窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「アシガール」第2回「若君めざして一直線!」

出演

概要

天野信茂と千原元次が駆け比べをすることを聞いた唯は、天野信茂に取り入り、勝ったら配下に加えてもらうことを条件に選手(?)の座を勝ち取る。が、千原の側の選手・悪丸は長身の黒人。唯は(視聴者も)驚くが、フォームも呼吸法もなっておらず、唯が楽勝で勝つ。

喜ぶ天野陣営だが、信茂は褒美として上質のわらを与えるだけで、雇うという約束は反故に。また唯に負けたかどで悪丸も首になった。行く当てのない唯と悪丸は、仕方なく吉乃の元へ、吉乃は、「それはいつでもいらっしゃいとは言ったけどさ……」と呆れつつも、とにかく二人を受け入れる。

が、朝から晩まで働いて口にできるものはわずかな粟のかゆだけ、という生活は、唯にとってはつらいものだった。そんな矢先に羽木成之と再会。城へ連れて行ってほしいと頼み込むが、成之は、自分は忠清の兄とはいえ側室の子なので跡継ぎではない、よってそんな権限はないと断わる。忠清は近く嫁を娶って城主となるだろう、という話をする。それを聞いた唯は居ても立ってもいられず、再びお城へ向かうが、……その時再びタイムマシンが作用し、現代へ戻る。

唯には苛酷な一ヵ月の時間旅行だったが、平成の世では3分が過ぎただけ。食事をしてシャワーを浴び、やはり現代っていいわぁと思う唯だったが、木村先生から、唯がいた時代から約半年後、戦で羽木家は全滅する、忠清も死ぬ、と教えられた唯は、再び戦国の世へ行って若君をお守りしよう、と決意するのだった。

雑感

なぜこんなところに黒人がと思うが、同時代、織田家には弥助がいたわけだから、案外あちこちにいたのかも知れない(白人はいなかっただろう。黒人の場合は奴隷として連れて来られ、献上または売買された可能性がある)。

第一話より第二話になってぐっと面白くなった。

配役

川栄李奈は今回は顔見世だけ、本格的な登場は次回以降であろう。映画「嘘を愛する女」で知り、「夕凪の街 桜の国2018」「いだてん」で芸達者なところを見せてくれた。本作の出演はそれより早い。どう演じるか期待する一方、当時22歳はちょっと年が行き過ぎているのでは、とも思う。


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(2020/5/6 記)

「麒麟がくる」第十四回「聖徳寺の会見」

出演

あらすじ

聖徳寺での会見。信長はさんざん待たせて利政を焦らせると、「わしが親父殿に殺されはしないかと帰蝶が心配している」とのっけからぶちかまし、「帰蝶から、この服は親父殿が好きな色だからと言われて着た」「あの軍勢も帰蝶の手配によるもの」などと、帰蝶を立てているのか自分をへりくだっているのかのろけているのかよくわからないセリフを連発し、利政を戸惑わせる。さらに、信秀恩顧の家臣は連れて来ず、控えは佐々成政前田利家の二名のみ。この二人は家督も継げない立場だが、だからこそ戦場ではよく働くと言い、世の中は変わっていくと告げる。利政は、信長はただ者ではないと驚き、感心する。

戦にならず、無事に会見を終えたことでほっとした十兵衛は、帰宅し、その様子を母や妻に話す。よほど安心したのか、いつになく饒舌な十兵衛。が、帰蝶は十兵衛を好きだったから、離縁されて戻ってきたらいろいろと大変だと、母や妻から聞かされ、目を白黒。

東庵は駿河に行くが、100貫くれるはずの家は、病気だった子が治ってしまったとのことでお金をもらえず。今日も駒は怒っていた。代わりに太原雪斎を診察に訪ねる。雪斎は、待遇は保証するから駿河にとどまり、自分をあと二年生き永らえさせてくれと頼む。二年あれば織田を滅ぼせる。信長はやっかいな相手だ、それを滅ぼすのが自分の役目なのだと。

今川は水野のいる緒川城の攻略のため、村木砦を築く。これに対応して信長は兵を出すが、那古野城の留守を利政に依頼。利政はすぐに援軍を送ることにしたが、それを聞きつけた高政や稲葉良通が反対。信長をすっかり気に入った利政は、見捨てることはできないと強引に援軍を出すが、高政らはこれ以上利政に好き勝手にしておけないと、利政の排斥を決意。

1554年1月、村木砦の戦いが勃発。織田方も痛手を負うが、鉄砲隊を効果的に使い、とにもかくにも今川軍を敗走させることに成功。

酒に溺れた深芳野が長良川のほとりで水死。母を孤独死に追いやったと利政を責め、せめて家督を自分に継がせるとその魂に誓えと迫る。

今日の斎藤利政&織田信長

信長「今日のわしは、帰蝶の手の上で踊る尾張一のたわけでございます」
信長「これからは戦も世の中もどんどん変わりましょう。我らも変わらねば」
利政「信長殿はたわけじゃ。見事なたわけじゃ」
信長「それは褒め言葉でござりますか?」
利政「褒め言葉かどうか、帰って誰ぞにお聞きなされ」

今日の煕子&十兵衛(+牧)

牧「戦になれば、帰蝶様も離縁されてお帰りになるであろうし」
煕子「おつらい立場ですから」
牧「そうしたらまたこの館へもお出でになるであろうし、そしたら大変なことになりますからね」
十兵衛「なにが大変ですか」
煕子「帰蝶様は十兵衛さまのことがお好きですからね」
十兵衛「ぶほっ」
煕子「昔から妻木でも母がよく申しておりました。帰蝶様がいつも明智荘へお出でになるのは、十兵衛さまに会いたいからだと」
牧「まあ~~~♪」

雑感

  • 会見の前に農家の陰から信長を観察する利政に、信長は気づいていた? 利政の方を見てニヤリと笑った。この会見のシーンはドラマチックなので制作陣は腕の見せ所であろうが、1973年の「国盗り物語」(斎藤道三平幹二朗が、織田信長高橋英樹が演じた)でもいまだに記憶に残る印象的な場面だった。この時も「道三が覗いていたことに信長は気づいていた」説を取っていた。
  • 佐々成政前田利家、セリフは一言ずつだけだったが、この二人がセットで登場したことが妙に嬉しかった。著名な武将であり、いろいろなドラマにも出てくるが、今の自分は「信長協奏曲」での印象が非常に強いので。
  • 利政が信長に「帰って帰蝶に聞け」と言ったのは、キミは殺さないよ、無事に尾張に帰すから心配すんな、という意味か。
  • 帰蝶が十兵衛会いたさに明智荘を頻繁に訪れていたことは、荘内だけでなく妻木までも知れわたっていた。それで十兵衛だけがわかっていなかったのか。
  • 世の中は変わる、自分たちも変わらなければ、という言葉、いつの時代でも通用するともいえるが、今まさに(新コロナウイルスによって)世の中が急激に変わろうとしており、新しい時代への対応が求められる、絶妙のタイミングですごいセリフを言ったものだ。脚本を書いた時、いや収録をしている時は想像もしなかっただろうに。いいドラマというのはこういうことが起こり得るのだ。
  • 村木砦の戦いで信長は初めて鉄砲を戦に使ったと番組では言っていた。21年後の長篠の戦いに到るまでには、相応の積み重ねがあるのだ。それにしても、「桶狭間の戦い」以前をここまでていねいに描いてくれた大河は本作が初めてではないだろうか?

登場人物の満年齢(1554年)

氏名 誕生日後の満年齢 役者の年齢
明智十兵衛 26 42
煕子 24 32
織田信長 20 27
佐々成政 18 28
前田利家 15 26
斎藤利政 60 54
斎藤高政 27 44
藤吉郎 17 52


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(2020/5/6 記)

「アシガール」第1回「見参!戦国女子高生」

原作

出演

制作

概要

速川唯は足が速いことだけが取り柄の女子高生。ある時、弟が発明したタイムマシンを(それと知らずに)いじっていて、1559年に飛ばされてしまう。唯之助と偽って負け戦の兵が命からがら引き上げる中に紛れ込み、若殿(忠清)の姿を見て一目惚れ。唯之助の母は黙って家に連れて帰り、食事と一夜の宿を提供する。若殿が忘れられない唯は、翌日、若殿に会いに城へ行くが……

雑感

森本梢子は言わずと知れたヒットメーカーで、「わたしがママよ」「研修医ななこ」「ごくせん」「デカワンコ」と単行本はすべて揃えているが、すべて傑作である。しかるに、本作は単行本を一冊だけ買って二巻以降の購入を迷っている。

放映当時はとても話題になった。再放送をやっていることに気付いたので見てみたが、なかなか微妙。軽い気持ちで見ていればいいのかも知れないが。

本編前とあとに赤ペン瀧川によるミニコーナーが放送されるが、これはいらない。特に本編前のダイジェストはいらない。

配役

  • 忠清役の役者が健太郎とクレジットされていて驚いたが、このドラマのあとで伊藤健太郎に名前を変えたらしい。「コーヒーが冷めないうちに」の出演が印象に残るが、してみると映画はこのドラマのあとか。
  • 黒島結菜は昨年の大河ドラマ「いだてん」に出演し、短いながら印象的だった。まあ彼女が主役だから見る気になったのだが。ボーイッシュだが可愛い、という役どころにピッタリ。ただし出演時は20歳。本人は既に高校生ではなかった。


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(2020/5/5 記)

「麒麟がくる」第十三回「帰蝶のはかりごと」

出演

あらすじ

利政が頼芸と戦だと言ったことに困り果てた十兵衛は、戦をしないように利政に訴える。このままでは国を二分する戦いになる、どっちが勝っても負けても恨みが残り、美濃はひとつにまとまらないと。利政は、戦をする気はない、ただし頼芸様には美濃を出て行っていただく、穏やかに、と告げる。

鷹狩りに出かけようとした頼芸は、鷹が皆殺しにされているのに気づく。利政がやったのだ。可愛がっていた鷹が殺されたショックと、誰にも知られず鷹が殺されたということは、自分の寝首もいつ掻かれるかわからない、という恐怖で動転、近江の六角氏を頼って落ち延びる。

頼芸が追い払われたことを知った高政は、利政のところへ「私は父親を失った」と怒鳴り込む。利政は、お前の父親は自分だと言うが、高政は、自分は土岐家の血を引くものだと言い張り、傍にいた深芳野は真っ青になる。

東庵と駒が駿河へ向かう途中、藤吉郎と出会う。藤吉郎は本を読もうとするが、字をよく知らないので読むのに苦労し、駒に教えを乞う。字は読めないが、駒が読んで聞かせるとたちどころにその意味を理解する。織田の内乱の様子をよく知っており、これからは今川様だ、自分は今川様に仕えて出世するのだという。

なお、東庵は信秀に会いに行ったら40貫もらえる約束になっていたようだが、行ったら信秀が死んでいたため、5貫しかもらわず、約束が違うと駒が文句を言っていた。東庵は、駿河の客は100貫くれるというから35貫もらいそこねたくらい気にするなとなだめる。

織田彦五郎(清州の守護代)が信長に敵対し、兵をあげた。平手政秀が鎮圧に向かうが押さえきれず、責任を取って切腹。そんな矢先に利政が信長に会見を申し込んでくる。信長は、のこのこ会いに行って殺されてはたまらないから、断わろうとするが、帰蝶は、断われば臆したとみられるだけだと、会うことを強く薦める。そして自ら伊呂波太夫を訪ね、屈強な兵と鉄砲を揃えさせる。

利政は、会見の場である聖徳寺へ赴く前に信長を観察し、詰まらない人物だったら会見の場で亡き者にすることを考え、信長を見極めようとする……

今日の斎藤利政&明智十兵衛

利政「我が子、高政はどっちにつく。土岐か? みなそれほどわしが嫌いか? 正直に申せ」
十兵衛「どちらかと申せば嫌いでございます」

今日の斎藤利政&高政

利政「言葉は刃物ぞ。気を付けて使え」

今日の信長&帰蝶

帰蝶「断われば臆したと見られ、和睦の儀は消えうせまするぞ。私は美濃へ戻らねばなりませぬが、よろしゅうございますか」

再び斎藤利政&明智十兵衛

利政「大事な娘の婿殿に、誰がさような悪さをするものか」(いや、あんたしたやろ……)

雑感

印象に残るシーンが目白押し。中でも白眉は帰蝶が伊呂波太夫に頼みごとをするシーンだ。屈強な兵を、急ぎで、かつ鉄砲隊もとなると無理だとあしらう伊呂波太夫に、砂金(?)の入った袋をどすんどすんと4つほど投げ出し、「手付じゃ」と宣うのである。この尊大な態度は、恐らく帰蝶沢尻エリカが演じることを前提に当て書きしたものではないか。演出を変えることもできたと思うが、川口春奈のような若くて可愛い女性が敢えてこのような態度を取ることで、沢尻エリカでは恐らく出せない凄みが出たと思う。突然の役回りで苦労したと思うが、そのために川口春奈の新たな魅力が引き出された。

その他……

  • 桶狭間の時、これまで動かなかった今川が満を持して尾張に攻め込んできたわけではなく、ずっと小競り合いを繰り返してきたのだ。今川が有利ではあったが、圧勝というわけでもなかった。桶狭間の時点での信長は、尾張を統一して信秀よりも力を持ったはずだが、なぜ今川と圧倒的な戦力差があったのだろうか?
  • 高政が利政に対し、自分の父は土岐だと言えば、深芳野は半狂乱となるだろう。自分が不義をしたと言われるに等しいわけだから。第八回「同盟のゆくえ」で「そう思いたければ勝手にしろ」と突き放した深芳野だが、まさか利政に面と向かってそんなことを口にするとは思ってもみなかっただろう。なんとしても否定しておくべきだった。

配役

  • 佐々木蔵之介の藤吉郎はおかしいなあ。「一旗揚げる」と言われても違和感しかない。いずれ佐々木が演じるとしても、ここは竹千代のように子役を充てるべきではなかったか。いや、そもそも十兵衛よりずっと若いのだから、ハセヒロよりずっと年上の役者を使うのはおかしいなあ。
  • 本木雅弘伊藤英明があまり年齢差がないため、利政と高政は、口で何と言おうが、親子の葛藤に見えない。利政を基準に考えるなら、もっと若い役者を使うべきだった。もっとも、ハセヒロを基準にするなら、同世代の伊藤はいい選択。本木は間もなくいなくなるはずだから、よしとするしかないか。

登場人物の満年齢(1552年)

氏名 誕生日後の満年齢 役者の年齢
明智十兵衛 24 42
織田信長 18 27
帰蝶 17 25
斎藤利政 58 54
斎藤高政 25 44
土岐頼芸 50 54
藤吉郎 15 52


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(2020/5/4 記)

「麦子さんと」(BD)

ブルーレイ視聴。

雑感

以前劇場で見た時に、大作ではなく知名度は低いがとてもいい映画、と思ったことを覚えていて、また見たいと思って借りてきた。

しかし見ていると、麦子の兄、さらに民宿のドラ息子のクズっぷりにイライラさせられ、見るのを中断しようかと思ったほど。10万円の仕送りのエピソードはなくて良かったのではないか。

麦子さんと 特別版 [DVD]

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  • 発売日: 2014/09/03
  • メディア: DVD


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(2020/4/30 記)

「麒麟がくる」第十二回「十兵衛の嫁」

出演

あらすじ

京から戻って以来、元気の出ない十兵衛を案じ、光安は左馬助に十兵衛を誘って鷹狩りに行くよう提案する。それも妻木の方面が良いだろうと……。そう言われて察した左馬助がわざと十兵衛を置き去りにしたわけでもないのだろうが、ぼーっとしていて一人になってしまった十兵衛は煕子と再会。十兵衛は煕子に嫁に来ないかと(唐突に)誘う。

末盛城では信秀の病状がいよいよ悪化し、信長と信勝を呼び、信勝に末盛城を譲ると宣言。佐久間盛重をつけるという。信長にはこれまで通り那古野城をと。信長は、末盛城なら今川ににらみを利かせることができ、頑張り甲斐もあるが、那古野城で何を頑張れというのかと不満を口にする。信秀が、那古野城こそ織田家の本丸だと言うと、ではなぜ父上は那古野城を出て末盛城に移ったのかと言い返す。信秀は、お前に跡を継がせるつもりで那古野城を任せ、自分は出たのだと言うが、信長は納得しない。文句があるならここを立ち去れと言うと、本当に席を立ってしまう。

信長は帰蝶の元へ戻り、末盛城も、佐久間や柴田などお気に入りの重臣も、すべて信勝のものだ。これは母上の仕組んだことだ、父上は母上の言いなりなのだと泣く。帰蝶は一人信秀の元へ行き、本心を聞かせてくださいと頼む。信秀は容体が悪化し、ほとんど口を利けないが、かすかに「帰蝶、信長をよろしゅう頼む」とだけ伝える。

信長の許に戻った帰蝶は、お父上様の言葉だと言って次のように信長に伝える。「信長はわしの若い頃に瓜二つじゃ。まるで己を見ているようじゃと。よいところも悪いところも。それゆえかわいいと。そう伝えよと」「尾張をまかせる 強くなれと」それを聞いた信長にようやく笑顔が戻る。

利政は土岐頼芸から鷹を贈られる。見事な鷹だと喜ぶ利政に鷹が襲い掛かる。あわててかばった側近が、そのまま死んでしまう。鷹の爪に毒が塗ってあったのだ。頼芸が利政を殺そうとした! 「なにゆえわしが殺されなければならんのだ!」と怒り狂った利政は、美濃の国衆を集め、頼芸と戦だと宣言する。高政は十兵衛に、自分は頼芸様を守る、他の国衆も自分に付くと言っている、お前も味方せよと迫る。

信秀が東庵に会いたがっていることを聞いた帰蝶は駒の元へ手紙を出し、尾張へ呼び寄せる。ちょうど伊呂波太夫から、駿河に見てほしい患者がいるとの依頼があり、駒は美濃へ行きたい、そこで、尾張→美濃→駿河と出かけることに。尾張に着いて信秀にお目通りをするも、既に信秀はこと切れていた。

今日の明智光安&牧

「母親に申せぬことも、案外嫁には漏らすということもある」

雑感

タイトルが「十兵衛の嫁」だが、嫁を迎えるシーンは短い。結婚式など一瞬の回想シーンで済まされてしまった。帰蝶の嫁入りはていねいに描かれたのに……。今回のテーマは信秀の死であり、主人公は帰蝶である。帰蝶役が沢尻エリカから川口春奈に交代となり、撮り直しをしたため、放映開始が二週間遅れた、その遅れを取り戻すべく当初の予定から飛ばされた部分があるはずだが、ここがそのひとつなのかと勘繰っている。しかし今の十兵衛は何者でもないのだから(主人公補正で利政には重用されているが)この程度の扱いで十分だともいえる。

今回の帰蝶は、何かに目覚めたかのようだ。帰蝶が信秀に直に会いに行ったこと。単にお願いをするだけでなく、(会いたがっている)東庵を呼ぶなど条件を出し駆け引きを仕掛けていること、そして信長に相当に盛って伝えたこと。さすがは蝮の娘である。

なお、帰蝶の言葉を聞いて信長が笑顔を取り戻したのは、帰蝶の言葉を鵜呑みにし、父上は私を認めてくれていたのだ、とわかって嬉しかったから……というより、帰蝶が盛っていることには気づいていて、帰蝶がそれだけ自分のことを気にかけてくれている、帰蝶は自分の味方であるということがわかって嬉しかったのではないか。

利政が「なにゆえわしが殺されなければならん」と怒鳴るが、視聴者はみな、「そんなことちょっと考えればわかるでしょうが……」と突っ込みをいれただろう。

高政が十兵衛に、自分に味方するようにと言ってきた時も、視聴者はみな、「先週、そなたの言うことは何でも聞くなんて約束をするから……」と突っ込みをいれたに違いない。

末盛城と那古野城

末森城は現在の名古屋市千種区那古野城名古屋市中区。隣り合った区でそう距離は離れていない(Google mapによれば、徒歩だと1時間半くらい)。

登場人物の満年齢(1551年)

氏名 誕生日後の満年齢 役者の年齢
明智十兵衛 23 42
煕子 21 32
明智左馬助 15 26
織田信長 17 27
帰蝶 16 25
斎藤利政 57 54
斎藤高政 24 44


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(2020/4/29 記)

「麒麟がくる」第十一回「将軍の涙」

あらすじ

信広と竹千代の人質交換が行われる。竹千代を迎えた今川は、織田は野蛮人であり今川が清く正しく美しい武士であると教える。

明けて1950年、今川軍の侵攻に対して織田信秀は斎藤利政に援軍を要請する。利政はその気だが、斎藤高政は大反対。稲葉良通ら美濃の国衆も、今は田植え時で人手が集まらないと嘯き、協力する姿勢を見せない。仕方なく利政は、兵糧米は送るが援軍は出さないことにし、その使者を十兵衛に命じる。

尾張へ行き、援軍は出せない旨を平手政秀に伝えると、平手は怒って席を立つが、信長は「致し方ない」と受け入れる。戦況は、今は刈屋で水野が今川軍を食い止めている、今川に刈屋を渡す代わりに、戦はここで終わりにしたい。しかし誰に仲裁を頼めばよいのかと途方に暮れている。帰蝶は、十兵衛は将軍家の側近と顔見知りだから、その伝手をたどって将軍様にお願いしてはどうかと言う。

利政に相談すると、将軍に頼むには金がかかる、そんな金は出さない、お前の役目はこれまでだと言う。戸惑う十兵衛だが、このままでは帰蝶の命にも関わると案じ、高政に頼んで土岐頼芸に会わせてもらい、頼芸に将軍への手紙を書いてもらい、その手紙を持って三淵藤英に会いに行く……

雑感

今回は第六回「三好長慶襲撃計画」からつながる回。足利義輝は十兵衛に会うのは三度目だと、過去二回のことをよく覚えていた。義輝は父から何度も聞かされた話をする。戦のない世を作ることができたものは、麒麟を連れてくることができると。戦のない世を目指す気持ち、しかし力及ばず国が乱れていることに対する不甲斐なさ。そうした義輝の思いが伝わるいい回だった。向井理がよく合っている。

その他……

  • 前回、尾張行きを命じられた時に「命がいくつあっても足らぬ」と呟いた十兵衛だが、今回は本当に命懸けの使者であった。同盟を結んでおきながら援軍を断わるのだから。本来ならば手紙で済ませたいところだろう。
  • 信長は十兵衛の前で平気で帰蝶に膝枕をし、頬にさわるなど、仲のいいところを見せつける。帰蝶が十兵衛に思いを寄せていたことを薄々気付いていて、わざとそう振る舞ったのか? しかし十兵衛に頼みごとをした時の二人の顔はそっくりだった。だいぶ「仲良し」になっていることが窺える。
  • 十兵衛が高政に頼みごとをする時に、「以後そなたの言うことは何でも聞く」と言ってしまったのはいくらなんでも失言だった。

登場人物の満年齢(1550年)

氏名 誕生日後の満年齢 役者の年齢
明智十兵衛 22 42
織田信長 16 27
帰蝶 15 25
斎藤利政 56 54
斎藤高政 23 44
細川藤孝 16 43
足利義輝 14 38


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(2020/4/26 記)

「見えない目撃者」(BD)

ブルーレイ視聴。

過去記事

雑感

ブルーレイがリリースされたらぜひもう一度見たいと思っていた。ツタヤにはなく、ゲオにあったが貸し出し中で、ようやく見ることができた。

感想としては劇場で見た時と特に変わるものはないが、二度目なのにとにかく怖かった。畳みかけるスピード感がよかった。

配役

見えない目撃者 [DVD]

見えない目撃者 [DVD]

  • 発売日: 2020/02/05
  • メディア: DVD


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(2020/4/25 記)

「麒麟がくる」第十回「ひとりぼっちの若君」

出演

あらすじ

旅芸人が京にやってきた。見物に行った駒は準備中の一座の中に入り込み、ロープの上を歩いたり、宙返りをしたりする。座長の伊呂波太夫とは旧知の間柄のようだ。その太夫から、駒の命を救った侍は桔梗の紋の着物を着ていたと聞く。桔梗といえば明智家の紋ではないか。駒の命の恩人は明智の家の人だった……!

安城城が今川軍に攻められ、織田信広が捕らえられる。今川は織田家の人質・竹千代との交換を要求してくる。竹千代はのちの三河の城主。竹千代を手にするということは、三河を押さえたも同然ということ。信長は人質交換に反対するが、信秀は応じる構えを見せる。

この人質交換の行方は斎藤利政も強い関心を持っていた。断わるなら信秀には見込みがあるが、もし応じるようなら同盟破棄も考えなければならない。そこで尾張に行き様子を探るよう十兵衛に命じる。十兵衛は帰蝶のご機嫌伺いと称し、信長に拝謁。

信長は竹千代に人質交換の話をする。竹千代を渡したくないが、断われば兄は殺されるから、実は迷っているのだと。竹千代は答える。今川は敵だが、まだ顔も知らない。戦は敵を知るところから始まるという。自分は今川家に行っても構わないと……

今日の利政&十兵衛

尾張に行くよう命じられたあと)「鬼め! 命がいくつあっても足らぬわ!!」

雑感

岩田琉聖の回。今日の竹千代は、この子はいずれ天下を取るのではないか? と思わせるような、大器の片鱗を見せた。

信長は十兵衛を覚えていた。そのことに十兵衛は驚くが、第八回の追記で書いた通り、あれは覚えていても不思議はない。

釣りが好きなのですかと尋ねた十兵衛に対し、信長は「さほど好きではない」と答える。そして語る……母は、弟の信勝ばかりかわいがっている。が、ある時大きな魚を釣ってきたら褒めてくれた。そこで、魚を釣れば母が褒めてくれると思い、漁に精を出した。が、褒めてくれたのはその時だけだった、と。しかし、領民は褒めてくれる、切り身を分けてやると喜んで市に持って行く。みなの喜ぶ顔を見るのは楽しいと……

前回は父に褒めてほしいばかりに松平広忠の首を差し出したが、褒められるどころか怒られた。この釣りのエピソードもそう。この信長は、褒められたい、喜ばれたいだけなのだ。こんな思いをさせた信秀や土田御前にも腹が立つが、親でなくても、誰か身近な人間で、信長の気持ちを理解し、構ってくれる人はいなかったのだろうか、と不憫にも思う。しかし、これまではいなかったけどこれからは帰蝶がいる、ということか。十兵衛が驚くほど、帰蝶と信長は意気投合しているようだ。

帰蝶は十兵衛に、信長はまだ子供のようなところがあると言うが、信長はまだ15歳だからな……。そういう帰蝶も14歳……。ま当時の15歳(数えだと17歳)は現代と比べればはるかに大人であろうが。


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(2020/4/23 記)

「野性の証明」(BD)

ブルーレイ視聴。

過去記事

雑感

ちゃんと見るのは40年近くぶりだが、相変わらず面白かった。いとも簡単に人が死ぬ(殺される)が、長井頼子が死ぬシーンはやはり感動的。

中野良子が控えめだが実に色気がある。薬師丸ひろ子は可愛い。特殊工作隊の連中のアクションはすごい。しかし何と言っても三國連太郎の存在感が群を抜く。だからこそ悪ぶってはいても舘ひろしの「小ささ」が際立つ(舘ひろしが小さいわけではなく、そういう演技をしたということだろうが)。

味沢岳史と長井頼子の親子関係、味沢と越智朋子との友情とかすかな愛……という横糸に、東北一帯を覆うどす黒い陰謀という縦糸が絡まる。そして途中からは大場一族からも自衛隊からも命を狙われる命懸けの逃走劇。

それにしても特殊工作隊も大場一族も人を殺し過ぎだ。大場は、越智朋子や北林谷栄扮する老婆を殺す必要はなかった。前者は暴走族による暴行、後者は自殺に見せかけたとはいえ、見る人が見ればわかるし、それは、そこに自分らの弱みがありますよと告白しているようなもの。ほっとけばよかったと思う。

また特殊工作隊は作戦以外で一般人と関わることが硬く禁じられており、たとえ目の前で肉親が殺されても傍観していなければいけないそうだ。大量虐殺犯である長井頼子の父を味沢が手にかけたのは規約違反かも知れないが、長井頼子を救うために手を出しました、ということであれば、罪に問われることはなく、むしろ自衛隊の本文を果たしたということで表彰ものなのではないか。それをもみ消そうと警察署に圧力をかけるから、北野刑事のような人を生んでしまう。

頼子が殺されたあと……浜辺ではしゃぐ頼子が走馬灯のように映し出される。あれな反則だよ……可愛いよ頼子……

配役


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(2020/4/20 記)

「クロール ―凶暴領域―」(BD)

ブルーレイ視聴。

雑感

既に一度見ているのだが、それでも怖かった。最初に木が倒れる音が怖かった。とにかく、よくできていた。

劇場で見た時から、本当は劇場でまた見たいけど時間的に無理だから、BDがリリースされたら絶対に見ようと思っていたもの。期待通りである。

とにかく主人公以外の人が気前よく死ぬのがいい。人が死ぬのがいい、というのもおかしいけれど、パニック映画というものはそういうものだと思う。もっとも、主人公があれで死なないのもおかしいけれど。

10月30日の記事の修正

  • 「ヘイリー・ケラーは水泳の選手だが、予選タイムがイマイチで選手選考に漏れた」選考に漏れたわけではなかった。ただ成績が伸び悩んでおり、成績が悪ければ奨学金が打ち切られてしまうと悩んではいた。
  • 「このアリゲーターは近くの動物園か植物園で飼われていたものが、……なんでこんなに何匹もいるのだ!?」ワニ園。ハリケーンとワニはフロリダでは有名で、ワニはフロリダ全体で何万匹もいるのだそうだ。だから何かの自然災害に見舞われると、これらのワニが凶暴化して人間を襲ってくるかも知れないわけで……と考えると、よりいっそう恐ろしくなる、というわけ。


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(2020/4/19 記)

「麒麟がくる」第九回「信長の失敗」

出演

あらすじ

1549年、帰蝶が信長に嫁ぐ。が婚礼のはずが帰蝶は一晩すっぽかされる。翌朝やっと戻ってきた信長に「よほど大事なご用があったのですね」と嫌味を言うが、化け物が出たと村人が怯えるので見に行っていたと詫びられた帰蝶は、村人のために尽くす姿勢と、ユーモラスな語り口に興味を持つ。

松平広忠今川義元尾張侵攻を命じられる。が、三河へ戻る途中で何者かに襲われて死ぬ。

信長は帰蝶を連れて末森城へ行く。信秀と土田御前に嫁を紹介するためだ。その時手土産にと松平広忠の首を差し出す。松平広忠を襲ったのは信長の一行だった。信秀は怒り、叱りつける。広忠を殺すことは即、今川に弓を引くこと、そうすれば今川は尾張を攻めて来る。今、今川と戦って勝てるのかと。信長は、父に褒めてもらえると思ってやったのに……と悔しがる。

光安は牧と碁を打ちながら、十兵衛にそろそろ身を固めさせたいと話す。光安は妻木に年頃の娘がいるので、それがよいのではと、十兵衛に妻木家へ米を届けるように命じる。十兵衛は妻木家で煕子に出会う……

今日の信長&帰蝶

帰蝶「信長さまは、お父上がお嫌いですか」
信長「いや。帰蝶は、親父殿が好きか?」
帰蝶「はい、時々大っっっ嫌いになる時以外は」
信長「わしも同じじゃ」
帰蝶「同じ?」
信長「時々大っ嫌いになる」
帰蝶「同じでございますね」

雑感

信長、実質的な初登場。彼の行動原理は、父を喜ばせたい、褒めてもらいたい、それだけなのだが、ピントが外れている。なるほど新しい信長像だ。信長の心情を考えると切ない。誰かもう少し、彼に寄り添ってあげる人はいなかったのだろうか……

帰蝶は、初めて信長の顔を見た時は、腹立ちや、恐れや、気味の悪さなどの入り混じった表情を見せるが、だんだん信長の話に惹かれていき、顔をほころばせる。信長が父に叱られて気落ちして帰って来た時の慰め方は新妻らしい気の利かせ方で、ともに父親に対して複雑な感情を抱いていることを知り、気持ちが通じ合いかける。この一連の気持ちの変化を体現した川口春奈の演技は見事。ほんと、帰蝶川口春奈で良かったよ……

しかし、鉄砲の話からつい十兵衛について話をした時、そこに込められた気持ちに気付いた信長が急に不機嫌になるところも興味深い。

ところで、婚礼をすっぽかした信長も信長だが、帰蝶に食事も出さず、誰も話し相手にもならず、寝室の用意もしないまま朝までほったらかしにした織田家の家中の人もたいがいだ。帰蝶は着替えることも足を崩すこともままならないまま、飲まず食わず眠らずで朝を迎えたのだ。なんのテストだよ!

で、信長は本当は広忠を討ちに行ったので、絶好の機会を逃すわけにはいかないから婚礼をすっぽかさざるを得なかったので、化け物退治の話は作り話だということでいいのかな。

竹千代が金魚を眺めている。当時の金魚はたいへん高価で、金魚を飼っているいるというのは金持ちの象徴なのだとか(NHKのサイトより)。こんなところへ連れて来られて、家族とも会えず、今の自分と一緒だとつぶやく竹千代あわれ。

菊丸はただの農民ではなく、三河(水野配下?)の諜報員だった。

牧は碁が強い。少なくとも光安など問題にしない程度には。光安が弱過ぎるのか?

十兵衛は妻木の家でさんざん飲まされて帰宅。飲んで(酔って)帰ってくるのは大変だ。よく帰って来れたものだ。なおGoogle mapで調べてみると、妻木から明智荘までざっと歩いて4時間ほどの距離。今ほど道が整備されていなかったことを考えると、これ、飲んでなくてもその日のうちに帰ってくるのは無理ではないか? 妻木はなぜ「泊っていけ」と言わなかったのだろう?

配役

  • 於大の方は竹千代が会いたがっていた母。水野信元ともども、この後、出番はあるだろうか?
  • 浅利陽介はやっと小早川秀秋以外の役をつかんだのに、前回の最期に登場して今回の冒頭で死ぬ。短い一生だった。
  • 濱津隆之は、「カメラを止めるな!」の役者が大河に登場と少し話題になったが、今回限りだろう。

登場人物の満年齢(1549年)

氏名 満年齢 役者の年齢
明智十兵衛 21 42
織田信長 15 27
織田信勝 9 31
竹千代 6 9
松平広忠 23 32
煕子 19 32
帰蝶 14 25


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(2020/4/19 記)

*1:現在の刈谷は当時は「刈屋」と表した。1950年以降「刈谷」と表記されることとなった。

「アリバイ崩し承ります」最終回「多すぎる証人のアリバイ」

出演(ゲスト)

  • 德光和夫(渡海一成、雄馬の父)
  • 西田尚美(藤枝ミホ、渡海一成の秘書)

概要

名越徹の焼死死体が発見された。名越は国会議員秘書であり、その議員とは渡海一成、つまり雄馬の父だった。捜査一課の面々は張り切るが、そこへ藤枝ミホから「犯人は渡海先生なのではないか」との情報が寄せられる。渡海先生は、これまでずっと地盤は息子の雄馬に譲るつもりでいたが、最近になって急に名越に譲ると言い出した。それは、何か名越に弱みを握られたからなのではないかと。

死亡推定時刻は渡海一成はパーティーの真っ最中。300人の来場者がいた。ただしその中に一人だけ後援会のメンバーでない人がおり、訪ねてみるとその人も殺されていた。名越殺しに関して何か事情を知っていて、口封じのために殺されたのだろうと思われる。連続殺人事件に動揺の色を隠せない……

雑感(ネタバレあり)

アリバイ崩しというのは、様々な状況証拠から、犯人はこの人しかあり得ないと思われるのに、その人に鉄壁のアリバイが存在する場合にはじめて「アリバイにトリックがあるのでは?」と考えるものだ。たいした根拠もなく犯人を決めつけ、しかもちゃんとアリバイがあるのに「このアリバイを崩さなくては」などと言い出すのは滑稽である。時乃が「私は渡海先生が犯人だとは思えないんですよねー」と不貞腐れるのは当然である。

ただし雄馬が「親父が犯人だとでも言うのか!?」と食って掛かるのも違うと思う。不愉快なのはわかるけど、犯人ではないと信じているなら、なおさら徹底的に調査をして、犯人でないことを証明すればいいだけのこと。少しでも怪しいと思った人は疑うのが刑事の仕事ではないか。このドラマでこういう突っ込みはしてはいけないのかも知れないが、せっかくのトリック崩しを際立たせるためにも、もう少し真面目に仕事をしてもらいたいと思った。

最終回だが、時乃に何か秘密があったとかいうこともなく、察時が検察庁に戻るということもなく、雄馬と時乃が婚約するということもなかった。村木キャサリンをはじめ、過去のゲストの誰かが再登場することもなかった。何の変化もない平板な最終回であった。

シーズン2があるなら見てみたい(SP版や劇場版はいらない)。


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(2020/3/16 記)

「星屑の町」

あののん(能年玲奈)が主役を務めるという。これを見ずして何を見るというのだ!

題名星屑の町
原作・脚本水谷龍二
監督杉山泰一
出演■山田修とハローナイツ&キティ/小宮孝泰(山田修、リーダー)、大平サブロー(天野真吾、ボーカル)、ラサール石井(市村敏樹、女好き)、有薗芳記(青木五郎)、渡辺哲(込山晃)、でんでん(西一夫)、戸田恵子(キティ岩城)
■その他/のん(久間部愛)、相築あきこ(久間部浩美、スナックのママ・愛の母)、柄本明(久間部六造、愛の祖父)、菅原大吉(山田英二、スナックの常連客)、小日向星一(山田啓太、英二の息子)、他
公式サイト映画『星屑の町』公式サイト 3月6日全国公開
制作日本(2020年3月6日公開)
時間102分
劇場丸の内TOEI(スクリーン2)

概要

山田修とハローナイツは鳴かず飛ばずの売れないコーラスグループだが、今さら転職もできず、ズブズブとこの家業を続けている。キティ岩城ととある東北の町に巡業で来た時のこと。

久間部愛は歌手になることを夢見て上京したものの、苦労を重ね、故郷に出戻ってきた。母がママを務めるスナックを手伝ったりしているが、歌手になる夢は諦められず、巡業にやってきたハローナイツに弟子入りする決意をする……

感想

細かい事情は知らないがとにかくいろいろあってずっと映画にもテレビにも出演できなかったのんが、今回は何がどうしたのか知らないけど映画に主演できることになった。こんな素晴らしいことがあるか。とにかくこれは見なければと時間を作って駆け付けた。

のん(能年玲奈)の過去の主演映画「ホットロード」と「海月姫」に比べれば格段の差である。前半の愛は「町のかわい子チャン」であり、後半、舞台に立った姿は芸能人ぽくなっており、なかなか見事だった。歌もうまいしギターも意外にうまくて驚いた。のんは歌手としてのステージ活動の経験もあるので、失礼な言い方かも知れないが。とにかく、のんの可愛さと演技力がちゃんと堪能できた。その意味ではいい作品だった。

コロナウイルスによる自粛と重なってしまい残念だが、その分上映期間は延びるようである。ぜひロングランを、そしてこれが呼び水になって一般娯楽映画に出演できますように。

その他雑感

  • 舞台が東北なのは偶然か? あまちゃんの「東北の田舎娘」のイメージを引っ張っているならあまりいいことではないと思う。
  • 25年も舞台で上映され続けた作品の映画化だそうだが、ハローナイツの面々の歌が率直に言って下手だ。だからパッとしないのだという設定なのかも知れないが、仮にもプロならもう少しそれらしいところを見せてほしかった。キティ岩城はちゃんと歌手だった。
  • ステージでは「恋の季節」「宗右衛門町ブルース」「新宿の女」など、ある年齢以上の人なら耳になじんでいる昭和歌謡が大部分で、オリジナルを何曲か、という構成だが、実際にドサまわりの歌手のステージはこういう選曲なのか? ヒット曲を1~2曲含めるならわかるが、これだったら素人のカラオケ大会と変わらないのではないか。
  • ラストの愛はハローナイツと決別して、階段を一段昇ったという設定なのだろうか。それでうまくいく保証はないが。しかしたとえ一時でもテレビに出て、スポットライトを浴びたのだから、よかったというべきだろう。

配役

映画「星屑の町」オリジナル・サウンドトラック

映画「星屑の町」オリジナル・サウンドトラック

  • 発売日: 2020/03/06
  • メディア: MP3 ダウンロード


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(2020/4/14 記)

「麒麟がくる」第八回「同盟のゆくえ」

出演

あらすじ

二回ほど見逃してしまったが、美濃は尾張との同盟のため、信秀の子に帰蝶を嫁がせることにし、恐らくはその偵察で十兵衛が尾張へ行ったところまでが前回か。冒頭で織田信長登場。野山を駆け巡る信長は珍しくないが、海から魚を持って登場するのは珍しい。その場で自らさばき、切り身を民人に安く分ける。

美濃には海がない。尾張には海があり、魚が取れるだけでなく、他国から舟で品物が運ばれてくる、尾張の名産を他国へ運ぶこともできる、こうしたことから尾張城下は非常に豊かで栄えていた。美濃はこの海を手に入れるべく、織田と小競り合いを続けてきたわけだが、織田との同盟が成れば血を流さずに尾張の海を手に入れることができる。それゆえ、織田との同盟はするべきだし、そのために帰蝶は信長の許へ嫁ぐべきだと十兵衛は考える。

帰蝶は実は十兵衛のことを慕っており、十兵衛のお嫁さんになりたい、という気持ちもずっと持っていた。が、その十兵衛から尾張へ行くべきだと聞かされ、信長の嫁になる決意をする。

駒が京へ発つ。

今日の帰蝶&十兵衛

帰蝶「十兵衛の口から聞きたい。行ってみるべしと」
十兵衛「行かれるがよろしいかと」
帰蝶「申したな。この帰蝶に」
十兵衛「尾張へ。お行きなされませ」
帰蝶「十兵衛が申すのじゃ。是非もなかろう」

雑感

帰蝶が十兵衛に恋心を抱いていたのはみんな知ってたけど(十兵衛だけは知らなかったと思うけど)、いくらいとこで幼なじみだとはいえ、領主の娘と家臣である。この思いが成就するはずがない。そんなことはわかり過ぎるほどわかっているのだろうが。十兵衛の口から尾張へ行くように言わせ、踏ん切りをつけるところは痛ましいがカッコよかった。帰蝶川口春奈でよかった。


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(2020/3/18 記)

追記(2020/4/14)

  • 既に第十三話まで見たところでオンデマンドで見返してみた。後日信長が十兵衛のことを覚えていて、さすが信長は一度見かけただけの人も全部覚えているのか……! と驚いたが、改めて見てみると、この時の十兵衛は怪し過ぎる。忍びの鉄則は気配を消すことだが、魚を売っている信長に近づいて魚を買わず、チラチラ様子を伺いながら物思いに耽っている。これなら信長ならずとも記憶に残って当然だ。
  • 信長が売っている切り身をみな手づかみで受け取っているが、そんな剥き身の切り身が市場で高く売れるものなのか?
  • 高政は母・深芳野に、自分は本当に利政の子なのか、本当は土岐頼芸の子ではないかと詰め寄る。深芳野はあきれて(恐らく)「そう思いたいなら思いなされ」と突き放す。が、ここでは絶対に否定すべきだった……
  • 駒、牧から明智の(桔梗の)紋の入った扇子をもらう。十兵衛は、それは父の形見の品だと教える。牧は駒によほど感謝しているようだ。
  • ところで、利政は海を手に入れたいがために織田と手を結ぼうとする。尾張に行き、港が栄えているのを目の当たりにした十兵衛は利政の言い分に納得する。一方頼芸は、織田は今川という強大な敵に対抗するために美濃と手を組もうとしているわけで、織田と同盟すれば今川との戦に巻き込まれる、だからすべきではないという。美濃と尾張が手を組んでも今川が本気で攻めてきたら勝ち目はないと考えるのは当然で、頼芸の言い分はもっともである。また高政は織田との同盟に反対という点では頼芸と同じだが、尾張の守護は斯波氏、美濃の守護は土岐氏であって、守護でも守護代でもない利政と信秀が手を組むなど心得違いも甚だしいという。家柄や身分というものがまだまだ重要視されていた時代だから、当時の常識としてはこのような考えもおかしいとは言えないが、既に下克上は始まっており、ちょっと時代遅れの感は否めない。
  • 稲葉良通をはじめ美濃の有力豪族が頼芸の元に集まっていて、高政はそのまとめ役といった感じだが、この人たちは「反利政」で集まっているのはミエミエ。反○○で集まった集団は、首尾よく○○を蹴落としたあとはバラバラになるのは常道。そこも高政は見えていない感じだ。
  • 今川義元松平広忠尾張侵攻を指示。
  • ラストは帰蝶の嫁入り。婚礼の儀のはずが、信長が行方不明。
  • 時間が経ってから見返すと、いろいろとのちの伏線がばら撒かれていて気が抜けない。