窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「カムカムエヴリバディ」(52):決意

第11週「1962-1963」(金)

放送日

  • 2022年1月14日

概要

ジョーは言う。もしコンテストで優勝できたら、東京で暮らすことになると思う。だから一緒に東京に来てほしい。サッチモちゃんと一緒に生きていきたい、と。るいも同じ気持ちだが、額の傷を気にして受け入れることができない。

コンテストが近づいているのにジョーの調子が上がらない。るいから返事がないのが気になるのだが、視聴者にはそれがわかるが小暮もベリーもわからず、気を揉んでいる。ベリーは、小暮が外へ出てジョーと二人になった時に、サッチモと何があったの? 私には聞く権利があると思う、と切り口上で尋ねる。

ベリーは竹村クリーニング店を訪ね、るいを連れ出す。せっかく譲ってやったのに、ジョーからプロポーズされて返事もしないとは何事かと。るいは答えに詰まり、額を押さえる。ベリーは、何とか言いなさいよ、とつかみかかろうとした時に髪の隙間から額を見てしまう。それで事情を察した。るいがジョーを嫌いなわけではないこと、でも、これを気にして受け入れられないこと。「でも、返事だけはしてあげて。このままやったら、ジョーは勝てない」と言い残し、静かに去る。

翌日は雨。ジョーが演奏会用の衣装を買いにダブラスへ行くと、店の前にるいがいる。一緒に買い物をしようと待っていたのだ。るいは、これまでの奥床しさが嘘のように、陽気にしゃべり続ける。ジョーが口を挟もうとするが挟ませない。とにかく一式を選んで、試着するように言う。ジョーが着替え始めると、試着室の前でるいは話す。大月さんなら優勝できる、東京へ行っても成功する。アメリカへ行っても……そうしたら自慢します。私は大月錠一郎の演奏を生で聞いたことがあるんだぞ、って……。るいは別れるつもりでここへ来たのだ。

着替えを済ませた大月を見て、少し派手だから別の衣装にしようを選び始めるるいを、今度はジョーが追い詰める。逃げ場をなくして試着室に入り、カーテンを閉めるるい。そのカーテンをジョーは開ける。るいはジョーに背を向けている。が、正面に鏡があり、二人は鏡越しに見つめ合うことに。るいは髪をかき分けて額を見せる。それを見たジョーはそっとるいに近寄り、手を下ろさせ、自分の方に振り向かせ、髪を元のように整える。そしてハグをした。るいは今度は逃げない。さらに唇を寄せようとして――ダグラスの店員がじっと注目していることに気づき、カーテンを閉める。

今日のベリーと小暮

「久しぶりやなベリーちゃん。なんや、学生みたいなカッコして」
「当たり前や、学生なんやさかい」
「えー」
「単位取って、来年こそは卒業せんとあかんねん」

今日のジョーとるい

「なんで僕じゃあかんの」
「あたし、東京なんかに行きたくないんです」
「なんで」
「遠いから」
「もうすぐ夢の超特急ができるよ」
「おじさんおばさんとも離れたくないし」
「僕とは離れてもええの?」
クリーニング屋の仕事もやめたくない」
「僕のシャツ、洗ってほしい」
「いややわ。毎日毎日ケチャップべったりついたシャツ」
「もうホットドック食べるのやめるよ」

雑感

久しぶりにきゅんきゅんする話になった。いい終わり方で週末を迎えられてよかった。

ジョーの気持ち

ジョーが傷を気にしないのはわかっていたけど、どう気にしないのかはずっと気になっていた。

片桐は、何も言えなかったけど、もし何か言うとしたら、「僕は気にしないから」とかになるのではないか。ジョーも何も言わなかったが、戦災孤児のジョーは、目に見えるところに傷はないけれど、彼もあちこちに傷を持っているのではないか。ジョーがもし何か言うとしたら、「僕も傷だらけだよ。一緒に傷を抱えて生きて行こう」とかになるのでは……。でもそこは、いちいち説明しなくても共鳴したってことだ。

38話との対比

るいが安子に額を見せて I hate you と言った時と意図的に同じ展開になっている。

どちらも雨が降っている。るいは自分で扉(カーテン)を閉める。額の傷を相手に見せつける。

あの時、安子は、閉めた扉を開けてくれなかったけど、るいは本当は、扉を開けてほしかったのだと思う。るいが本当に「母親から捨てられた」と思ったのは、扉を開けてくれなかった時ではないだろうか(安子には酷な言い方だけど)。ジョーは開け、るいを受け止めてくれた。生まれる前からるいを見てきた者としては、ジョーにありがとうと言いたい。

衣装選びをるいに頼んだ理由

るいが店に配達で来た時に、小暮は、ジョーの衣装選びを手伝ってくれないかとるいに頼む。ジョーと気まずいるいは、もちろん断わるのだが、この時小暮はなぜるいに頼んだのだろうか。僕は、こういう時こそベリーの出番ではないかと思った。贅沢を知らないるいよりも、明らかにベリーの方がファッションセンスはあると思うから。それにジョーが買えない高価な服もプレゼントしてくれるかも知れないし。

ネットで、るいはジョーの服をすべて知っているから、という指摘があり、なるほど、と思った。確かにるいは全部知っているし、全部知っていることを小暮は知っている。それでか。が、今再度視聴してみたところ、ジョーの不調の原因がるいにあることは小暮はわかっていて、衣装選びにかこつけて二人で会う機会を作り、何の話か知らないけどちゃんと話てすっきりしなさい、と言いたかったんだろうと思った。

その他

  • ずっと二人をチラチラ窺っていたダグラスの店員が今日のMVP。気付かれた途端に、あさっての方向を向いてごまかそうとするところとか。でも狭い店内であんな派手な痴話げんかをしていたら、気にするなという方が無理。
  • ジョーは優勝に自信ありげだけど、関西には他にめぼしいトランペッターはいないのか? もしトミーとジョーが優勝候補なら、Night & Dayも相当なレベルの店だということになる。まあ、コンテストを開催するくらいだから、関西のジャズバーの中ではそれなりのポジションなんだろうなあ。

(2022/01/15 記)


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「カムカムエヴリバディ」(51):ジョー、プロポーズ!?

第11週「1962-1963」(木)

放送日

  • 2022年1月13日

概要

海岸線の道を走るオープンカー。乗るはトミー(運転手)、ジョー、ベリー、るいの四人。ベリーは運転席を蹴飛ばし「話が違う」とわめく。ジョーは嬉々としてるいに話かける。るいは帽子を押さえつつ、「なんでこんなことに」と戸惑う。

「旭海岸」のバス停付近でいったん降りる。ジョーは車酔い。介抱するベリー。トミーはるいを誘って砂浜に。ジョーが震災孤児であること、間もなくコンテストが開催されること、ジョーが不参加を表明していることなどを話す。そして、ジョーが出ないなら自分も出ないと告げる。

元気を取り戻したジョーとるいを残し、トミーはベリーを連れ出す。そして、あの二人は共鳴しているんだ、ジョーの気持ちを変えられるのはサッチモちゃんだけ、お前は諦めろ、と引導を渡す。そして、オレと共鳴しないか? と誘うトミーに、私をハントするなんて100万年早いと言い置いて、トミーを残し、一人自動車で走り去ってしまう。

ジョーはコンテストに出ることを決意。そしてるいに言う。もしコンテストで優勝したら、一緒に東京に来てくれる? と。

今日の竹村劇場(観客:西山、山崎)

「『サッチモちゃん、頼みがあるんや』」
「『なに? どないしたんですかトミーさん。わざわざこんなところまで来て』」
「『実はベリーがオレのことを好きらしいんや』」
「『えー!?』」
「なんやのそのトミーとかベリーとか、けったいな名で呼び合うねんな、近頃の子は」
「ほんでほんで」
「『そやけどオレは、女ははべらすもんで、付き合うもんとは思うてへん』」
「なんや腹立つ男やな、トミー」
「またええ男やから、よけいに」
「ええからええから、続き続き」
「『ベリーがドライブデート行きたいと言うてんねんけど、オレは気ィ進まへん。サッチモちゃん、一緒に行ってくれへんか』と、こうや」
「るいちゃんは、『仕事中やし困ります』言うとったけどな、こいつがええから、行け行け言うて」
「そうかて、あんなすごい自動車でドライブなんか、なかなかできへんねんから」
「『るいちゃんが行かへんのやったらおばちゃんが行くー』」
「困っとったな、ジミー」
「トミーや」

今日のジョーとるい(その1)

「なに見てたん?」
「海、です」

今日のジョーとるい(その2)

「お母さんの顔が浮かんでる?」
「大月さんこそ、トランペットが聞こえてますか?」

今日のベリーとトミー(その1)

「私はあんたに利用されただけってこと?」
「悪いなあ、これも日本のジャズの未来のためや」

今日のベリーとトミー(その2)

「ジョーが世界に認められるトランペッターになったら、私の勝ちや」

雑感

ジョーがコンテストに出ない理由

傷つくのが怖いから、という説が定着しているように見受けられるが、それは小暮さんの想像であり、小暮からその説を聴いたトミーがそう思い込んでいるだけで、ジョー自身は理由を語っていない。

スポーツは、スポーツをするということが試合をする、つまり勝ち負けをつけるということだ。しかし音楽は、演者が自分の理想の音を追いかけ、聴く人は自分の好きな音を出してくれる演者の演奏を聴くものであり、優劣を競うのは本質的ではない。「のだめカンタービレ」や「ピアノの森」でさんざん語られてきたことだが、コンテストでいい成績を収めるには「コンテスト用の演奏」をしなければならない。それを嫌う音楽家はいると思うのだ。

若手が世に認められるためにはコンテストは有力な登龍門であるだろうし、プロになれば集客やらレコードの売上げやらで絶えず競争にさらされるので、本当にそれが厭ならプロを諦めるしかないだろうが、出ないで済むならコンテストなんか出たくない、と思っているミュージシャンは一定数いるのではないかと思うがどうだろう。

トミーの思惑

ベリーはもちろんジョーのことが好きで、るいもジョーに惹かれているが、今日のドライブデートを見ていて、ジョーのことを誰よりも好きなのはトミーなんじゃないかと思えてきた。昨日も書いたが、トミーは、ジョーが出ないなら出ないで、気にせず、我が道を行けばいいのだ。むしろライバルが減って有利なはずだ。が、トミーは、ジョーに出演してほしいと思っている。

けれども、自分やベリーがいくら言ってもジョーの考えを変えることはできない。変えられるのはサッチモちゃんだけ。だからサッチモちゃんを誘い出すためにベリーを出しに使った。ついでに言えばトミー自身も出しなのだ。るいは、特に何かをしたり言ったりしたわけではないが、るいと話をするうちに、ジョーの気持ちは変わっていった。トミーの計算通りだ。トミーはジョーのことが好き過ぎて、性格もわかっているから、こういう手が打てたのだ。

彼らはいかにして帰って来たか

ベリーがトミーの自動車に一人で乗って走り出していったあと、どうしたのかが気になる。普通に考えたら、少しそこいらをぐるっと回ったあと、戻ってきただろう。しかし、仮に戻ってこなくても、一応バス停があったから、バスと電車を乗り継いで帰ってくることはできるはず。もっとも、バスがどのくらいの間隔で走っているかわからないし、それだけの交通費をジョーやるいが持っていたかはわからない。まあトミーが一緒だからそこはなんとかなるか……

その他

  • 「旭海岸」は架空の地名だが、詳しい人によると、ロケ地は淡路島の吹上浜だそうである。地図を見ると、ここは内海ではあるが、太平洋に面している。当初大阪の人がドライブで海を見に行ったとなると、神戸か明石あたりかと思って、ジョーとるいが海を見ながらアメリカに思いを馳せるシーンで、いやそこに見えるのは紀伊半島か淡路島(か四国)でないのかい、と思っていたが、ちゃんとアメリカまでつながっていた。

(2022/01/14 記)

鷲見玲奈が結婚

1月11日、鷲見玲奈が結婚。12日に本人がインスタグラムで発表した。相手は一般人とのこと。鷲見玲奈は31歳。

もともとはテレビ東京のアナウンサーで、ニュースを見ていて、きれいな人だなと思い、注目していた。よくインスタに投稿しているようなので、フォローし、日々その尊顔を「うつくしいなー、たっといなー」と思って眺めていた時期があった。

が、わたしきれいでしょうと言わんばかりの、タレント然とした態度が鼻につくようになった。写真集まで出すに及び、少々あきれて、インスタのフォローもやめてしまった。

タレント然としたところが厭だったといっても、タレントではないのかと言われると返す言葉がない。もともと「女子アナウンサー」というのは日本独特の、中途半端な存在である。アナウンサーとしての能力だけでなく、容姿も採用の基準にしているのは明らかで、テレビ局自身が、彼女らをタレント扱いしている(ように見える)。

まあ、きれいな人なのは事実です。
(2022-10-01 記)

「カムカムエヴリバディ」(50):野球狂の叔父

第11週「1962-1963」(水)

放送日

  • 2022年1月12日

概要

るいは、これ以上ジョーに近づくと心を持っていかれそうで怖くなり、Night & Dayへの配達も平助に代わってもらう。

Night & Dayではトミーが、いつまでもこんな店で吹いていても仕方ない、東京の一流店へ、そしてアメリカへと夢を語る。こんな店で悪かったな、と言いつつ、小暮が耳より情報を持ってくる。ジャズトランぺッターコンテストがNight & Dayで開催されることになった。関西一のトランペッターを決めるのだ。

ベリーは優勝はジョーだと信じて疑わないが、ジョーは出ないという。トミーは、なぜで出ないのか、オレをバカにしているのかと怒り心頭。ジョーは店を出る。

るいが歩いているとバットでボールを打つ音が。先日の子供たちが野球に興じていた。るいを見つけると声をかけ、投手をしてくれという。引き受けたるいは剛速球を投げ、バッターを打ち取る。

そこへジョーが通りかかる。親しげに言葉を交わするいとジョー。その様子を、ジョーを追ってきたベリーが見ていた。

Noght & Dayへ一人戻ったベリーは、ウイスキーをストレートでがぶ飲み。なんでジョーは自分に振り向いてくれないのか、なんでちんくしゃサッチモにはあんな顔を見せるのか、と荒れる。

トミーはベリーに「ジョーとデートさしたろか?」と持ち掛ける。

今日のトミーとジョー

「女をはべらすことと付き合うことは別や」

今日のベリーとトミー(の取り巻き女)

「あたし一人の値打ちは雑魚100人とおんなじや」
うしろで変顔でリアクションを取る小暮さんに心をわしづかみにされた。

今日のベリーとジョー

「ジョーの考えていることくらいわかる」
「やめてくれ。人のことがわかるなんて簡単に言うな」
そんなにわかるなら、ジョーの心が自分にないことくらいわかりそうなものだが……

雑感

るいの、これ以上進むと傷つくかも知れない、と思うと自分から逃げてしまう癖がまたしても勃発。まあ、恋愛ごとにはよくある話ではあるけれど、どこかでちゃんとぶつからないと、一生、いろいろなものから逃げなければいけなくなるぞ……と思ったが、配達は代わってもらったけれど、外でジョーと会った時は逃げずに近寄って話しかけている。ジョーの顔を見たら思わず話しかけてしまった、というところだろうか。

コンテストに出場しないというジョーに、トミーが本気で怒るが、怒る理由がわからない。ジョーがライバルの可能性があるなら、出場しないのは自分にとってチャンスだろうに。自分をバカにしているのが許せない、というが、コンテストに出ないことがなぜトミーをバカにすることになるのか。

トミーは他人の演奏を聴いていて、下手だと思った人はクソ味噌に言う。自分がそういう人間だから、自分もそう思われていると思ったか。まさに「自己紹介乙」というやつだが、仮にそうだとしても、コンテストで優勝なり上位入賞なりすれば、世間が認めたことになるのだから、ジョーのことなど気にしなければいいのに。トミーは、ジョーに「すごい、お前にはかなわない」と言ってほしいのか。

るいが野球をしているシーンは楽しそうでよかった。投げ方がもう少しうまければいうことなしなのだが。野球指導に山崎慎太郎の名前がクレジットされている。恐らく元近鉄バファローズで活躍した投手のことだろう。彼が教えても、どうしようもなかったのだろうか。本当に速い球を投げろと言っているわけではない。格好だけでいいのだから、ちょっと練習すればなんとかなるような気がするのだが。

ところで、屋外で、激しく身体を動かせば、前髪がめくれあがる可能性も増すが、こういう時は気にしないのね。

柊木陽太(回想)のクレジットが大月錠一郎になった。

今日のtwitter

これは紹介せずばなるまい。ちゃんと勇とジョーとるいだってわかるよ……。るいは上手投げだったけどな!


(2022/01/13 記)


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「カムカムエヴリバディ」(49):接近

第11週「1962-1963」(火)

放送日

  • 2022年1月11日

概要

るいはレコード屋へ行きサッチモのレコードを買う。それからレコードプレイヤーを買おうとしてあまりの高さに驚……いているところでジョーと遭遇。ふたりはNight & Dayへ行き、店でレコードをかけてもらう。真剣に聞き入るるい。

川沿いの道を歩いていると、野球のボールが飛んでくる。近くの空き地で野球をやっている子供のボールが飛んできたのだ。るいは投げ返すが、「いい球」だったため、子供たちはどよめく。

洗濯物を届けにきたるいに、雑誌「ジャズジャーナル」を渡すジョー。

ベリーはジョーに「ハワイの若大将」(若大将シリーズ第四作)のチケットを二枚見せ、一緒に行こうと誘うがジョーは受諾せず。

るいはジョーの部屋に洗濯物を配達。ジョーはトランペットをるいに渡し、吹いてみるよう促す。手と手が触れあい、るいの唇がペットマウスへ……急に恥ずかしくなったるいは、部屋を飛び出す。

家に帰ってもずっとジョーのことを考え続けるるい……

今日のニュース

夢の超特急・新幹線が、テスト区域で時速256kmを達成。

今日のベリーと木暮

「懲りへんなあ」
「青春映画もあかん、恐怖映画も宇宙活劇もあかん、水族館も遊園地も、どこ誘ってもあかん。どないしたらデートしてくれるのジョーは」
「ベリーちゃん、押しが強過ぎるのとちゃう?」

雑感

手と手を触れ合いながらるいがトランペットに口をつけるシーンは、なまじのキスシーンよりエロかった。

るいがジャズやルイ・アームストロングに気持ちが向いてきたとみるや、雑誌を読ませるなどして沼に引きずり込もうとしているジョーがオカシイ。

るいは、プレーヤーを買う前にレコードを買うのは順番がおかしい。もっとも、プレーヤーはいつでも(お金さえあれば)買えるが、レコードはそうじゃないから、これが正しいのかも。そういえば喫茶店にレコードを持ち込んで、「マスター、これかけて」と言う客が昔はいたなあ。

るいの野球は勇仕込みだから、うまいという設定なんだろう。実際には肩も腰も使わない、手だけの投げ方(要はど素人)なんだけど。

ベリーは、ジャズマンのジョーの追っかけなのではなく、大月錠一郎という男性を好きだということか? 謙虚なのは自分のガラじゃない、推して押しまくる、という主義のようだが、ジョーの部屋へ押しかけたりはしないのね。
(2022/01/12 記)


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「カムカムエヴリバディ」(48):ジョーの正体

第11週「1962-1963」(月)

放送日

  • 2022年1月10日

概要

汚したシャツを洗うべく、るいはジョーを家に上げる。かき氷を食べながら、ジョーは、On the Sunny Side of the Street が最も古い記憶なのだと語る。岡山の進駐軍クラブで、素人のおじさんが歌ったのだけど、それに圧倒された。その時に、これが自分の日向の道だとわかった。だからこの曲は自分にとって特別なのだと。

るいも思い出を語る。幼い頃、ジャズ喫茶で何度かレコードを聴いたことがあること。自分の名はルイ・アームストロングにちなんで亡き父がつけてくれたこと。母が自分を捨ててアメリカへ行ってしまったこと。母のことは思い出したくなかったと。

しゃべりながら回想シーンがはさまれるが、それは天然色だ。

竹村夫妻の誘いでジョーは夕食を食べていく。食後、るいはジョーと一緒に散歩に。道端で花火をする親子に二人はしばし見入る。ジョーも家族はいないのだ。ジョーはまだやっていた出店で風鈴を買い、るいにプレゼントする。るいはそれを部屋に吊るし、今度はレコードを買おうと決意する。

今日のニュース

1962年8月12日、堀江謙一(23歳)が小型ヨット「マーメイド号」でサンフランシスコに入港。日本人初の単独無寄港太平洋横断を達成した。

今日のジョーとるい(その1)

「(かき氷を食べながら)サッチモちゃんの分もあるよ」
「置いといてください」
「溶けるよ」
「(イラついて)すぐに行きます」
「はい」

今日のジョーとるい(その2)

「僕の一番古い記憶は On the Sunny Side of the Street なんや。シンガーでもないおじさんがマイク持って歌い出して、みんな圧倒されてた」
そりゃおじさんの中の人は世良公則やからな……圧倒されるわな……

今日のジョーとるい(その3)

「母は私を捨てました。進駐軍と恋をし、幼かった私を置いてアメリカへ行ってしもうた。じゃから思い出しとうなかった」
「そうか。会いたいんやな、お母さんに」

今日のジョーとるいと竹村夫妻

「もう、早よ、これを着て帰ってください」
「まだ乾いてないよ」
「生乾きのシャツを着て帰りゃええが」
「(ラムネを持って)るいちゃん、冷たいもんでもどうや」
「お客さんもどうぞ」
「お客様はお帰りです」
「ありがとうございます」
「よかったら晩ごはんも食べて行ってくださいね」
「いいんですか」
「晩ごはんいうても今日はお祭りのもん並べるだけじゃけどね」
「やっぱりお祭りの夜はにぎやかなのが一番やからな」

雑感

ジョーとるいが過去の話をする。ジョーはやはりあの密入国の少年だった。そうだろうとは思っていたが、はっきり確認できてよかった。

るいの回想シーンに色がついた。はっきり思い出したということか、厭なだけの思い出ではないということか。るいは「母に捨てられた」と思い込んでいる。残念だけど、るい視点ではそうでないとも言い切れない。安子はその後一度も帰国していないのだろうか。手紙の一本も送ってこなかったのだろうか。渡米後の安子についてはいずれ語られる機会もあろうが、このあたりは今のところ謎が多い。

ただ、話を聞いたジョーが「ひどいお母さんやな」などと相槌を打つのではなく、「会いたいんやな」と反応したのは、ジョーらしいし、すごくよかった。るいは安子に会いたいんだろうと、僕も思っていたからだ。

しかし期待する通りの反応が得られず、怒って帰るように言い出したるいに、ずっと立ち聞きをしていた竹村夫妻が絶妙のアシストでジョーを引き留める。このあたりは、コミカルでもあるが、とても大事だ。るいが安子を追い出した時は止める人がいなかったから、決裂してしまったんだから。
(2022/01/11 記)


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「ミステリと言う勿れ」(1)

題名

  • 「ミステリと言う勿れ」第1話〔フジテレビ〕

放送日

  • 2022年1月10日

原作

脚本

エンディング曲

登場人物

あらすじ

大学生の久能整は、朝から自宅アパートでカレーを作っていた。そこに、アパートの大家が大隣警察署の刑事、薮鑑造と池本優人を連れて現れる。昨夜10時の行動を薮に問われた整は1人でカレーを作っていたと答えた。すると、薮は付近の公園で寒河江健の遺体が発見されたことを整に伝え、警察署へ任意同行を求めた。

整は薮、そして青砥成昭の聴取を受ける。公園で殺害された寒河江は整と同じ高校の出身で同じ大学に通っていた。さらに、寒河江が殺害された時刻に整と争っているのを見た目撃者もいる。そのため、整は容疑者となっていたのだ。だが、薮たちの追求に整は淡々と無実を訴える。目撃情報もはっきりと自分だと言えるのかと理屈を並べて返して行く。

夜になると、整は明日も取調べに応じるという条件で解放された。刑事の風呂光聖子に預けていた携帯電話を返してもらいに行った整は、彼女がペットロスであることを知る。また、池本が間もなく父親になるという話も整の耳に入った。

翌日、整が警察署に行くと、薮から指紋を採るよう命じられた風呂光と池本が取調室にいる。整は風呂光のペットロスを言葉で癒し、池本にも間もなく出産を迎える妻への労りをアドバイスした。薮はそんな整が犯人に違いないと青砥に告げる。

取調べ三日目、整は署内での立ち位置に悩む風呂光に希望を与えた。そこに藪が来て、寒河江を殺害した果物ナイフが見つかり、整の指紋が検出されたと伝える。(公式サイトより)

雑感

初回90分スペシャル(CMが入るため実際にはもっと短いが)。内容は原作第一話の「寒河江健殺人事件」。が、展開を見ていると1時間くらいで話が終わりそう。終盤でドラマオリジナルの話が入って膨らむのか、どうするのかと思ったら、10時過ぎには終わってしまった。「???」と思ったが、長いCMのあと、「バスジャック事件」の冒頭が始まった。事件が起きて、どうなるんだろうと思わせておいて続きは翌週、というわけか。しかしそのためにわざわざ尺を長く取ったというのはあまり意味があったとは思えないが……

さて、「寒河江健殺人事件」。原作のエピソードの中でも自分は初回にして(今のところ)最高傑作だと思う作品。基本的に取調室の中ですべて進むため、もともと芝居向きで、原作をほぼ忠実に再現していた。ただし乙部刑事は登場せず、そのため、娘さんが父親を嫌うことに関して久能が語るシーンも省かれた。

もうひとつ、家宅捜査の時に証拠を見つけたのは誰だったかを風呂光に問うセリフも省かれた。視聴者は誰が発見したかを知っているから、これを訊くとその時点で犯人がわかってしまう……と思って敢えて避けたのかも知れない。ただ、僕は久能の指摘した状況証拠の中で、これが最も強力だと(それ以外のものは少々こじつけだなあと)思っていたため、これが省かれたのは残念であった。

さて、本作は久能がひたすら「語る」ところに妙味がある。長台詞を退屈させず、惹きつけておける役者ということで菅田将暉が選ばれたのではないかと思っている。彼の長台詞のうまさは「アルキメデスの大戦」で実証済みだ。ネットでは、菅田将暉よりもっと久能整に似ている役者を挙げている人がいたが、外見が似ていればいいというわけではないのだ。

菅田整のしゃべり方を聴いて、へー、そういうしゃべり方をするんだ、と少々意外であった。自分の想像とはまるで違っていたからだ。これはこれで悪くない。

  • 遠藤憲一さん、活舌が悪いというわけでもないのだろうが、セリフが聞き取りにくい(場面がしばしばあった)。
  • 伊藤沙莉ってこんなに美人だったっけ?(すみません)惚れ惚れした。まさに眼福。
  • 尾上松也は好きだけど、池本はもっと若い役者の方がよかったのでは……

「鎌倉殿の13人」(1)

題名

  • 「鎌倉殿の13人」第1話「大いなる小競り合い」

放送日

  • 2022年1月9日

脚本

登場人物

北条家

源氏

伊東家

三浦氏

概要

北条時政が数年ぶりに京の勤めを果たして伊豆に戻ってきたと、郎党集まり、酒宴が繰り広げられる。

そんな中、不在の間に八重が流人の頼朝に嫁ぎ、子までも受けていたことを知った伊東祐親は激怒し、頼朝を殺そうとする。からくも脱出した頼朝は、伊東祐清や北条宗時の協力で、北条時政の家の離れに匿われることに。

頼朝が屋敷内にいることは極秘中の極秘事項だったが、あっという間に家中に知れ渡り、伊東祐親の耳に入り、伊東祐親は武装して時政の館に攻め入る。頼朝は女装して屋敷から逃げ出すが……

雑感

今日は人物紹介と、主要人物のキャラクター紹介が主目的。北条時政は女好き。北条宗時は源氏に協力して平氏の世を倒そうという現実離れした(この時点では)考えを抱いている。政子は垢抜けた人が好きで頼朝にぐおぐい迫る。実衣は冷静かつ毒舌。かんじんの義時は、いろいろなことに巻き込まれ、押し付けられ、苦労する人。

それぞれの力関係などが示されたところで、頼朝と八重の子があっさり殺され、この時代の人の命の軽さや坂東武士の荒くれ度合いが示される。

ユーモラスなシーンも緊張のシーンも適度に盛り込まれ、初回としてはよくできた、まとまった話であった。

登場人物が現代語をしゃべること以外は……

真田丸」でもそうだったので嫌な予感はしていたのだが、(全員が常にというわけではないが)この時代にはありえない言葉を使う。時代劇でこうした現代風のしゃべり方をされると生理的にツライ。「真田丸」の時は松(木村佳乃)ときり(長澤まさみ)のしゃべりかたが我慢の限界を超えていたため、一応最後まで見たが、録画を見返すことは決してなかった。

今回は今のところ、ここまではひどくないが、もう一度見返す気にはなれない。

鎌倉時代は興味があるので、どのように描かれるかは気になる。まあ、あまり気持ちを込めず、ゆるゆると見ていくことにしよう。

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「カムカムエヴリバディ」(47):地蔵盆

第十週「1962」(金)

放送日

  • 2022年1月7日

概要

ジョーの演奏を聴いて、るいの心の扉が開く。回想シーンがセピア色に変わった。モノクロームであることに変わりはないが、白黒から少し色がついたということだろうか?

耐えられなくなったるいは席を立ち、大阪の町を当てもなく歩く。しばらくしたらジョーが追いかけてきた。On th Sunny Side of the Street はサッチモちゃんにとって特別な曲なんじゃないのかと問うジョー。部屋でこの曲を吹いた時に涙ぐんだから。だから今日の曲に選んだと。るいは、あなたのおかげで思い出したくないことを思い出してしまった。忘れるために岡山から出て来たのに! と言い放ち、ジョーの前から去る。

Night & Dayの洗濯物の配達を言いつかる。るいは気まずい思いを抱えつつ、店に行く。小暮はるいに、サマフェスで途中で帰ってしまったのはもったいなかったと言う。ジョーのサニーサイドは特別だから、と。

お互いに月を眺め、相手を思いつつ、数日が過ぎる。

地元の地蔵盆。出店が出て遊ぶ子供らを二階の窓から眺めているるいだが、ジョーがやって来たことに気づく。子供らにまじって輪投げ、金魚すくいをし、たこ焼きを食べるもこぼしてしまい、シャツを汚す。るいは慌てて二階から走って降りて外へ飛び出し、「すぐに落とさんと、シミになってしまう!」と汚れを落としにかかる。ジョーは「よかった」と呟く。

今日のジョーとるい

「特別な曲なんやと思うてた。でも違うんやな。On the Sunny Side of the Street はサッチモちゃんにとって、特別な曲やなくて、すーっごく特別な曲なんやな」

今日のジョーとるい(その2)

「よかった。サッチモちゃん、怒ってると思って。もう僕の洗濯してくれんと思ってた」
「そねえなわけねえじゃろ、私はクリーニング屋なんじゃから」

雑感

サマーフェスティバル(夏祭り)が初デート(今回はデートではないけど、うきうきする場所)であること、前半は楽しいけど途中で厭なことがあって帰ってきてしまうこと、……安子&稔と相似形になっている。安子の時の仲直りの言葉は「メイ・アイ・ライト・ア・レター・トゥ・ユー?」だったが、今回は「そねえなわけねえじゃろ、私はクリーニング屋なんじゃから」だった。

サマーフェスティバルは8月11日。地蔵盆は8月24日だとポスターに読める。るいとジョーが互いに相手を思い浮かべつつ満月を見上げるシーンは、都合のいい演出? と、調べてみたら、1962年8月の満月は16日だった。まさにこの日、二人は空を見上げていたのだ。そこまで調べての演出だとしたら、すごい。

サニーサイドはジョーにとっても特別だというのは、定一さんの熱唱を生で見たから?

とりあえず仲直りとなったようだ。これにて今週は終わり。記録もようやく追いついた。
(2022/01/09 記)


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「カムカムエヴリバディ」(46):サマフェス

第十週「1962」(木)

放送日

  • 2022年1月6日

概要

るいは竹村夫妻に、Night & Dayのサマーフェスティバルに行きたいから、その日は早退させてほしいと願い出る。ジャズ喫茶の夏祭り? は何のことかわからないけど、るいに行きたいところがあるのは大賛成。和子はサマフェス用の服を買いにるいと一緒に買い物に行く。娘と買い物にいくのが夢だったと和子は上機嫌。るいが本当の子だったらよかったなあと語る夫婦に、るいも、この家の娘として生まれてきたらよかったのにと思う。

サマフェスを控え、トミーが荒れ気味。ナベサダこと渡辺貞夫の渡米が気に入らない。穐吉(あきよし)敏子と一緒に行くのは自分だと決めていたのに……。

サマーフェスティバル当日。ベリーは着飾ってくるが誰も注目してくれない。トミーには女性客が多い。ジョーが選んだ曲は On the Sunny Side of the Street だった。その曲を聴いていたらるいはいろいろなことを思い出し……

今日のるいと竹村夫妻

「Night & Dayのサマーフェスティバルに行ってみよう思いよるんです」
「あのジャズ喫茶か」
「はい」
「ええやないの、いってき、いってき」
「ええですか」
「もちろんや。8月はそないに忙しいことないしな」
「ありがとうございます」
「ところで、さまーふえすてぃばるで何するん」
「かー、知らんと言うてたんか」
「あんた、知っとった?」
「知らん」

今日のベリーと木暮

「なあなあなあ見て小暮さん、今日のために誂えてん。ドレスも靴もバッグもアクセサリーもー」
「うん、きれいきれいきれい(棒読み)」
「今日こそジョーのハートを撃ち抜いたるえ」
「はいはい」

今日のトミーとジョー

「(るいを見て)地味にしててもあふれる気品。ただものやない思てたんや」
「ただものやないって?」
「岡山や言うてたな。きじまるいて名乗ったな。おじさんが野球やっている言うたな。あれは絶対雉真繊維のお嬢さんや」
「きじませんい……」
「そや」
「てなに?」
「……もうええ」

今日のベリーとるい

「ええとこの子はええとこの子の苦労があるんや。覚えとき」
「勉強になります」
ええとこの子がええとこの子の苦労をしてきたのがるいやな。しかし言い返したりせず穏やかにこう返すところが、まさに「ええとこの子」の態度!

雑感

大阪編は漫才にみたいに進むシーンが多いので、全部のセリフを書き残しておきたいほど。

今日のハイライトは、るいが、竹村夫妻の子として生まれてきたら本当によかったのに、と思うシーンだ。るい、気持ちはわからんでもないが、それだけは口にしたらあかんえ。

渡辺貞夫はもちろん、穐吉敏子は実在の人物(初めて知った)。

オープニングのテロップで、トミーはトミー北沢に、ジョーは大月錠一郎に変わった。

ジョーは学校へ通ったことがない。だから学生服を着たことがない。だから雉真を知らなかった、ということではないだろうか。小暮さんと定一さんは知り合いだったりして……

ジョーのサニーサイドを聴いて、るいは何をどこまで思い出すか。

るいと和子の買い物シーンはよかった。和子はるいに楽しんでほしいというが、高校中退して大阪へ出てきた女の子に、さあ遊びに行け、楽しんでこいと言っても、何をしていいか戸惑うだけだろう。夫妻が、外食やら映画やら感激やら、自分たちがやりたいことに時々るいを突き合せればいいのに、とは思った。会社員だと、上司や先輩社員がそうやって「遊び」を教えていくものだが、るいには同僚も先輩もいないからな。
(2022/01/09 記)


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「カムカムエヴリバディ」(45):ジョーの名前

第十週「1962」(水)

放送日

  • 2022年1月5日

概要

るい、7月分の給金をもらう。大口契約を決めてきたご褒美に色をつけておいたという平助に、何に使う? と訊く和子。貯金すると答えたるいに、和子はいつになく激高する。何か楽しいことに使え、と。

それで本でも買うかと本屋に行く途中でジョーと再会。ジョーはレコード屋を案内するが、プレイヤーを持っていないるいはレコードを買っても仕方ない。ジョーは店にるいを連れていく。

Night & Dayは開店前なのにベリーがいて、ジョーが女を連れてきたためいきり立つ。そこへトミーもやってくる。

るいの名前を知って、トミーは、ジョーがサッチモちゃんと呼び掛けた理由を理解するが、ベリーは面白くない。なんで洗濯屋の娘がるいなんて名前なのかと絡む。娘ではない、住み込みで働いているだけと答えると、それなら何者なのかと追求。ジョーは、岡山の人でしょ、と指摘。小暮は、ご両親はルイ・アームストロングのファンだったのかな、と尋ねるが、るいは、叔父が野球好きだったから塁なのだと答える。

ジョーは、間もなく開催されるサマー・フェスティバルに自分も出演するからとるいを誘う。

今日のるいと和子

「どないなことに使うんか。かいらしい服買うんか? おいしいもの食べに行くんか? 温泉にでも行くんか」
「貯金します」
「へ!?」
「特にほしいもんもねえし、大事にとっておきます。ありがとうございました」
「あかん! 貯金すんのはええ、そやけど全部はあかん」

今日のベリーと小暮

「小暮さーん、レスカちょうだい」
「(モップをかけながら)ベリーちゃん、気ィついていると思うけど、まだ開店前だからね」
「そやから、なに?」
「なに、て」
「もう短大の友だちにチケット売ったらへんで」
「またそないにして脅す」
「当たり前や、持つべきもんは、金払いのええお得意さんやで」
「考え方がええとこの短大生やあらへんで」

今日のジョーとるいと小暮とベリー

ジョー「アイスコーヒーでいい?」
るい「はい」
ベリー「まだ開店前やで」
小暮「どの口が言うとるんや」
ベリー「ふんっ」

今日のトミーと小暮とベリー

「アイスコーヒー」
「誰も営業時間気にしてへんな。あいよ」
「私のレスカはいつできるん!?」

今日のジョーとるい

クリーニング屋のおばさんのことやけど、戦争中やったんと違うかな。サッチモちゃんくらいの年の頃。着たい服も着れん、食べたいものも食べられへん、行きたいとこにも行かれへんかったんちゃぬかな。そやから……」

雑感

今日は絵よりもセリフで回す回だった。随所に面白い、かつ重要な言葉が散りばめられている。

和子があんな風に血相を変えてるいを怒鳴りつけるなんて初めてのことで、るいならずとも驚くが、自分が若い頃戦争中で不自由な思いをしただけに、若いるいには青春を謳歌してほしかったのだ。

おばさんの気持ちもわかるが、何も給料をもらった瞬間に使わなくてもいいのではないか。たいした手持ち資金もなく、頼れる身寄りもないるいとしては、とにかくある程度貯金ができないといざという時に話にならない。ぜいたくは、ある程度まとまった金額が貯まってからでもよいと思うが……。

本屋に行こうとするるいとレコード屋から出てきたジョーがばったり会うのは、稔と安子が再開したシーンの相似形。

ジョーは、ベリーが相当な金を遣って自分を追いかけていることは知っているはずなのに、ベリーの前で「サッチモちゃんが淹れてくれたコーヒーはおいしかったなあ」などと話すのは天然のなせるわざか? しかし、ベリーの気持ちはわからなくても、るいから話を聞いただけのおばさんの気持ちはわかるのだ。

サマー・フェスティバルのポスターでジョーの名前が判明。大月錠一郎だ。んん? 錠を「金」「定」に分解すると、名前の中に「定一」が含まれるが……考え過ぎか?

最後、るいが竹村夫妻に何か話がある様子で終わる。サマー・フェスティバルに行きたい(から休みがほしい?)ということを伝えるのだと思うが、それだけにしてはちょっと大げさ。他に話があるのか?
(2022/01/09 記)


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「カムカムエヴリバディ」(44):るい、サッチモを知る

第十週「1962」(火)

放送日

  • 2022年1月4日

概要

るい、Night & Dayに洗濯済の衣服を届けに行く。小暮から合格点をもらい、以後、月ぎめで注文をいただけることに。また、ジョーが店の上の階に住んでいることがわかり、彼の依頼物もついでに届ける。

インスタントコーヒーを薦められるがるいが断わると、ジョーは自分の分だけ淹れて飲もうとする……が、粉の分量を雑に入れようとしたため、るいが怒って、代わりに入れる。それはとてもおいしかったらしく、ジョーは喜ぶ。

部屋は殺風景でちらかっており、トランペットの演奏とレコードを聴くためだけの部屋だとるいは考える。壁にはルイ・アームストロングの写真が貼ってある。

おもむろにOn the Sunny Side of the Streetを吹き始めるジョー。それを聴いてるいは目頭が熱くなってくる。聞き覚えがあるが、いつどこで聞いたものかは思い出せない。

店に戻ると、片桐が来店。るいは笑顔で応じるが、それは商売上の笑顔だった。

その後、ジョーから預かった洗濯物を広げながら、ジョーの私生活に想像を働かせるるいだった。

今日のるいと小暮

「ジョーいう人は今日もこけぇ来ますか?」
「ジョー? 来るもなにも」

今日のるいとジョー

「おいしい。サッチモちゃん、コーヒーいれるの上手やな」
「インスタントです。誰がいれても一緒です」
「いや、全然ちがう。サッチモちゃん、何か入れた?」
「入れてません。……あの、サッチモちゃん、って」

今日のるいの独り言

ルイ・アームストロングって、こねん顔じゃったんか)

雑感

るいは、やはり「ルイ・アームストロング」のことを知っていた! 安子がるいの名前の由来について話していないはずがなく、るいがそれを覚えていないはずはないと思ったが、それが確認できてよかった。本日の最大の収穫。

るいのおじいちゃんは新しいもの好きで、インスタントコーヒーが発売された時にすぐに買って飲んでいたという。るいはおじいちゃんのことを思いながらコーヒーをいれた。そのコーヒーがおいしかったため、「何か入れた?」と訊くジョーに対し「入れてません」と答えるるいだったが、飲む人の顔を思い浮かべながら、おいしうなあれ、という「気持ち」を入れていたのではないか。

ジョーの吹くサニーサイドは、定一さんの歌い方に似ているような気がするが、考え過ぎか?
(2022/01/08 記)


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「カムカムエヴリバディ」(43):ジャズの生演奏

第十週「1962」(月)

放送日

  • 2022年1月3日

登場人物

  • 近藤芳正(小暮洋輔、ジャズ喫茶「Night & Day」マスター)

概要

年を越したためか、最初の約1/3は大阪編のまとめ。るいが宇宙人の演奏に聞き入るシーンまで。

演奏が終わって客席へ降りてくる。トミーがジョーに「お前の演奏は仕入れの極端な寿司屋だ。アジで勝負、ってな」とからかい、ベリーが「嫉妬でしょ」と言い返す。彼らの会話が耳に入ったるいはチンプンカンプン。トミーとかベリーとかジョーってなに?

ジョーがるいの前に座る。やっぱりジャズが好きだったんだ、と。るいという名前を聞いて、そうではないかと思っていたと。るいが否定すると、るいってサッチモのことじゃないの? と訊き返す。るいはどう答えていいかわからない。

そこへベリーが、あんた、いったいジョーとどういう関係なの? と絡んでくる。自分はクリーニング屋の店員で、ジョーはその常連さんなのだ、と答えると、ベリーは、なんだ洗濯屋なの、と見下して笑うが、マスターは、クリーニングの仕事をるいに依頼する。

竹村夫妻が、今頃は楽しんでいるといいな、夕食は何を食べているのかななどと空想しているところへるいが帰ってくる。洗濯物を山ほど抱えて……

でも、るいの顔は明るかった。

今日のるい

「ちいてけん」

今日のベリーとるい

「言うとくけど、ジャズマンを追っかけ回すいうのは、思っているよりお金がかかるの」
「追っかけまわす?」
「あんたにその覚悟と経済力があるの!?」
いつの時代も沼に嵌まるとたいへんなんですね……

今日の竹村夫妻とるい

「なんでデートに行って、洗濯物抱えて帰ってくんの」
「それや、それやがな」
「私にもようわからんのです」

雑感

昨年は火曜日で終わったのだから、5日の水曜日から再開でもよかったのではないか。三が日から始まるのは朝ドラ史上初めてらしいが、三が日はお正月特別体制で忙しく、ドラマをゆっくり見る時間を確保するのが難しい。それに、第〇話の番号を見て、たとえば31話なら月曜日だとか、25話なら金曜日だとかいうことがすぐわかった。一週間単位で話は進むからこれは大事だ。が、今回ずれるため、今後は話数を聞いても何曜日かを当てるのは至難の業になる。なんでそないに慌てて始めよったんやろ?

登場人物のテロップ、市川実日子は「ベリー」に、早乙女太一は「トミー」に、オダギリジョーは「ジョー」に変わった。

ペットを吹いているジョーはちょっとカッコよかったが、舞台を降りると相変わらずつかみどころがなくふわふわしている。察するにベリーはジョーのおっかけでトミーは仲間のジャズマンというところか。

今日は、大阪編の家族以外の、るいの世界を彩る人たちの紹介回。

それにしても、片桐と別れてまっすぐ帰る気になれず、一人で入ったにしては、ずいぶんな店を選んだものだ。なかなか女の子一人で入るには敷居が高い店だと思うが、何にもわからず勢いで飛び込んだのかな? 
(2022/01/08 記)


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「岸辺露伴は動かない」(4)

題名

放送日

  • 2021年12月27日

脚本

登場人物

概要

露伴は会員制のスポーツジムで橋本陽馬という若い男と出会う。陽馬は駆け出しのモデルで、事務所の社長から「体を作れ」と指示されてジムに通う、無気力でつかみどころのない青年だった。だがこの日を境に陽馬はランニングにのめり込むようになり、走りに対する執着は次第に常軌を逸していく。ある日、久しぶりに露伴の前に姿を見せた陽馬は見違えるほど自信に満ちあふれていた。そして陽馬は、露伴にある勝負を提案する……
(公式サイトより)

雑感

昨年末に放映されて自分の周囲ではとても評判がよかったドラマ。今年も続編が作られたという。ミステリーものらしいが、ミステリーは僕の好みだし、なにしろ主人公が高橋一生なのだ、間違いはあるまい。そう思って見ることにした。

高橋一生の異様なしゃべり方や、頭に巻いているものを見て、厭な予感がした。これは自分の守備範囲を超えているのではないかと。案の定、頭の中のノートを読めるとか、書き込むとその人間の行動を操作できるとか、怪しい話になっている。

原作漫画は「岸辺露伴は動かない」だと思ったが、調べてみると、そもそもこの作品は「ジョジョの奇妙な冒険」のスピンオフで、ジョジョの世界観が反映されているのだ。ジョジョの冒険譚も読んだことはないが、ファンタジー作品であろう。ファンタジーは相性が悪い。

ドラマ自体は、橋本陽馬の偏執ぶりがすごく、これに引かれて見続けられた。とはいえ、この男が彼女や配達員を殺したのだと思うが、岸辺露伴がその謎を解いて犯人を見つけるというわけではなく、天罰がくだるわけでもなく、消化不良でもあった。

ドラマはよくできているのだろうが、5話以降を見るのはやめにした。
(2022/1/7 記)


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「カムカムエヴリバディ」(42):るい、デートする

第九週「1962」(火)

放送日

  • 2021年12月28日

登場人物

概要

るいが本を読みつつ店番をしていると、片桐さんがやってくる。まだO・ヘンリー読んでるの? と訊かれたるいは、ゆっくり楽しもうと思っていると答え、O・ヘンリーの作品では「善女のパン」が好きだと答える。どんな話だっけ、と訊かれ、ストーリーを(寸劇付きで)説明。二人は笑い合う。その様子を眺め見ている竹村夫妻と西山。

預かった上着を確認していると、ポケットに物が入っている。取り出してみると、椿三十郎の映画のチケット、裏には、片桐からるいへの、一緒に見ようというメッセージ。デートの誘いだ!

日曜日、おめかしをして出かけたるいは、片桐と一緒に映画を鑑賞。もう少し時間ある? よかったら食事でも、という片桐に、ぜひ連れて行ってください、とはしゃいで答えるるいだが、そこへ一陣の風。あわててスカートを押さえるが、風が髪をかきあげ、額の傷がはっきりとさらされてしまった。片桐は驚いてまじまじと見る。まじまじと見ている片桐をるいは見る。一瞬ののち、食事に行こうという片桐に、やっぱり帰りますと言ってるいは駆け出すのだった。

とはいえ真直ぐ帰らず、行き当たりばったりで店に飛び込むと、そこはジャズの生演奏をしている店だった。舞台の中央でトランペットを吹く人は、かの「宇宙人」だった……

雑感

るいの恋と失恋

片桐にポーっとなってしまったところは、稔に恋に落ちた安子に似ていたが、その後の経過は変わった。

面接の時もそうだったが、るいは、深く傷つきたくないがために、そうなりそうな気配を感じると、そこで自ら引き返してしまうことが習い性になっているように思われる。片桐は、このような傷跡を間近に見るのが初めてだったのだろう、驚いたのは仕方がないが、そのあと必死で気にしないふりをしてくれたのだ。そのままついて行ってもよかったと思う。が、るいは誘いを断わり、みじめな気持ちになるのだ。

このるいの態度はtwitterでも賛否あったところだ。自分で断わっておいてみじめだ、傷ついたと言うのは自分勝手も過ぎるのではないかと。また、そうなることがわかっていたから千吉は手術を薦めたのに、それを拒否したのは自分ではないか、なにを今さらと。そんれはその通りだろうが、その時にはわからなかったのだよ。それが歳を取るということだ……

まあ、片桐さんもちょっと呆然とし過ぎたけどな。

善女のパン

この作品は、「最後の一葉」「賢者の贈り物」「赤い酋長の身代金」などと並んでO・ヘンリーの代表作のひとつに数えられるのではないかと思うが、ほかの作品はだいたいハートウォーミングなものが多いのに、この作品の主人公のマーサは、善人なのかも知れないがちょっと思慮に欠けるところがあり、物語としては後味が悪い。るいが、こうしたシニカルな作品が一番好きだと言う理由は一考に値するように思う。

ひとりよがりでみじめな点が、自分に共通すると感じたのだろうか?

片桐は筋を聞いても思い出した様子はなかった。O・ヘンリーを好きでこの話を知らないのは考えにくい。片桐は、本当は名前ぐらいは知っているけど好きというほどでもないが、るいに話を合わせるため好きだと言ったのかな?

その他

  • 市川実日子は「おじゃべりな女」とオープニングで紹介されたが、一言もしゃべっていない。
  • 早乙女太一はたしかにすかしていた。
  • オダギリジョーは今日も「宇宙人」とのことだったので、また名前を聞き忘れたのかと思ったら、そうではなかった。
  • 2021年の放映はこれで終わり。

(2022/01/06 記)


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