窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「ブギウギ」(126)

第26週「世紀のうた 心のうた」(金)

放送日

  • 2024年3月29日

概要

スズ子のさよならコンサートが始まる。客席には懐かしい多くの面々がかけつけている。茨田りつ子、愛子らが見守る中、舞台に登場するスズ子。歌を愛し、家族を愛し、義理と人情に満ち、ズキズキ・ワクワクしながら、多くの人々に歌で勇気を与え続けた歌手・福来スズ子の最後のステージ。照明が落ち、静まる客席。その中で、羽鳥善一のピアノ伴奏が静かにはじまる。(NHKオンデマンドの解説より)

感想

15分で何曲聞けるだろう、ステージ以外のドラマも多少はあるだろうから、3曲がいいところかな、「ラッパと娘」「東京ブギウギ」と「買い物ブギ」? とか想像していたのだが、歌ったのは「東京ブギウギ」のみ。前半がスローバラッドでピアノの弾き語りという新しいアレンジで、かつ、口パクではなくライブの歌で、これ自体はとても良かったけど。

最初の家族団らんのシーンも長かったし、ステージでのスズ子の挨拶も長かった。みんなは(私は)スズ子の歌が聴きたいのであって演説が聴きたいわけではないのだ。

まあ、前作のように最終週があれだけ盛り上がると、気持ちの切り替えが大変だが、今週はのんびりした展開で、緩やかに着地したから、来週から新しいドラマが始まることにさほどの違和感はない。これはこれでいいのかも知れない。



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「ブギウギ」(125)

第26週「世紀のうた 心のうた」(木)

放送日

  • 2024年3月28日

概要

引退会見後もスズ子は、羽鳥善一と相変わらず話ができないままでいた。そんなスズ子に対し、茨田りつ子はきちんと羽鳥と話をすべきだと伝える。一方、麻里も善一にスズ子と話をすべきだと伝える。やがて、スズ子が羽鳥の家を訪ねようと家の玄関を出ると、そこには訪ねてきた羽鳥の姿があった。これまで苦楽をともにし、数々の名曲を生み出してきた二人が心の底から思いを語り合う。(NHKオンデマンドの解説より)

感想

スズ子と羽鳥が腹を割り、お互いに相手に感謝の気持ちを伝える。スズ子は、先生とワテは人形と人形師のようなものでした、ワテは先生の一番の人形でいたかった、と言う。オープニングロールの人形の意味だ。あの奇妙な人形の踊りは、花田鈴子が夢見たものだったというわけだ。

それにしても草彅の演技は神懸かっていた。スズ子を完全に食っていた。……ふたり主人公と思えば、おかしいことはないが。

今日の話もよかったが、少々くどい。同じような意味の言葉を重ねて時間を伸ばしている感じ。半分の尺で十分表現できただろう。最終週だから、ゆっくりとひとつひとつを畳んでいるということだろうか。畳み切れなくなって駆け足で終わらせるよりはいいのかも知れない。

羽鳥は、会見で終わらせちゃだめだ、最後にもう一回、お客さんを喜ばせよう、と提案し、スズ子はそれを飲む。つまり明日の最終回は、そのラストステージというわけだ。これまでの曲をみんな歌うのかな。

ラストが一回では、一部の人しか来られない。福来スズ子ほどの歌手だったら、ラストツアーと銘打って全国を巡るべきだろう……と思うが、まあツッコミはこの辺で。



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「ブギウギ」(124)

第26週「世紀のうた 心のうた」(水)

放送日

  • 2024年3月27日

概要

歌手・福来スズ子の引退会見の当日。スズ子は結局、羽鳥善一とは話ができないまま会見に臨むことになってしまった。スター歌手の突然の引退宣言は世間の注目を集め、会見場には多くの記者が集まっていた。その中には、これまでスズ子たちのゴシップ記事をたくさん書いてきた記者・鮫島の姿もある。スズ子は意を決して歌手引退についての思いを話し始める。(NHKオンデマンドの解説より)

感想

今日は

  • 記者会見で、鮫島は相変わらず嫌味な質問をぶつけるものの、最後は「寂しくなるな」などと呟き、拍手をする。
  • 雑誌に記事には、羽鳥先生への感謝の言葉が述べられており、それを羽鳥は無言で読む。
  • 自宅で、愛子、大野さん、タケシ、小田島親子に囲まれて「この大事な日に同席するのがあんたらとはなあ」「血はつながっていないけど家族や」と告げる。

の三本立てですかね。二本目は一瞬だったけど。

手も挙げず、指名もされないのに勝手に喋り出す鮫島も酷いが、他に質問はと言われて手を挙げない他の記者も、何しに来たの? という感じ。ドラマの尺の都合だというのはわかるものの、「仕事」をしたのは鮫島だけというお粗末さだった。

羽鳥は、無論スズ子と本気で絶縁したいわけじゃない。ただ歌手を辞めてほしくなかっただけ。そして、その記者会見で自分への謝辞を述べたらしい。それを知った羽鳥は何を思う?

愛子のほか、4人に囲まれた時は、今のスズ子にとってはこれが家族みたいなものだなあ、ツヤと梅吉は血はつながっていないけど家族だった、彼女はこうやって家族を作って来たんだなあと感じたけど、本人が「血はつながっていないけど家族や」とはっきり言ったのはちょっと興醒めだった。言わなくても伝わったのに。

あと二日でどう着地させるつもりなのか見当がつかないが、最終週はちょっと間延びしているように思われる。

ちょっと登場した秋山が、別に老けメイクをしているというわけでもないのに、もう若くないオバチャン感を醸し出していた。伊原六花、24歳。すげえ。



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「ブギウギ」(123)

第26週「世紀のうた 心のうた」(火)

放送日

  • 2024年3月26日

登場人物

  • 竹下健人(カツオ)

概要

歌手引退――。スズ子はその決断を、愛子や大野に伝えた。羽鳥善一に絶縁すると言われ、タケシが大反対し家から飛び出していっても、スズ子の決心は揺らぐことはなかった。スズ子は、同志でありライバルである茨田りつ子にもその思いを伝える……。一方で、羽鳥はスズ子の引退を思いとどまらせることができないかとりつ子に相談をする。(NHKオンデマンドの解説より)

感想

りつ子に引退する旨を伝えると、「残念ね」という答えが返って来てスズ子は驚く。「辞めるなら勝手に辞めれば?」とでも言われると思っていたのだ。りつ子は「あなたは同志だと思っていた、だからあなたの決断を尊重する」とも。最後の最後にツンデレのデレがきたりつ子様だった。

カツオは、スズ子さんがいろいろ考えて上で決めたのことなのに一方的な感情で騒いで申し訳ありませんでした、と謝罪し、スズ子さんの歌に救われた人は日本中にたくさんいるのだから、きちんと記者会見をすることを提案する。たー坊、大人になったなあ。歌手を辞めるとタケシも無職になるから真剣になっているのか? 歌手は辞めても女優業は続けると言っているから、マネジャーは続けるのか?

カツオが留学先から一時帰国したのを機に、スズ子も食事に呼ばれるが、絶縁すると言ってしまった手前、気まずくて顔を合わせられない羽鳥は、用事を作って外出。前の晩もスズ子への態度をめぐってカツオと大喧嘩したのだそうだ。カツオいわく、親父はスズ子さんを自分の持ち物か何かと勘違いしている、と。

その羽鳥はりつ子と会っていた。絶縁するって言っちゃったんでしょ、と言うりつ子に羽鳥は驚く。「あの子の口は綿よりも軽いのよ」と笑うりつ子に羽鳥は、とにかく絶縁は失言だった、だから何とか君から引退を撤回するよう言ってくれないか、と頼み込むも「無理」と断わられる。りつ子は言う。羽鳥先生は、あの子の曲を作っている時が一番楽しそうだった、羨ましかった、と。

今日の羽鳥先生は、昨日の威厳はどこへ行った、情けない顔をしていた。失言だったと思うなら、謝罪して撤回すればよさそうなものを、それはしないのだ。この両極端を草彅がうまく演じていた。本作は「福来スズ子物語」なのだが、同時にそれは「羽鳥善一物語」でもあって、終盤での草彅の演技は、時に趣里を食うほど印象的だ。

ところで小田島親子は住み込みなのかと思ったが、今朝は一緒に「出勤」してきた。一は愛子を誘って一緒に学校へ行くためだが。朝ごはんは食べて来た、と言ったから、ちゃんと家は別にあるのだ。父子二人の生活で食事の支度も大変だから、家でご飯を食べて行きなさい、というだけだったか。でも「オールスター男女歌合戦」をスズ子の家で見ていたけど……自宅にテレビがないからか……。



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「ブギウギ」(122)

第26週「世紀のうた 心のうた」(月)

放送日

  • 2024年3月25日

概要

オールスター男女歌合戦を全力で歌いきったスズ子の評判は最高のものとなった。水城アユミはスズ子の楽屋を訪れ、スズ子の歌に感激し、自身ももっと勉強しなければと思ったと伝える。年が明け、雑誌の紙面には「ブギの女王復活」の見出しが踊る。しかし、スズ子自身は、ある大きな決断をしようとしていた。スズ子は、その決断を胸に抱き、羽鳥善一のもとを訪ねる。(NHKオンデマンドの解説より)

スズ子は、もうやり切った、これで歌手を引退すると羽鳥に告げる。羽鳥は、引退するということは、これまでの曲がみな死んでしまうということだ、僕は引退なんて許さないと静かに語るが、帰宅後、スズ子は家族(愛子、大野、タケシ)を集めて、引退すると話した。

感想

とにかく草彅剛の演技が「見事」の一語に尽きる。以前、梅丸から日宝に移ると言った時はコミカルに大騒ぎをしたが、今回は静かにスズ子の話を聞き、黙して語らず、が、眉、口元の微妙な動きで自身の動揺を表現する……

羽鳥が引退に反対した真意はよくわからない。当時は「レコードを買って聴く」のはごく一部の人達だけで、地方公演を精力的に行なったり、テレビに出たりしなければ、一般の人が歌を聴く機会はなくなるということだろうか?

ところで、福来スズ子は依然としてプロダクションに所属せず、チーム福来(実態はタケシとの二人三脚)でやっているのかね……? この世界のことはよく知らないが、不自然な気はする。実際にはどうだったのだろう?



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「ブギウギ」(121)

第25週「ズキズキするわ」(金)

放送日

  • 2024年3月22日

概要

昭和31年(1956年)、大晦日。第7回オールスター男女歌合戦当日。スズ子は、楽しみに会場へと向かう。スズ子が楽屋で支度をしていると、股野と水城アユミが訪ねてくる……。そして、いよいよ本番。羽鳥善一はテレビの前で、愛子は客席で見守る。茨田りつ子も楽屋に応援に来た。水城アユミは「ラッパと娘」、福来スズ子は「ヘイヘイブギー」。新旧二人の歌合戦が始まる。(NHKオンデマンドの解説より)

感想

紅白歌合戦、ではなく、オールスター男女歌合戦の回。茨田りつ子の歌うシーンはなく、歌うのは水城アユミと福来スズ子のみ。

福来スズ子が歌を聴いてその実力に戦々恐々とした水城アユミの歌はどのようなものかと期待したが、水城アユミの歌う「ラッパと娘」は福来スズ子のエピゴーネンで、面白さは何も感じられなかった。懐メロ番組か物真似番組でこれを披露したら拍手喝采だろうが、この歌合戦でこの意味は……?

SNSでの評価では、水城アユミは福来スズ子に負けまいとした、福来スズ子はお客さんのために歌った(会場を盛り上げようとした)点で、視線の位置が全く違った……という意見が大勢のようだが、自分としては「ラッパと娘」の新解釈が聴けなかった時点で評価に値せずという感じだった。

それにしても、本作品を通じて「ラッパと娘」は何度も歌われ、そのたびに完成のレベルが高くなっていった。スズ子と、そして視聴者と一緒に成長した。だから水城アユミがこの歌を歌いたいと言い出した時、福来スズ子だけでなく視聴者も複雑な気分を感じたはずだ。

一方、「ヘイヘイブギー」は番組中では子守歌としてしか披露されなかった。だからどんな歌かよく知らない。たくさんの曲を完成させるのが大変なのはわかるけど、だんだんパワーが落ちてきているなあ、などと思っていたが、これらはずべて今日この日のための演出だったのか。こうした作り方ができるのが(長丁場の)朝ドラの魅力のひとつ。ゆめゆめ一部分だけを見てわかった気になり評価すべからず、だ。

で、初めてステージで聴いてみると、明るくポップな歌。自分の好みでいえば「東京ブギ」よりずっといい。もう一度くらい聴けないものか。



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「ブギウギ」(120)

第25週「ズキズキするわ」(木)

放送日

  • 2024年3月21日

概要

愛子は、翌日の体育の時間に足の速い転校生と競走することになっていた。しかし、勝てる見込みがなく、愛子は学校を休みたいと言いだす。スズ子は、自分も水城アユミとの新旧対決から逃げたかったが、今は逆に楽しみだと話す。そして、逃げるかどうかは愛子が自分で結論を出すようにと伝える。翌日、学校に行くかどうか迷う愛子を家に残し、スズ子は羽鳥善一のもとに向かう。(NHKオンデマンドの解説より)

感想

前回、

例えば「水城アユミに『ラッパと娘』を歌ってもらうことにしましたワ、あの子がどんな風に歌うのか、ワクワクします~」という風に言ってほしかったのか。

と書いたが、スズ子はまさにそのようなことを羽鳥に言って許可をお願いした。もちろん羽鳥はOKを出した。

大野さんが愛子に話をする時、自分のことを「大野さん」と呼ぶのが面白い。愛子にはそれがいいのかも知れない。

愛子は勝負したくないから学校を休む、と言っていたが、結局学校へ行き、競争をしたが、負けてしまった。悔しがって泣く。一は「誰も気にしてなかった」と言うが。

備考:1956年の紅白歌合戦

丸の内テレビジョンの会議室の黒板に、決定済みの歌手と曲がメモしてあるのを写してみた(読み取れない文字は「・・」で記した)。実際の紅白出場歌手との比較。

オールスター男女歌合戦 NHK紅白歌合戦
榎本敦郎「自転車行楽」 岡本敦郎「自転車旅行」
笠木正夫「福島炭坑節」 鈴木正夫「常磐炭坑節」
石英男「ラ・イ・ドン」 高英男「セ・シ・ボン」
ラックミネ「あのたの青空」 ディック・ミネ私の青空
樫山一郎「あゝ草原は緑」 藤山一郎「あゝ牧場は緑」
槙不二夫「旅客の雲」 真木不二夫「旅路の雨」
畑中照夫「愛とは素晴らしいもの」 旗照夫「恋とはすばらしいもの」
西山林太郎「白城の子守歌」 東海林太郎「赤城の子守唄」
原田次郎「秋風の吹きよで」 若原一郎「風の吹きよで」
遠江俊郎「思い出夕焼け」 近江俊郎「思い出月夜」
代坂一也「ハートブレイク・トリップ」 小坂一也「ハートブレイク・ホテル」
冬風八郎「別れの一本松」 春日八郎「別れの一本杉」
千田勝彦「白銀の山小屋で」 灰田勝彦「白銀の山小舎で」
三林満男「哀愁汽車」 三橋美智也「哀愁列車」
伊風・「夜明けの節・・」 ?「?」
波井恵子「北の花嫁さん」 荒井恵子「南の花嫁さん」
白坂・・「・・炭坑節」 赤坂小梅「三池炭鉱節」
ポギー森山「ク・ラセ・ラセ」 ペギー葉山「ケ・セラ・セラ」
茨田りつ子「バムル・バムタ」 淡谷のり子「ルムバ・タムバ」
惠里エミ「お転婆ララ」 江利チエミお転婆キキ」
噺唄勝三郎「島人お吉の唄」 小唄勝太郎「唐人お吉の唄」
林あき汀「夜」 ?「?」
献風吹雪「哀れなジン」 越路吹雪「哀れなジャン」
外原・・「ハルハル」 中原美紗緒「フル・フル」
エク・・・「娘艶歌師」 コロムビア・ローズ「娘艶歌師」
・・光枝「赤いランプの燈る場所」 奈良光江「白いランプの灯る道」
高木美榮子「花ちゃんはお嫁に」 鈴木三重子「愛ちゃんはお嫁に」
津梅子「東京ジェリー」 大津美子「東京アンナ」
水城アユミ「ラッパと娘」 該当なし
福来スズ子「ヘイ・ヘイ・ブギ」 笠置シズ子「ヘイ・ヘイ・ブギ」

なお「オールスター男女歌合戦」の司会者は男女一名ずつだったが、「紅白歌合戦」の司会者は紅組が宮田輝、白組が高橋圭三、総合司会が石井鐘三郎で、女性は起用されていない。



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「ブギウギ」(119)

第25週「ズキズキするわ」(水)

放送日

概要

水城アユミに「ラッパと娘」を歌わせてほしいと頼まれたスズ子は、困ってしまい結論を出せずにいた。記事にまでなってしまったため、スズ子は、羽鳥善一に相談に行く。しかし、羽鳥は、そんな大事なことを軽く言わないでほしいと、厳しい言葉を投げかける……。一方、愛子は、体育の時間のかけっこが楽しみで学校に行っていたが、ある日、落ち込んで帰ってくる。(NHKオンデマンドの解説より)

「君はどう思うんだい」と羽鳥に訊かれたスズ子が「先生が作った曲ですから……」と答えると、羽鳥は軽く言わないでほしいと言い、「じゃあ僕がいいよと言ったら、君はそれでいいのかい」と厳しい顔をする。水城アユミの歌は聴いただろう、もし彼女が「ラッパと娘」を君よりもうまく歌ったら、君はもう居場所がなくなるかも知れないよ、と。

そんな矢先に、ずっとクラスで駆けっこが一番だった愛子が、転校生の足が速くて二番になってしまうかも、と落ち込んでいた。

どうしていいか困ったスズ子は、茨田りつ子を呼び出して相談する。彼女は、「昔のあなただったら、水城アユミとの共演なんてわくわくするって言ったはずよ」と言われてハッとする……

今日の茨田りつ子とスズ子

「茨田さんにボロカス言われているうちに、ワテ、なんやワクワクした気分になってきてしまいましたワ」
「はあ? あなた、本当のおバカ?」
「はい。茨田さん、ありがとうございます。わざわざお呼びたてした甲斐がありましたわ。ほなワテ、行きます、すんまへん、ご馳走さまです」
「いや、あなたのおごりでしょ!?」

感想

盛りを過ぎ、人気にも陰りがみられ、それをスズ子は自覚する一方で、正面から受け止めるのを避けていた。今回の一件はそれを突き付けられたということか。羽鳥は、自分では決められず羽鳥に預けようとする態度にがっかりしたのか。例えば「水城アユミに『ラッパと娘』を歌ってもらうことにしましたワ、あの子がどんな風に歌うのか、ワクワクします~」という風に言ってほしかったのか。

愛子が駆けっこで二番になるかも知れないことを悔しがるのは、まあわかりやす過ぎる喩え話だが。

小田島が一緒に食事をしていたのは驚き。その上一くんまでも。住み込みでもないのに……と思ったが、まさか住み込みなのか?

タケシは確かに調子に乗り過ぎている。ただしタケシは「負けたくない」と強く思っている。だから嫌味も言うし、連絡を取り次がない等の(児戯に等しい)嫌がらせもする。その態度は褒められないが、「負けたくない」という気持ちは、スズ子にはないものだ。

それにしても茨田りつ子様はすごいねえ。たった一言相談しただけで、現在のスズ子をあれほど的確に見抜くなんて。



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「ブギウギ」(118)

第25週「ズキズキするわ」(火)

放送日

  • 2024年3月19日

概要

スズ子のもとに、誘拐未遂事件を犯した小田島が訪ねてくる。すっかり反省した小田島の話を聞いたスズ子は……。一方、年末の歌合戦では、スズ子は新旧対決に挑むことになった。しかも、対戦相手の若手の有望株・水城アユミは、大和礼子と股野義夫の娘だ。しばらくして、スズ子は股野と久しぶりに話をすることにする。そこで、スズ子は、水城アユミからあるお願いをされる。(NHKオンデマンドの解説より)

就職先がないが、なんとしてでも働き口を探す、という小田島を、スズ子は庭師として雇うことに。タケシは「あんな極悪人に」と反対するが、「この世は義理と人情や」と言い返す。

股野から「つもる話がしたい」と言われて会ったが、その時に、年末の「オールスター男女歌合戦」でアユミに「ラッパと娘」を歌わせてほしい、と頼まれる。そこへアユミ本人も合流し、お願いされる。スズ子は即答できず、羽鳥先生にも相談しないと、と言って言葉を濁す……

感想

一くんがまた登場したのは嬉しかった。あれだけで終わってほしくないと思っていたからだ。父親のしたことは恥ずべきことなのだけれど、そのことで一くんがひねずに育っているようで、それはよかった。スズ子と再会しても「こんにちは、おばちゃん」と言うだけで、謝罪もしないし、愛子に対してもお前呼ばわり。もちろん、愛子はそういう一がいいのだ。

アユミが「ラッパと娘」を歌いたいという。SNSでは「歌わせたくない」「歌ってほしくない」という意見が主流だ。「橋本環奈が薬師丸ひろ子に、ひろ子さんは『Xの悲劇』を歌いますよね、私に『セーラー服と機関銃』を歌わせてください! と言われたらどうぞとは言えんやろ」「石川さゆりに、今年は『津軽海峡・冬景色』ですよね、私は『天城越え』を歌います、と言われたら」……などの声もあるが、薬師丸ひろ子は紅白には滅多に出ないし、トリを取ったこともない。石川さゆりに「天城越え」を歌わせてくれと、誰が頼むのだ? 天童よしみか? それは新人じゃなかろう。初出場歌手がトリ前ということ自体が異例なのだ。

個人的には、ベテラン vs 新人の対決の構図とされるなら、自分の持ち歌を歌った時点で相手は屈したみたいなものなのだから、どうぞどうぞということではないかと思うが、そもそも何の歌を歌うのかは、歌手自身が勝手に決められるものではないだろう。水城アユミにも、ここまでのし上がって来る中での、代名詞的なヒット曲があるのだろうから、番組プロデューサー側はその歌を歌わせたいはず。レコード会社との契約もあるだろうし。まずスズ子が許可してくれたら、正式に動く、その前に筋を通しに来た、ということだろうか。

股野と待ち合わせたのは、町中の普通の喫茶店ぽい。スズ子が堂々とやって来たのは驚いた。おまけに「水城アユミ」の名前も大声で話す。スズ子がよく使う店で、いつもこんな感じなのかも知れないが、その場には水城アユミまでがやって来たわけで、そういう有名人同士が会う場合は、帝国ホテルのロビーを使うとか、もっと相応しい場所があったのではないか。気さくなのはスズ子のいいところだが、ちょっと無防備だ。案の定、鮫島に写真を撮られ、記事を書かれてしまう。

鮫島もイヤな奴だが、記事の内容自体は(現時点で公にしてよいことかどうかは別として)間違ってはいなかった。今日に限って言えば、一番イヤな奴はタケシだ。



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「ブギウギ」(117)

第25週「ズキズキするわ」(月)

放送日

  • 2024年3月18日

登場人物

  • 吉柳咲良(水城アユミ、歌手)
  • 遠山俊也(代々木勇、プロデューサー)
  • 中村倫也(沼袋勉)

概要

東京ブギウギのヒットから9年、ブギブームも下火になりつつある中、スズ子や羽鳥善一のブギは古いという記事が書かれてしまう。同時に、若手歌手の水城アユミが新たなスターとして台頭してきていた。そんな中、スズ子は丸の内テレビのプロデューサー・代々木から、年末の歌番組にトリで出てほしいとオファーを受ける。しかし、トリ前に水城アユミを持ってきてもいいかと聞かれる。(NHKオンデマンドの解説より)

感想

あと二週なのに新キャストが続々と。若手歌手・水城アユミは福来スズ子を脅かす存在に。実は彼女は大和礼子の忘れ形見であり、実父・股野義夫がマネジャーを務めていた。

柴本タケシは福来人気にあやかって、やたらにイキっている。なにせ若い上に担当したことのある歌手はスズ子だけだから、致し方ない面もあるが、代々木プロデューサーらに失礼な物言いをしてもスズ子が注意しないのはいただけない。

スズ子は終わり、のような記事が雑誌に載ったことに腹を立てたタケシは、羽鳥先生のお願いして新曲を出しましょう、と言い出すが、スズ子のプロデューズはそんなに場当たり的に決めているのだろうか。新曲はこのくらいのペースで、リサイタルは年に何回、場所はどこで、映画やテレビの出演は、そして新曲は誰に作ってもらう、等々、何ヵ月も前から計画を立て、人が動いているのではないかと思うが。レコード会社との契約もあるだろうし。

初期は羽鳥がプロデュースしているかのような描かれ方をしていたが、ここまで売れっ子になれば、所属プロダクションやコロンコロンレコードも含めて巨大なプロジェクトになるはず。そのあたりは描かれていないのでよくわからないけど。

タノケンは、一世を風靡したあとも、のんびりしていたらいつ居場所がなくなるかも知れないとガツガツしていたが、スズ子は鷹揚というか呑気というか。やりたいことはやり尽くしたし、お金も稼いだし、あとはなるようになれという心境だろうか。



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(08)「招かれざる者」

題名

  • 「光る君へ」第08話「招かれざる者」

放送日

  • 2024年2月25日

登場人物

概要

倫子たちの間では、打毬の話題で持ち切り。斉信らの心ないことばを聞いたまひろは心中穏やかでない。そんな中、宮中で兼家が倒れる。安倍晴明のお祓いが行なわれるが効果はなく、道長ら兄弟が看病にあたる。一方、為時を訪ねて道兼がまひろの家に突然現れる。母の仇と対峙することになったまひろだったが……。(公式サイトより)

6話の終わりで盗賊騒ぎが起き、警備に当たっていた道長が追いかけ、矢を射ると命中した(が、致命傷ではなく、逃げられた)という事件があった。

7話では、打毬の当日になって藤原行成が体調不良で参加できなくなった。道長は直秀を「最近見つかった弟」と説明して、行成の代わりにメンバーに加えた。運動神経もよく所作も身についている直秀の活躍もあってチームは勝利する。その後、着替えの際に、道長は直秀に矢傷があるのに気付く。

道長は直秀に、家中を案内しながら、その傷はどうしたのかと訊く。彼が盗賊の一人であることを薄々察し、牽制したつもりだったのだろう。が、その夜東三条を襲った盗賊を捕らえてみたら、うち一人は直秀だった……。

***

兼家は閣僚会議の場で義懐と対立。激高した兼家は倒れ、意識を失ってしまう。安倍晴明はよし子の霊が取り憑いているとし、その旨花山天皇に報告。

道兼が為時の仕事を手伝う。そして、父は眠っているがふと正気づくと私を殴ると愚痴を漏らす。驚く道兼に、父は兄と弟は可愛がるが自分は可愛がられたことがないと。ある日、道兼が為時の家を訪ねて来る。たまには呑み交わそうと。まひろはもてなしのしるしに琵琶を弾いて聞かせる。

花山天皇は当初、右大臣が大嫌いゆえ道兼のことも遠ざけていたが、道兼がDVの被害に遭っていることを為時から聞いて知り、それは面白いと言い出す……。

今日の直秀とまひろ

「都の外はどんなところ?」
「海がある」
「海? 見たことないわ」

今日の直秀とまひろ(続き)

「俺は鳥籠を出て、あの山を越えていく」
「山の向こうの、海があるところ……」
「一緒に行くか?」
「行っちゃおうかな」
「行かねえよな」

今日の道兼とまひろ

「琵琶は誰に倣ったのだ」
「母に習いました」
「母御はいかがされた」
「母は……七年前に身罷りました」
「それは、気の毒であったな。ご病気か」
「はい」

雑感

「招かれざる者」は、為時の家にやってきた道兼と、東三条に押し入った直秀の二人を指す。

兼家は意識を失うほどの重病なのに、道兼を痣が付くほど殴る元気があるのかと、当初は自分もすっかり騙された。また、安倍晴明がインチキ霊能者を使って兼家によし子の霊が取り憑いている演出をし、かつ、それを花山天皇に報告するのを見て、兼家を裏切ったのかと思った。が、兼家は恐らく仮病であり(少なくとも意識を失うほどではなく)、安倍晴明と結託して事態を演出。また、道兼には事情を話して協力するよう指示を出していたのだろう。

そう、為時がスパイを断わって来たから、代わりに道兼を天皇の許に送り込みたい、それで、兼家自身はさらに天皇から嫌われるように仕向けると同時に、道兼が兼家に疎まれていると思い込ませれば、側に置くだろうと考えたわけだ。そのために何も知らない為時を利用したのだ。人のいい為時の耳に入れれば、天皇まで届くだろうと。(そしてそれは、まんまとその通りになった。)

その一環で道兼が為時の家を訪問し、まひろと対峙することになってしまう。為時がハラハラしているのは、まひろが道兼を責めたてたり、琵琶で殴りかかったりしないかと心配していたのだろうと思ったが、あとから考えると、道兼がまひろを気に入ってしまい、夜伽の相手を所望したら、断われないから、それを心配していたのだろう。

道兼が兄や弟に比べて冷遇されてきたのは事実だし、まひろの琴の音を聞いて感激したのも事実のようだ。まひろにかけた優しい言葉は、彼の真実でもあるのだろう。道兼は本当は繊細で傷つきやすく、優しい人間なのだ。ただ、自分がかつて殺した女の身元を全く気にかけていなかったのも事実のようで、「母御はいかがされた」は演技ではなく、心から気遣っていたと思う。それはとどのつまり、虫けらのような身分の者のことなど、どうでもいいと思っているからにほかならないわけだが……

しかし、その事件の後始末をした兼家は、ちはやの身元を知っていただろうから、道兼に、為時に近づけとは、なんとも残酷な指令を出したものだ。

道長は、公任や斉信に対しては、出世第一、また女のことを遊び相手としか考えていないようなところが心底共鳴する気になれず、直秀に対しては、藤原家をからかう散楽を演じる不届き者ではあるが、案外楽しく付き合っているようだ。行成の代わりと言われて直秀を思いつくところもそうだし、「兄上」「兄上」と呼ばれてまんざらでもなさそうだった。

だから、直秀が盗賊の一味であることを半ば確信しつつも、自分の前に盗賊として現れない限りは事を荒立てるつもりはなかったのだろう。が、残念ながら、直秀はよりによって道長の屋敷に奪いに来たのだった。

まひろは直秀とも仲良くなっている。道長とこれ以上付き合ってはいけないことはわかっているから、直秀の「都を出て、外の世界へ行く」という言葉は、さぞ魅力的に感じられただろう。本当に行かれるわけがないけれど。

今日のtwitter


「ブギウギ」(116)

第24週「ものごっついええ子や」(金)

放送日

  • 2024年3月15日

概要

誘拐犯が捕まってから、愛子は三日間も学校を休んでいた。スズ子は、学校に行くようにと言うが、愛子は友だちになった一がいなければ学校には行きたくないという。大野は、そんな愛子を少しそっとしておくようにと言う。スズ子は、羽鳥善一と麻里に相談しに行く。麻里に背中を押されたスズ子は、続けて刑事の高橋を訪ね、あるお願いをする。(NHKオンデマンドの解説より)

高橋に頼んだ「お願い」とは一を家に連れてきてほしいというもので、それは高橋の計らいで実現した。

「あの日行かれなくてごめん……」
「もういいよ、4時まで待ってたんだけどな」

ようやくわだかまりの解けた愛子と一はしばしゲームなどに興じる。帰り際、「またきてね」「おじさん、また連れてきて」「それはできない。おじさんは今日だけだ。次は、お父さんと一緒に来るんだ」

感想

愛子は一に会えたし、そのため笑顔が戻り、一応の決着を見た。が、スッキリしない。

愛子は、一くんのいない学校には行きたくない、という。あの日、一との約束を破ったことで、一を傷つけたのではないかということ、そして一にもう会えないことを気にしているのだ。そんな愛子にスズ子はしゃあしゃあと「真面目に学校に通っとったら、お友だちなんてまたなんぼでもできる」と暴言を吐く。つまり、「一くんのことなんか、どうでもええやないか」と言っているのだ。

愛助が死んだ時、もし誰かに、死んでしまったもんはしょうがおまへん、男なんか世間にいくらでもいまっせ、次を探しましょ、と言われたらどうだろうか。「ワテの夫は愛助さんだけだす!」と思うのではないか。なぜ、一と友だちになりたかった、という愛子の気持ちに寄り添おうとしないのだろう。また、大野はなぜそれをはっきりと指摘しないのだろう。

一の正体は判明したのだから、二人を引き合わせる手立てはいくらでもある。会わせてやれよ、と思ったら、ようやくスズ子の願いで実現。ほっとした。が、スズ子が「一くんを思う愛子の気持ち」に気付いたのだとしたら、そこをもう少しはっきりさせてほしかった。

一は別れ際にスズ子に向かって、「おばちゃん、有名人の子というのは大変らしいぜ、それが理由でいじめられたりするし」と言った。はじめ、よくぞ言った! と喝采を叫んだが、スズ子にどこまで通じたか。

母親が原因でいじめられる ➡ それを言えば母が傷つくと思って愛子は黙って耐えていた ➡ そんな事情も知らず、学校に行きたがらないのはまるで愛子が悪いと言わんばかりの態度で、友だちを作るよう強要した

スズ子が愛子に謝罪して手打ちとなったが、これを理解してのことかどうかは、怪しい。率直に言えば、わかっていないだろうと思う。

スズ子さん、愛子はあんたの思っているよりはるかにええ子でっせ。



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「ブギウギ」(115)

第24週「ものごっついええ子や」(木)

放送日

  • 2024年3月14日

概要

誘拐の電話がかかってきた翌朝、スズ子は愛子に、学校を休むようにと言う。しかし、友だちと遊ぶ約束がある愛子はどうしても学校に行きたいと駄々をこねる。しばらくして、男から再び電話がかかってくる。今日の午後3時に、日帝劇場のロビーにマネージャーに3万円を持ってこさせろという。タケシは、高橋ら刑事が張り込む中、日帝劇場のロビーに向かう。(NHKオンデマンドの解説より)

感想

今日で決着をつけてほしかったが、今日も愛子とスズ子はすれ違ったままだった。

まず、スズ子らは愛子になぜか事態を隠す。愛子が狙われているから大野さんまでが「今日は外出しない方がいい」と判断しているのに、単に「怪しい人さらいのオッサンが界隈をウロウロしているから」というだけでは愛子が納得するはずがない。おまけに、せっかく友だちができかけた、今日待ち合わせをしたから、約束を守りたいと言っているのに、スズ子は聴く耳を持たず、「いつも学校へ行きたないと言うてるのに、今日に限って学校へ行きたがって、人を困らせてばかりいる」などと愚痴っている。それはないなと思う。愛子は学校へ行きたいというより一くんに会いたいわけだから、大人の誰かに付き添ってもらって約束の場所に行ってみる、くらいのことはできたのではないか。

友だちを作れー作れーとうるさく言っていた割には、いざ友だちができかけると約束はブッチさせられる、よう知らん人とはあまり仲良うせんようにな、などと釘を刺される。スズ子は自分が矛盾したことを言っているとわからないのだろうか。もう少し愛子の言うことに耳を、心を傾けてやることはできないものか。愛子の心が折れてしまわないか心配だ。

一くんは転校することになるようだ。一くんとはいい友だちになれたと思うけど、もう会えないのだろうか。



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「ブギウギ」(114)

第24週「ものごっついええ子や」(水)

放送日

  • 2024年3月13日

登場人物

  • 井上一輝(一、小学生)
  • 内藤剛志(高橋、刑事)

概要

大野が受けた電話は、3万円払わなければ、愛子を誘拐するという脅しの電話だった。そして、警察には伝えないようにと言われ、電話は切れる。スズ子はすぐに学校に電話をかけるが、愛子はすでに下校しているという。急いで近所を捜し回るも、愛子を見つけることはできない。大野は、反対するスズ子を押し切り、警察に電話をする。やがて、スズ子の家に刑事の高橋らがやって来る。(NHKオンデマンドの解説より)

感想

誘拐する、という脅迫電話がかかって来た日に帰宅がいつもより遅くなったら、親はさぞ心配するだろう。愛子も、自分が不在の間に何が起きたのかを知ったら、取り乱している親の姿を見て、少しは自分に対する愛情を感じたかも知れない。しかし(余計な心配をさせたくないからだろうが)スズ子は誘拐うんぬんの話は一切せず、ただ、怪しい人間が周囲をうろついている、としか言わない。

愛子は、一、という少年とようやく話をすることができた。母親の愚痴を言い、聞いてもらえた。明日もここへ来れば遊んでやる、と言われた。だから明日は絶対に行かなけれなならない。それなのにスズ子は「明日は一日家にいろ」と言う。「明日は絶対に学校へ行く!」と言い張る愛子に「いつもは学校へ行きたがらないくせに、マミーを困らせようとしているのか!」と怒鳴るスズ子。事情を知っている視聴者は、スズ子の言動はわからなくもないのだが、愛子の立場からしたら、普段から友達を作れ、友だちと遊べと言っているくせに、その友だちらしき人とおしゃべりをして少し遅くなっただけで怒り狂う母親は、理不尽の塊りにしか見えないだろう。

誘拐犯は、本気で誘拐する気はなく、誘拐すると脅して小金を巻き上げようとしているだけだろう。3万円なら、福来スズ子にとってはさしたる騒ぎにはならず、あっさり差し出すだろうと思っているようだ。スズ子にとっては金額より、愛子の安全を人質に取っていることが問題だ。

それにどうやら、この犯人は一の父親のようだ……



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「ブギウギ」(113)

第24週「ものごっついええ子や」(火)

放送日

  • 2024年3月12日

登場人物

  • このか(愛子)
  • 水澤紳吾(電話の男)

概要

昭和30年、新しい家に越してから5年。スズ子は、近所の人たちを招待し、愛子の8歳の誕生会を開く。しかし、愛子は誰とも話さず一人ぼっちでいる。スズ子はそんな友達のいない愛子のことを心配に思っていた。スズ子は子育てのことについて大野や麻里に相談する……。しかし、スズ子に友だちと遊ぶよう言われた愛子は、スズ子の言うことは聞かずに部屋にこもってしまう。(NHKオンデマンドの解説より)

感想

初めての子育てである上、相談・分担する相手(夫)もいないスズ子には同情の余地はあるが、それにしても今日のスズ子はツッコミどころ満載だった。

大野さんではなくたまには自分で愛子のための朝食を用意する、それはええけど、「さっ、それ食べたら元気よう学校行ってお友だちと遊んで来るんやで」なんて余計なことを言うから、食欲をなくしてしまう。

愛子のことを相談しようと羽鳥家を訪ねるのはいいけれど、愛子と遊ぶ約束をすっぽかしてしまう。どっちが大事なんや! 約束を一方的に破っておいて「愛子のため」などと言っても伝わるわけがない。

スズ子は大野さんやタケシ、羽鳥先生、麻里子ら次々に相談をするが、結局、背中を押してくれる人を探しているだけで、彼らの忠告に耳を貸す気がハナから内容に見える。子育ての経験のあるベテランの大野さんや麻里さんが、「自分の考えを押し付けず、焦らず、信じて見守ることが必要」といくら言っても、「それはワテのやり方やない」と言うのなら、初めから相談する必要はない。

愛子は単に内気で殻に籠ってしまう性分で友達ができない、というのではなく、軽いいじめに遭っている様子。しかもその要因は「有名人の子」「大阪弁を使う」といったもので、これを母に話したら母を傷つけると思って、黙って家で過ごしているのだ。これ以上スズ子がうるさくすると、家でも居場所を失ってしまう。せめて暖かく包んであげてほしい。

ところで、愛子を誘拐したと言う人物から電話がかかってくるが、誘拐する前に脅迫状が届いたり(愛子が親に見せず捨てた)、「福来スズ子」ではなく「花田鈴子」と呼んだりしている。真相はいったい……?



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