせる。両親と穂高先生は面識がある様子。直言は大学で穂高教授の生徒であり、ゼミ合宿か学会参加のための旅行か、一緒に泊まった旅館で女中として働くはるに直言が一目惚れ。最終的に穂高が二人の仲人を務めた、ということらしい。

寅子を認めた穂高は、直言くんの子だったのか、珍しい名字だからもしやと思っていたが、と言い、「君は合格だよ、待っています」と伝える。直言とはるは青ざめる。

翌朝、寅子ははるに黙っていたことを謝罪し、結婚式が終わるまで話す機会がなかっただけで隠すつもりではなかったと釈明。そして、進学したい意を伝える。はるは……

感想

穂高と寅子の両親が顔見知りだったのは意外だが、顔を合わせた瞬間に、ここでバレるのは決定的なので、視聴者も全員「アチャー」となった。

「飲みに誘いたいところだが、息子さんの結婚式とあればそうはいかないだろうな」という穂高に「いえ、こちらはもう大丈夫だから、どうぞ行っていらして」と直言を送り出したはるが不気味。本来、このあとは直言を問い質すところだろうが、直言抜きでまず寅子から話を聞こうと思ったか。

が、いきなり翌朝になってしまったので、その日の夜は何もなかったようだ。

お米を研いでいるはるの背中に寅子が話しかけるが、はるの背中が怖かった。石田ゆり子はあまり好きな役者ではなかったが、今日の演技は見事。というか怖い。早く決着させてほしい。

佐田はいいなあ。法律の道に進むならこういう本を読んだらいいんじゃないかと思う本を寅子にプレゼント。寅子は喜ぶが、自分に言わせれば喜び方が足りない。寅子が喜ぶことは何かを考えてくれて、考えた結果は確かに当たっていて、実際に行動で示してくれる。こういう男は貴重だよ。兄の直道も寅子のことを考えてはくれているが、考えた結果はまるで外している。ワカッテイナイ。寅子の思考は標準から外れているから、必ずしも直道が間抜けなわけではない。

直言や寅子のうしろで、やきもきした顔をしているのがツボだ。家のことを誰よりもわかっているのだ。


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「虎に翼」(003)

第01週「女賢しくて牛売り損なう?」(水)

放送日

  • 2024年4月3日

登場人物

概要

教室から聞こえた「女性は無能力者」という言葉に思わず反応してしまった寅子は、教授の穂高重親と臨時講師の裁判官・桂場等一郎と出会う。法律に強い関心を持つ寅子に「明律大学女子部法科」へ来いと言う穂高。そこは、女性も弁護士になれる時代が来ることを見越した女性のための法律の学校だった。希望を見いだした寅子は母・はるが実家に帰っている間に出願しようと企む。(NHKオンデマンドの解説より)

今日の穂高と寅子

「続けて」
「それは、女が無能だということでしょうか?」

今日の佐田(と直言)

「本当にいいんですか。その、奥様がお許しになりますかね」

感想

佐田の通っている法学校では、穂高が寅子の意見を聞こうとする。ただの遣いの女なのだが、授業の内容に耳を留め、その内容に疑問を感じたことに、見どころありと感じたか? 法律家になろうとする人間は、こうした市井の声にも耳を傾けるべきだと考えたからか?

法律用語の「無能力者」は日常語の「無能力」とは意味が違うが、それを知らない寅子を笑う学生らに桂場が「何がおかしい、彼女はわからないことを質問しているだけだ」と叱責するのもいい。桂場は終始不機嫌だが、寅子が女だから不機嫌だというわけではないのだ。

そして、穂高が寅子に明律大学に誘い、その気になった寅子が父親に相談、直言は娘は見合いより進学の方が向いていると考えて賛成する。が、佐田は、はるが賛成するとは思えず、はるが賛成しない限り、直言がなんと言おうと話は進まないと思っているところがオカシイ。

当時の民法では女性に一切の決定権がなかったとは知らなかったが、法律は法律、実態は別にあるということだ。逆に、実態はどうあれ、表向きの家長は直言。そういう矛盾があるのだ。

直言と寅子が出願のために内申書の提出を女学校の担任に求めた時も、担任は「奥様はご存知なのですか!」と訊き返し「まずは奥様と相談されては」と薦めるのは、はるがこんなことを認めるわけがないと思ったからだ。今から6年も学校に行けば、卒業するのは20代半ば、そうなったらもう嫁の貰い手はないのではないか、まして女性があまり賢くなり過ぎても……

直言はいくつになっても寅子に嫁の貰い手がないなどということはないと信じ込んでいるし、寅子自身は必ずしも結婚したいとは思っていなかったから、響かないアドバイスではあったが、これが当時の一般的な見方なのだろう。今でもこういう風潮は消えたわけではない。

もうひとつ、能天気にただ「結婚」に憧れていただけのように見えた花江が、実はしたたかな戦略で直道を仕留めたと知り、寅子が唖然とするシーンがある。女が自分の望みを叶えるのはとても大変だからこそ、したたかにならなければいけない、寅子はなんでも正直過ぎるというのだ。見合いの席でも思ったことをすぐに口に出してぶち壊しにしてきた寅子にとっては、考えさせられる一件だった。


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「虎に翼」(002)

第01週「女賢しくて牛売り損なう?」(火)

放送日

  • 2024年4月1日

登場人物

概要

寅子がお見合いに苦戦する中、親友の花江は寅子の兄・直道との結婚準備を順調に進めていた。在学中に結婚することが夢だった花江。寅子には女性が当然歩むべきとされる道がピンとこない。そんな中、大学の夜間部に通う下宿人・佐田優三に弁当を届けに行った寅子は、教授・穂高重親、裁判官・桂場等一郎と出会う。この出会いが寅子の運命を変える。(NHKオンデマンドの解説より)

今日の直道

「おれには、わ・か・る」

感想

もういいから寅子は佐田優三と付き合っちゃえよ。佐田は司法試験の浪人中だが、銀行で働いて収入もあるし、よいではないか。寅子の話をちゃんと聞いてくれている様子を見てそう思った。

前回、見合いの相手の横山太一郎を怒らせるに至った寅子のセリフが直接には見られず、まあ調子に乗って生意気なことをしゃべったんだろうと想像してくださいということかと思ったが、今日はそこもていねいに放映してくれた。伊藤沙莉の早口は本当に心地いい。これからこのセリフ回しが折に触れて聞けるかと思うとワクワクする。

花江は在学中に結婚するのが夢だったと語る。そういえば「らんまん」でも、女学校では在学中に結婚相手を見つけて次々にやめていく話が出て来た。双方の両親と仲人による顔合わせの会では、双方の父親がまるで全部自分たちがやりましたという顔をしているが、実際にほとんどのおぜん立てをしたのは両家とも母親。が、母親は何も言わず夫を立てている。寅子はそういうところがいいとは思えないのだ。

はるが急遽帰省することになり、寅子は留守の間の家事を任される。寅子は花江と稲を「予行演習をさせてあげる」と称して助っ人として呼ぶ。夜学に通う佐田のお弁当を作り忘れたため、あとから届けに行くが、ちょうど講義で

「この場合、実子の長女よりも認知された庶子の方が相続権は上位に至る。この法的根拠を説明できる者は」
「それは、婚姻状態にある女性は無能力者だからであります」

というやりとりを耳にし、女性が無能力者であるという部分に寅子は叫び声をあげる。

田中真弓が出演していてびっくり。役者をすることもあるのか。一昨年の「鎌倉殿の13人」には山寺宏一が出ていたが。

クレジットのあった伊藤一二三と山根初代がわからない。伊藤は寅子に「お帰り」と声をかけた近所の爺さんか?(後ろ姿のみで顔が見えない) 山根はそれっぽい人が見当たらない……。


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「虎に翼」(001)

第01週「女賢しくて牛売り損なう?」(月)

放送日

  • 2024年4月1日

音楽

  • 森優太

主題歌

  • 「さよーならまたいつか!」米津玄師

登場人物

概要

昭和6年(1931年)・東京。女学校に通う猪爪寅子は父・直言、母・はるから次々とお見合いを勧められる。女学校を出たら結婚し、子どもを産み、家庭を守るのが当然とされていたからだ。だが、納得できない寅子。やりたいことはないものの、結婚するのも何かが違う……。同級生で親友の花江に「親不孝」と言われ、三度目の正直と意気込んだお見合いの席で、寅子は調子に乗ってしまう。(NHKオンデマンドの解説より)

感想

日本国憲法が発布され、猪爪寅子が日本初の女性弁護士になったところから始まった。そして昔に戻って話が始まるが、幼少期は描かれず、いきなり本役で始まった。

女学校を出たら嫁に行かせるべく、両親はお見合いを手配。本人は梅丸歌劇団に入ろうと家出を画策するが、見つかって阻止される。一度目のお見合いは席上で居眠りをしてしまい破断。二度目は父から「女学校の成績は一二を争っており」と紹介されると「二位です、一位じゃないです。でも私あの成績には納得がいっていません、テストの点数は同じだったのに。先生に訊いたら内申点の差だと言われたんですけど……」などと葉や釘で話し出し、破断。三度目の相手は、世界情勢やアメリカの政策失敗などを滔々と語り、寅子がそれに意見を言うと「自分は対等に語り合える夫婦が理想」と最初は鷹揚なところを見せるが、自分が話について行けなくなると「女のくせに生意気なッ」と怒鳴って席を立ってしまう……。

今の感覚だと「ちっちぇえ男たちだなあ、そんな奴と結婚しなくていいよ」となるけど、自分が目の前でこういうことを言われたら、どうすればいいのかわからんね。親友からは、学校を出たら嫁に行くのが育ててくれた両親への恩返しだと言われてしまうし。

寅子の父親は花湯にいたアホのおっちゃん。そして寅子は(花咲ではなく)梅丸歌劇団を目指すという。そこはかとなく前作とのつながりを感じる一種の楽屋落ちだ。ついでに親子喧嘩の際にはるが夫に「あなたは黙っていて頂戴」と言ったのも、そこはかとなく麻里子さんを連想させる。寅子はスズ子と同い年だそうなので、「そういうことですよ」と示す意味もあるのだろう。伊藤沙莉の早口がいい。これからもこういう感じのコメディタッチで行ってほしい。


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(09)「遠くの国」

題名

  • 「光る君へ」第09話「遠くの国」

放送日

  • 2024年3月3日

登場人物

  • 初登場の人はなし(初めてか?)

概要

東三条殿に入った盗賊の正体は直秀ら散楽一座だった。道長の命で検非違使に引き渡される。一方、直秀らの隠れ家を訪ねていたまひろは盗賊仲間と勘違いされ、獄に連行される。宮中では、花山天皇と義懐の関係が悪化し、代わって道兼が信頼を得始めていた。その頃、兼家を看病する詮子を思いもよらぬ事態が待ち受けていた。(公式サイトより)

今日の実資と桐子

「先の帝はすべてのことをよくご覧になっていた。先の帝が懐かしい」
「懐かしんでも院が帝に戻られはしませんから」
「わかっておる」
「わかっているならもう言わないで」
「わしが公卿であれば!」
「じゃあそれ、日記に書けばよろしいのでは? そうよ、日記、日記」
「日記には書かぬ! 恥ずかしくて書けぬ」

今日の兼家

「これより力のすべてをかけて帝を玉座より引きおろしたてまつる。皆心してついて来い」

今日の惟規(と為時)

「一念通天(ひたすら念じれば思いはかなう)、率先垂範(人の先に立って物事を行い模範となれ)、温故知新(古事をたずねて新しい知見を得よ)、独学固陋(ころう)(独学による学問はひとりよがりになる)、肝に命じよ」
「今のわかった?」
「ひとつわかった」

雑感

道長は、盗賊を捕らえた兵たちに、速やかに検非違使に引き渡すよう指示を出し、検非違使の役人には心づけを渡して、何も盗まれておらず、誰も傷つけられていないから、手荒なことをしないよう依頼する。その後、取り調べを受けることなく流罪と決まったが、実際には鳥辺野へ連れていかれ斬り殺されたのだった。

釈放される時間を聞いて、最後の別れを告げようと道長とまひろが検非違使庁へ向かったら、既に釈放されたあと。この情報の違いは故意か、偶然か(話を伝えた人が間違えた、あるいはその後なんらかの事情で時刻が変わった、もしくは道長に邪魔されないようわざと違う時刻を伝えた)。

検非違使庁の役人は、二度と盗賊を働かないよう手を折って釈放すると言った(道長の同僚や捕まった散楽の連中はむち打ち30回くらいではないかと言った)。無罪放免というわけには行かないから、ケガをさせるわけにいかないとなれば流罪だが、7人もの人間を流罪にするというのは大変だ。列車も自動車もない時代、流刑地まで誰かが連れて行き、また戻って来なければいけないから。それを面倒がって、流したことにして殺してしまえとなったのか。道長の意図を逆に受け取った(藤原家に恥をかかせた者たちを決して許すな)という説も見た。道長から心づけを受け取った役人が、喜んでいる様子でもなかったのが気になる。

兼家は意識不明状態を脱し、子らに対して一丸となって帝を引きずり下ろすよう指示を出す。気絶したのは本当だが、帰宅後、意識を取り戻していた。安倍晴明に、帝を退位させたいが手がないと打ち明けると、晴明は、気絶したふりを続けるように言う。兼家が倒れたのはよしこ様の怨霊のせいだと噂を流す。その兼家が息を吹き返したということは、よしこの霊が兼家を離れ、内裏をさまよっているということ。その霊を成仏させるためには帝が出家するしかない、と安倍晴明花山天皇に伝える。

事情が判明し、目が点になっている道隆、道長、詮子に対し、道兼が、へへん俺は知っていたもんね、それだけ親父に信頼されているんだもんね、とドヤ顔をしていたのが可愛かった。それにしても花山天皇の道兼への信用度合いが凄すぎて可哀相になる。花山天皇はいい人なのだが、人を見る目がない。いい人なのだが!

それにしても、道長とまひろ、二人の初の共同作業が、共通の友人の死体の埋葬とは……。直秀の手に自分の扇子を握らせた道長がいじましい。罪人ではなく、芸人として逝かせてやりたかったということだろうか。

今日のtwitter


「ブギウギ」(126)

第26週「世紀のうた 心のうた」(金)

放送日

  • 2024年3月29日

概要

スズ子のさよならコンサートが始まる。客席には懐かしい多くの面々がかけつけている。茨田りつ子、愛子らが見守る中、舞台に登場するスズ子。歌を愛し、家族を愛し、義理と人情に満ち、ズキズキ・ワクワクしながら、多くの人々に歌で勇気を与え続けた歌手・福来スズ子の最後のステージ。照明が落ち、静まる客席。その中で、羽鳥善一のピアノ伴奏が静かにはじまる。(NHKオンデマンドの解説より)

感想

15分で何曲聞けるだろう、ステージ以外のドラマも多少はあるだろうから、3曲がいいところかな、「ラッパと娘」「東京ブギウギ」と「買い物ブギ」? とか想像していたのだが、歌ったのは「東京ブギウギ」のみ。前半がスローバラッドでピアノの弾き語りという新しいアレンジで、かつ、口パクではなくライブの歌で、これ自体はとても良かったけど。

最初の家族団らんのシーンも長かったし、ステージでのスズ子の挨拶も長かった。みんなは(私は)スズ子の歌が聴きたいのであって演説が聴きたいわけではないのだ。

まあ、前作のように最終週があれだけ盛り上がると、気持ちの切り替えが大変だが、今週はのんびりした展開で、緩やかに着地したから、来週から新しいドラマが始まることにさほどの違和感はない。これはこれでいいのかも知れない。



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「ブギウギ」(125)

第26週「世紀のうた 心のうた」(木)

放送日

  • 2024年3月28日

概要

引退会見後もスズ子は、羽鳥善一と相変わらず話ができないままでいた。そんなスズ子に対し、茨田りつ子はきちんと羽鳥と話をすべきだと伝える。一方、麻里も善一にスズ子と話をすべきだと伝える。やがて、スズ子が羽鳥の家を訪ねようと家の玄関を出ると、そこには訪ねてきた羽鳥の姿があった。これまで苦楽をともにし、数々の名曲を生み出してきた二人が心の底から思いを語り合う。(NHKオンデマンドの解説より)

感想

スズ子と羽鳥が腹を割り、お互いに相手に感謝の気持ちを伝える。スズ子は、先生とワテは人形と人形師のようなものでした、ワテは先生の一番の人形でいたかった、と言う。オープニングロールの人形の意味だ。あの奇妙な人形の踊りは、花田鈴子が夢見たものだったというわけだ。

それにしても草彅の演技は神懸かっていた。スズ子を完全に食っていた。……ふたり主人公と思えば、おかしいことはないが。

今日の話もよかったが、少々くどい。同じような意味の言葉を重ねて時間を伸ばしている感じ。半分の尺で十分表現できただろう。最終週だから、ゆっくりとひとつひとつを畳んでいるということだろうか。畳み切れなくなって駆け足で終わらせるよりはいいのかも知れない。

羽鳥は、会見で終わらせちゃだめだ、最後にもう一回、お客さんを喜ばせよう、と提案し、スズ子はそれを飲む。つまり明日の最終回は、そのラストステージというわけだ。これまでの曲をみんな歌うのかな。

ラストが一回では、一部の人しか来られない。福来スズ子ほどの歌手だったら、ラストツアーと銘打って全国を巡るべきだろう……と思うが、まあツッコミはこの辺で。



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「ブギウギ」(124)

第26週「世紀のうた 心のうた」(水)

放送日

  • 2024年3月27日

概要

歌手・福来スズ子の引退会見の当日。スズ子は結局、羽鳥善一とは話ができないまま会見に臨むことになってしまった。スター歌手の突然の引退宣言は世間の注目を集め、会見場には多くの記者が集まっていた。その中には、これまでスズ子たちのゴシップ記事をたくさん書いてきた記者・鮫島の姿もある。スズ子は意を決して歌手引退についての思いを話し始める。(NHKオンデマンドの解説より)

感想

今日は

  • 記者会見で、鮫島は相変わらず嫌味な質問をぶつけるものの、最後は「寂しくなるな」などと呟き、拍手をする。
  • 雑誌に記事には、羽鳥先生への感謝の言葉が述べられており、それを羽鳥は無言で読む。
  • 自宅で、愛子、大野さん、タケシ、小田島親子に囲まれて「この大事な日に同席するのがあんたらとはなあ」「血はつながっていないけど家族や」と告げる。

の三本立てですかね。二本目は一瞬だったけど。

手も挙げず、指名もされないのに勝手に喋り出す鮫島も酷いが、他に質問はと言われて手を挙げない他の記者も、何しに来たの? という感じ。ドラマの尺の都合だというのはわかるものの、「仕事」をしたのは鮫島だけというお粗末さだった。

羽鳥は、無論スズ子と本気で絶縁したいわけじゃない。ただ歌手を辞めてほしくなかっただけ。そして、その記者会見で自分への謝辞を述べたらしい。それを知った羽鳥は何を思う?

愛子のほか、4人に囲まれた時は、今のスズ子にとってはこれが家族みたいなものだなあ、ツヤと梅吉は血はつながっていないけど家族だった、彼女はこうやって家族を作って来たんだなあと感じたけど、本人が「血はつながっていないけど家族や」とはっきり言ったのはちょっと興醒めだった。言わなくても伝わったのに。

あと二日でどう着地させるつもりなのか見当がつかないが、最終週はちょっと間延びしているように思われる。

ちょっと登場した秋山が、別に老けメイクをしているというわけでもないのに、もう若くないオバチャン感を醸し出していた。伊原六花、24歳。すげえ。



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「ブギウギ」(123)

第26週「世紀のうた 心のうた」(火)

放送日

  • 2024年3月26日

登場人物

  • 竹下健人(カツオ)

概要

歌手引退――。スズ子はその決断を、愛子や大野に伝えた。羽鳥善一に絶縁すると言われ、タケシが大反対し家から飛び出していっても、スズ子の決心は揺らぐことはなかった。スズ子は、同志でありライバルである茨田りつ子にもその思いを伝える……。一方で、羽鳥はスズ子の引退を思いとどまらせることができないかとりつ子に相談をする。(NHKオンデマンドの解説より)

感想

りつ子に引退する旨を伝えると、「残念ね」という答えが返って来てスズ子は驚く。「辞めるなら勝手に辞めれば?」とでも言われると思っていたのだ。りつ子は「あなたは同志だと思っていた、だからあなたの決断を尊重する」とも。最後の最後にツンデレのデレがきたりつ子様だった。

カツオは、スズ子さんがいろいろ考えて上で決めたのことなのに一方的な感情で騒いで申し訳ありませんでした、と謝罪し、スズ子さんの歌に救われた人は日本中にたくさんいるのだから、きちんと記者会見をすることを提案する。たー坊、大人になったなあ。歌手を辞めるとタケシも無職になるから真剣になっているのか? 歌手は辞めても女優業は続けると言っているから、マネジャーは続けるのか?

カツオが留学先から一時帰国したのを機に、スズ子も食事に呼ばれるが、絶縁すると言ってしまった手前、気まずくて顔を合わせられない羽鳥は、用事を作って外出。前の晩もスズ子への態度をめぐってカツオと大喧嘩したのだそうだ。カツオいわく、親父はスズ子さんを自分の持ち物か何かと勘違いしている、と。

その羽鳥はりつ子と会っていた。絶縁するって言っちゃったんでしょ、と言うりつ子に羽鳥は驚く。「あの子の口は綿よりも軽いのよ」と笑うりつ子に羽鳥は、とにかく絶縁は失言だった、だから何とか君から引退を撤回するよう言ってくれないか、と頼み込むも「無理」と断わられる。りつ子は言う。羽鳥先生は、あの子の曲を作っている時が一番楽しそうだった、羨ましかった、と。

今日の羽鳥先生は、昨日の威厳はどこへ行った、情けない顔をしていた。失言だったと思うなら、謝罪して撤回すればよさそうなものを、それはしないのだ。この両極端を草彅がうまく演じていた。本作は「福来スズ子物語」なのだが、同時にそれは「羽鳥善一物語」でもあって、終盤での草彅の演技は、時に趣里を食うほど印象的だ。

ところで小田島親子は住み込みなのかと思ったが、今朝は一緒に「出勤」してきた。一は愛子を誘って一緒に学校へ行くためだが。朝ごはんは食べて来た、と言ったから、ちゃんと家は別にあるのだ。父子二人の生活で食事の支度も大変だから、家でご飯を食べて行きなさい、というだけだったか。でも「オールスター男女歌合戦」をスズ子の家で見ていたけど……自宅にテレビがないからか……。



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「ブギウギ」(122)

第26週「世紀のうた 心のうた」(月)

放送日

  • 2024年3月25日

概要

オールスター男女歌合戦を全力で歌いきったスズ子の評判は最高のものとなった。水城アユミはスズ子の楽屋を訪れ、スズ子の歌に感激し、自身ももっと勉強しなければと思ったと伝える。年が明け、雑誌の紙面には「ブギの女王復活」の見出しが踊る。しかし、スズ子自身は、ある大きな決断をしようとしていた。スズ子は、その決断を胸に抱き、羽鳥善一のもとを訪ねる。(NHKオンデマンドの解説より)

スズ子は、もうやり切った、これで歌手を引退すると羽鳥に告げる。羽鳥は、引退するということは、これまでの曲がみな死んでしまうということだ、僕は引退なんて許さないと静かに語るが、帰宅後、スズ子は家族(愛子、大野、タケシ)を集めて、引退すると話した。

感想

とにかく草彅剛の演技が「見事」の一語に尽きる。以前、梅丸から日宝に移ると言った時はコミカルに大騒ぎをしたが、今回は静かにスズ子の話を聞き、黙して語らず、が、眉、口元の微妙な動きで自身の動揺を表現する……

羽鳥が引退に反対した真意はよくわからない。当時は「レコードを買って聴く」のはごく一部の人達だけで、地方公演を精力的に行なったり、テレビに出たりしなければ、一般の人が歌を聴く機会はなくなるということだろうか?

ところで、福来スズ子は依然としてプロダクションに所属せず、チーム福来(実態はタケシとの二人三脚)でやっているのかね……? この世界のことはよく知らないが、不自然な気はする。実際にはどうだったのだろう?



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「ブギウギ」(121)

第25週「ズキズキするわ」(金)

放送日

  • 2024年3月22日

概要

昭和31年(1956年)、大晦日。第7回オールスター男女歌合戦当日。スズ子は、楽しみに会場へと向かう。スズ子が楽屋で支度をしていると、股野と水城アユミが訪ねてくる……。そして、いよいよ本番。羽鳥善一はテレビの前で、愛子は客席で見守る。茨田りつ子も楽屋に応援に来た。水城アユミは「ラッパと娘」、福来スズ子は「ヘイヘイブギー」。新旧二人の歌合戦が始まる。(NHKオンデマンドの解説より)

感想

紅白歌合戦、ではなく、オールスター男女歌合戦の回。茨田りつ子の歌うシーンはなく、歌うのは水城アユミと福来スズ子のみ。

福来スズ子が歌を聴いてその実力に戦々恐々とした水城アユミの歌はどのようなものかと期待したが、水城アユミの歌う「ラッパと娘」は福来スズ子のエピゴーネンで、面白さは何も感じられなかった。懐メロ番組か物真似番組でこれを披露したら拍手喝采だろうが、この歌合戦でこの意味は……?

SNSでの評価では、水城アユミは福来スズ子に負けまいとした、福来スズ子はお客さんのために歌った(会場を盛り上げようとした)点で、視線の位置が全く違った……という意見が大勢のようだが、自分としては「ラッパと娘」の新解釈が聴けなかった時点で評価に値せずという感じだった。

それにしても、本作品を通じて「ラッパと娘」は何度も歌われ、そのたびに完成のレベルが高くなっていった。スズ子と、そして視聴者と一緒に成長した。だから水城アユミがこの歌を歌いたいと言い出した時、福来スズ子だけでなく視聴者も複雑な気分を感じたはずだ。

一方、「ヘイヘイブギー」は番組中では子守歌としてしか披露されなかった。だからどんな歌かよく知らない。たくさんの曲を完成させるのが大変なのはわかるけど、だんだんパワーが落ちてきているなあ、などと思っていたが、これらはずべて今日この日のための演出だったのか。こうした作り方ができるのが(長丁場の)朝ドラの魅力のひとつ。ゆめゆめ一部分だけを見てわかった気になり評価すべからず、だ。

で、初めてステージで聴いてみると、明るくポップな歌。自分の好みでいえば「東京ブギ」よりずっといい。もう一度くらい聴けないものか。



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「ブギウギ」(120)

第25週「ズキズキするわ」(木)

放送日

  • 2024年3月21日

概要

愛子は、翌日の体育の時間に足の速い転校生と競走することになっていた。しかし、勝てる見込みがなく、愛子は学校を休みたいと言いだす。スズ子は、自分も水城アユミとの新旧対決から逃げたかったが、今は逆に楽しみだと話す。そして、逃げるかどうかは愛子が自分で結論を出すようにと伝える。翌日、学校に行くかどうか迷う愛子を家に残し、スズ子は羽鳥善一のもとに向かう。(NHKオンデマンドの解説より)

感想

前回、

例えば「水城アユミに『ラッパと娘』を歌ってもらうことにしましたワ、あの子がどんな風に歌うのか、ワクワクします~」という風に言ってほしかったのか。

と書いたが、スズ子はまさにそのようなことを羽鳥に言って許可をお願いした。もちろん羽鳥はOKを出した。

大野さんが愛子に話をする時、自分のことを「大野さん」と呼ぶのが面白い。愛子にはそれがいいのかも知れない。

愛子は勝負したくないから学校を休む、と言っていたが、結局学校へ行き、競争をしたが、負けてしまった。悔しがって泣く。一は「誰も気にしてなかった」と言うが。

備考:1956年の紅白歌合戦

丸の内テレビジョンの会議室の黒板に、決定済みの歌手と曲がメモしてあるのを写してみた(読み取れない文字は「・・」で記した)。実際の紅白出場歌手との比較。

オールスター男女歌合戦 NHK紅白歌合戦
榎本敦郎「自転車行楽」 岡本敦郎「自転車旅行」
笠木正夫「福島炭坑節」 鈴木正夫「常磐炭坑節」
石英男「ラ・イ・ドン」 高英男「セ・シ・ボン」
ラックミネ「あのたの青空」 ディック・ミネ私の青空
樫山一郎「あゝ草原は緑」 藤山一郎「あゝ牧場は緑」
槙不二夫「旅客の雲」 真木不二夫「旅路の雨」
畑中照夫「愛とは素晴らしいもの」 旗照夫「恋とはすばらしいもの」
西山林太郎「白城の子守歌」 東海林太郎「赤城の子守唄」
原田次郎「秋風の吹きよで」 若原一郎「風の吹きよで」
遠江俊郎「思い出夕焼け」 近江俊郎「思い出月夜」
代坂一也「ハートブレイク・トリップ」 小坂一也「ハートブレイク・ホテル」
冬風八郎「別れの一本松」 春日八郎「別れの一本杉」
千田勝彦「白銀の山小屋で」 灰田勝彦「白銀の山小舎で」
三林満男「哀愁汽車」 三橋美智也「哀愁列車」
伊風・「夜明けの節・・」 ?「?」
波井恵子「北の花嫁さん」 荒井恵子「南の花嫁さん」
白坂・・「・・炭坑節」 赤坂小梅「三池炭鉱節」
ポギー森山「ク・ラセ・ラセ」 ペギー葉山「ケ・セラ・セラ」
茨田りつ子「バムル・バムタ」 淡谷のり子「ルムバ・タムバ」
惠里エミ「お転婆ララ」 江利チエミお転婆キキ」
噺唄勝三郎「島人お吉の唄」 小唄勝太郎「唐人お吉の唄」
林あき汀「夜」 ?「?」
献風吹雪「哀れなジン」 越路吹雪「哀れなジャン」
外原・・「ハルハル」 中原美紗緒「フル・フル」
エク・・・「娘艶歌師」 コロムビア・ローズ「娘艶歌師」
・・光枝「赤いランプの燈る場所」 奈良光江「白いランプの灯る道」
高木美榮子「花ちゃんはお嫁に」 鈴木三重子「愛ちゃんはお嫁に」
津梅子「東京ジェリー」 大津美子「東京アンナ」
水城アユミ「ラッパと娘」 該当なし
福来スズ子「ヘイ・ヘイ・ブギ」 笠置シズ子「ヘイ・ヘイ・ブギ」

なお「オールスター男女歌合戦」の司会者は男女一名ずつだったが、「紅白歌合戦」の司会者は紅組が宮田輝、白組が高橋圭三、総合司会が石井鐘三郎で、女性は起用されていない。



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「ブギウギ」(119)

第25週「ズキズキするわ」(水)

放送日

概要

水城アユミに「ラッパと娘」を歌わせてほしいと頼まれたスズ子は、困ってしまい結論を出せずにいた。記事にまでなってしまったため、スズ子は、羽鳥善一に相談に行く。しかし、羽鳥は、そんな大事なことを軽く言わないでほしいと、厳しい言葉を投げかける……。一方、愛子は、体育の時間のかけっこが楽しみで学校に行っていたが、ある日、落ち込んで帰ってくる。(NHKオンデマンドの解説より)

「君はどう思うんだい」と羽鳥に訊かれたスズ子が「先生が作った曲ですから……」と答えると、羽鳥は軽く言わないでほしいと言い、「じゃあ僕がいいよと言ったら、君はそれでいいのかい」と厳しい顔をする。水城アユミの歌は聴いただろう、もし彼女が「ラッパと娘」を君よりもうまく歌ったら、君はもう居場所がなくなるかも知れないよ、と。

そんな矢先に、ずっとクラスで駆けっこが一番だった愛子が、転校生の足が速くて二番になってしまうかも、と落ち込んでいた。

どうしていいか困ったスズ子は、茨田りつ子を呼び出して相談する。彼女は、「昔のあなただったら、水城アユミとの共演なんてわくわくするって言ったはずよ」と言われてハッとする……

今日の茨田りつ子とスズ子

「茨田さんにボロカス言われているうちに、ワテ、なんやワクワクした気分になってきてしまいましたワ」
「はあ? あなた、本当のおバカ?」
「はい。茨田さん、ありがとうございます。わざわざお呼びたてした甲斐がありましたわ。ほなワテ、行きます、すんまへん、ご馳走さまです」
「いや、あなたのおごりでしょ!?」

感想

盛りを過ぎ、人気にも陰りがみられ、それをスズ子は自覚する一方で、正面から受け止めるのを避けていた。今回の一件はそれを突き付けられたということか。羽鳥は、自分では決められず羽鳥に預けようとする態度にがっかりしたのか。例えば「水城アユミに『ラッパと娘』を歌ってもらうことにしましたワ、あの子がどんな風に歌うのか、ワクワクします~」という風に言ってほしかったのか。

愛子が駆けっこで二番になるかも知れないことを悔しがるのは、まあわかりやす過ぎる喩え話だが。

小田島が一緒に食事をしていたのは驚き。その上一くんまでも。住み込みでもないのに……と思ったが、まさか住み込みなのか?

タケシは確かに調子に乗り過ぎている。ただしタケシは「負けたくない」と強く思っている。だから嫌味も言うし、連絡を取り次がない等の(児戯に等しい)嫌がらせもする。その態度は褒められないが、「負けたくない」という気持ちは、スズ子にはないものだ。

それにしても茨田りつ子様はすごいねえ。たった一言相談しただけで、現在のスズ子をあれほど的確に見抜くなんて。



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「ブギウギ」(118)

第25週「ズキズキするわ」(火)

放送日

  • 2024年3月19日

概要

スズ子のもとに、誘拐未遂事件を犯した小田島が訪ねてくる。すっかり反省した小田島の話を聞いたスズ子は……。一方、年末の歌合戦では、スズ子は新旧対決に挑むことになった。しかも、対戦相手の若手の有望株・水城アユミは、大和礼子と股野義夫の娘だ。しばらくして、スズ子は股野と久しぶりに話をすることにする。そこで、スズ子は、水城アユミからあるお願いをされる。(NHKオンデマンドの解説より)

就職先がないが、なんとしてでも働き口を探す、という小田島を、スズ子は庭師として雇うことに。タケシは「あんな極悪人に」と反対するが、「この世は義理と人情や」と言い返す。

股野から「つもる話がしたい」と言われて会ったが、その時に、年末の「オールスター男女歌合戦」でアユミに「ラッパと娘」を歌わせてほしい、と頼まれる。そこへアユミ本人も合流し、お願いされる。スズ子は即答できず、羽鳥先生にも相談しないと、と言って言葉を濁す……

感想

一くんがまた登場したのは嬉しかった。あれだけで終わってほしくないと思っていたからだ。父親のしたことは恥ずべきことなのだけれど、そのことで一くんがひねずに育っているようで、それはよかった。スズ子と再会しても「こんにちは、おばちゃん」と言うだけで、謝罪もしないし、愛子に対してもお前呼ばわり。もちろん、愛子はそういう一がいいのだ。

アユミが「ラッパと娘」を歌いたいという。SNSでは「歌わせたくない」「歌ってほしくない」という意見が主流だ。「橋本環奈が薬師丸ひろ子に、ひろ子さんは『Xの悲劇』を歌いますよね、私に『セーラー服と機関銃』を歌わせてください! と言われたらどうぞとは言えんやろ」「石川さゆりに、今年は『津軽海峡・冬景色』ですよね、私は『天城越え』を歌います、と言われたら」……などの声もあるが、薬師丸ひろ子は紅白には滅多に出ないし、トリを取ったこともない。石川さゆりに「天城越え」を歌わせてくれと、誰が頼むのだ? 天童よしみか? それは新人じゃなかろう。初出場歌手がトリ前ということ自体が異例なのだ。

個人的には、ベテラン vs 新人の対決の構図とされるなら、自分の持ち歌を歌った時点で相手は屈したみたいなものなのだから、どうぞどうぞということではないかと思うが、そもそも何の歌を歌うのかは、歌手自身が勝手に決められるものではないだろう。水城アユミにも、ここまでのし上がって来る中での、代名詞的なヒット曲があるのだろうから、番組プロデューサー側はその歌を歌わせたいはず。レコード会社との契約もあるだろうし。まずスズ子が許可してくれたら、正式に動く、その前に筋を通しに来た、ということだろうか。

股野と待ち合わせたのは、町中の普通の喫茶店ぽい。スズ子が堂々とやって来たのは驚いた。おまけに「水城アユミ」の名前も大声で話す。スズ子がよく使う店で、いつもこんな感じなのかも知れないが、その場には水城アユミまでがやって来たわけで、そういう有名人同士が会う場合は、帝国ホテルのロビーを使うとか、もっと相応しい場所があったのではないか。気さくなのはスズ子のいいところだが、ちょっと無防備だ。案の定、鮫島に写真を撮られ、記事を書かれてしまう。

鮫島もイヤな奴だが、記事の内容自体は(現時点で公にしてよいことかどうかは別として)間違ってはいなかった。今日に限って言えば、一番イヤな奴はタケシだ。



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「ブギウギ」(117)

第25週「ズキズキするわ」(月)

放送日

  • 2024年3月18日

登場人物

  • 吉柳咲良(水城アユミ、歌手)
  • 遠山俊也(代々木勇、プロデューサー)
  • 中村倫也(沼袋勉)

概要

東京ブギウギのヒットから9年、ブギブームも下火になりつつある中、スズ子や羽鳥善一のブギは古いという記事が書かれてしまう。同時に、若手歌手の水城アユミが新たなスターとして台頭してきていた。そんな中、スズ子は丸の内テレビのプロデューサー・代々木から、年末の歌番組にトリで出てほしいとオファーを受ける。しかし、トリ前に水城アユミを持ってきてもいいかと聞かれる。(NHKオンデマンドの解説より)

感想

あと二週なのに新キャストが続々と。若手歌手・水城アユミは福来スズ子を脅かす存在に。実は彼女は大和礼子の忘れ形見であり、実父・股野義夫がマネジャーを務めていた。

柴本タケシは福来人気にあやかって、やたらにイキっている。なにせ若い上に担当したことのある歌手はスズ子だけだから、致し方ない面もあるが、代々木プロデューサーらに失礼な物言いをしてもスズ子が注意しないのはいただけない。

スズ子は終わり、のような記事が雑誌に載ったことに腹を立てたタケシは、羽鳥先生のお願いして新曲を出しましょう、と言い出すが、スズ子のプロデューズはそんなに場当たり的に決めているのだろうか。新曲はこのくらいのペースで、リサイタルは年に何回、場所はどこで、映画やテレビの出演は、そして新曲は誰に作ってもらう、等々、何ヵ月も前から計画を立て、人が動いているのではないかと思うが。レコード会社との契約もあるだろうし。

初期は羽鳥がプロデュースしているかのような描かれ方をしていたが、ここまで売れっ子になれば、所属プロダクションやコロンコロンレコードも含めて巨大なプロジェクトになるはず。そのあたりは描かれていないのでよくわからないけど。

タノケンは、一世を風靡したあとも、のんびりしていたらいつ居場所がなくなるかも知れないとガツガツしていたが、スズ子は鷹揚というか呑気というか。やりたいことはやり尽くしたし、お金も稼いだし、あとはなるようになれという心境だろうか。



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