窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「アシガール」第8回「満月よ!もう少しだけ」

概要

忠清の窮地を救ったとして、唯はお馬番から警護役に取り立てられる。しかし、これで若君のそばにいつもいられる、と思いきや、剣術の訓練に明け暮れなければならないのだった。

ふきからは相変わらずしつこく文が届く。忠清はそれを見て「まじ、うぜぇ」と呟く(そんな言葉を覚えて来たんですね)。小平太から「人違いとはいえ、ふき殿を城へ呼んだのは殿なのですから……」と言われた忠清は、因果を含めて鐘ヶ江に帰るように言う。が、阿湖姫との婚姻はいよいよ具体的に。何とか先延ばしにしたい忠清だが……

吉乃が、いつまでも自分が天野家にいては唯が甘えてしまうから家に帰る、と言うと、天野信近が、小平太の母を亡くして自分は独り身、どうかこの家にとどまって自分の世話をしてくれないかと告白するが、やんわりと即答で断わられる。

また高山と戦になりそう。いつの間にか軍議に参列するようになった成之が、先鋒を買って出て、忠高から承諾される。が、うさん臭いものを感じた唯は後をつけ、高山の手の者と如古坊と成之が三人で、「先鋒が裏切れば羽木は総崩れだ」と密談しているのを聞きつける。が、聞いていることを成之に気付かれ、城へたどり着いたところで酒を飲まされ、ぐでんぐでんに酔っぱらう醜態を演じてしまう。

そのまま成之の部屋に連れ込まれるが、事態に気付いた忠清が唯を救出。そして唯に向って「お前はこの世界の人間ではない、お前の助けなどいらない」と言い、それを聞いた唯は、それが忠清の本心かと失望する。が、吉乃に背中を押されて忠清に会いに行き、気持ちを伝える。ちょうど翌日は満月。忠清は、「明日は二人で遠乗りをしよう」とデートに誘い、「もう一度だけ、女の格好してもらえないか」と頼む。

「お前のことは生涯忘れぬ」という忠清に、「やだ、まるでもう会えないみたい、3分後には戻ってきますから」と言い、平成に戻るが、尊から「もう二度と戦国には行かれない」と聞かされる……

雑感

全12回だからまだあと4回もあるわけだが、一体どういう展開になるのだろう。予告編を見ると、これが今生の別れとはならず、再会するようだが……(まあ、そうでなければドラマは終わりなのだが……)。

吉乃は、筋が一本通ったところのある、気骨ある女性だが、もとは武家の出身なのであった。ともさかりえは昔「友子の場合」の主演をしたことで名前を知ったが(原作漫画を好きだったため、映画は見ていない)、演じるのを見るのは実にこれが初めてだ。うまいなあと思う。

成之の密談を唯に聞かれたことに気付いた時、なぜ殺そうとしなかったのだろうか。足軽が一名くらい死んだとて、なんとでもなろうに。忠清暗殺未遂の真相も知っていそうだし、高山の間者に仕立て上げることにも失敗した今、生かしておいては致命的だと思うが、成之の思惑はどこにあるのだろうか? また、唯から真相を聞いた忠清は、なぜ成之を処罰しようとしないのか? この謎は来週解けるのか?

唯が警護役になって裃を着た姿は格好よかった。「おんな城主直虎」で柴崎コウが武士の姿(男装)した時もカッコ良かったが、美人はみな男装してもカッコいいのか、人によるのか。

しかし、肝心の女装(?)した姿は、あまり素敵ではなかった。本当に「女装」しているように見えた。第4回の時は信じられないほど美人だったのに! 今回もあやめプロデュースなのに!



映画ランキング

(2020/6/7 記)

生田斗真と清野菜名が結婚

2020年6月5日、生田斗真清野菜名が6月1日に婚姻届を提出したことを発表。生田斗真は35歳、清野菜名は25歳。

生田斗真といえば昨年の大河ドラマ「いだてん」での快男児の印象が強い。まだ独身だったんだな。

グラスホッパー

グラスホッパー

  • 発売日: 2019/10/16
  • メディア: Prime Video
グラスホッパー」で主演しているのだが、記憶にない。あれは浅野忠信の印象が強過ぎて。


映画ランキング

(2020/6/7 記)

「麒麟がくる」第二十回「家康への文」

次回で中断に入るが、桶狭間まで終わりそうだ。よかった。

出演

あらすじ

十兵衛に命じられて尾張まで出張してきた左馬助は、今川は尾張の領内に出城を築くまでになっており、尾張に攻め込むのは時間の問題と説明する。今戦えば織田方に勝ち目はない。何か手はないかと思案する十兵衛は左馬助に「今川方に一番近しい松平の者といえば誰だ?」「竹千代殿が人質として……」「それだ!」そして帰蝶へ文を書き、再度尾張へ行くよう左馬助に命じる。

戦に備えて駿府では今川義元を囲んで軍議が行なわれている。義元は、この戦は自分も出るという。先鋒は誰に任せるか、三河者がいいだろうとのことから松平元康の名が挙がる。

松平元康(竹千代)は東庵と将棋を指してようやく勝つ。通算成績は5勝98敗。元康は駒に、自分と祖母は長い人質暮らし、こたびの戦では先鋒という危険の高い役割を押し付けられたと愚痴るが、駒に励まされ、必ず生きて帰ってくると約束する。

尾張では、重臣たちが軍議を続けるがこれといった策は出ない。なにしろ味方3000に対して今川軍は2万5000以上、初めから勝負にならないのだ。そんな中、出かけようとする帰蝶を見咎めた信長は、どこへ行くのか聞くと、熱田へ行くという。熱田へ何しに行く、神頼みでもするのかと重ねて聞くと、熱田には竹千代の母・於大の方とその兄・水野信元がいる、殿も一緒にくるべきだと。

竹千代を調略しようというのだな、いい考えだ。誰の知恵だ? と聞くも、帰蝶は答えず、いい考えかどうかはわかりませんが、打てる手は打っておかないと、と答える。信長は嬉しそうに、「想像はつくがな」と言う。十兵衛が左馬助に託したのがこの作戦だったのだろう。

熱田で於大の方と水野信元に会った信長は、三河の国に野心を持たないことを条件に、元千代を翻意させることを水野に約束させる。於大の方は、16年も会っておらず道ですれ違っても顔もわからぬ愚かな母だが、それでもそなたが戦で死んだと聞いたら嘆き悲しむだろう、と手紙を書き、菊丸に託す。菊丸は元康に手紙を届け、今川についていたら100年経っても三河三河者の元には返ってこない、ここは織田につくべきだと説く。

十兵衛は、いよいよ家計が逼迫してきたため、朝倉家に仕官しようとするが、蹴鞠に興じる義景を見て失望し、信長を救出すべく左馬助とともに尾張へ向かう。

登場人物の満年齢(1560年)

氏名 誕生日後の満年齢 役者の年齢
明智十兵衛 32 42
煕子 30 32
織田信長 26 27
帰蝶 25 25
松平元康 17 36
源応尼 68 68
於大の方 32 36

今日の煕子&十兵衛

「(米がないので、駒から送られてきた薬草を半分売りたいと告げ)かような話、申し上げるべきではないと存じますが、……申し訳ございませぬ」
「そうか、このままではいかんと思っていたが、……」

雑感

桶狭間で桁の違う大軍を相手に信長が勝ちえたのは、正面から戦わず、大軍ゆえに兵站が伸びたところを見定め、全戦力をもって大将首を狙ったからだ。それをこのドラマでは、先鋒の元康が裏切ったからだということにしたいようだが、これは史実と相当に乖離しており、個人的には気に入らない。

煕子がいよいよ切羽詰まって、十兵衛に「食べるものがない……」と訴えるが、そりゃ働き盛りの男が二年も無職でいれば生活も苦しかろうよ。それでも煕子が謝らなければいけないのか。ちょっとあわれ。

あわれといえば、駒が布や薬草を送ってくれて、皆で喜ぶのだけど、生活が逼迫しているからこうした差し入れは実際に嬉しいのだろうけど、駒がなぜこんなに親切にしてくれるのかというと、もちろん十兵衛の父が駒の命の恩人だから、なのだが、駒が十兵衛のことを好いていた(恐らく今でも)ことを煕子が知らないはずがなく、本当は面白くないのではないだろうか。

東庵と元康の将棋の勝負は東庵の圧勝である。元康も、かつて織田信勝に手加減をしたほどだから、弱くはないと思いたいが、いくら人質とはいえ、松平家の当主として大事にされてきた身である。そんなおぼっちゃん将棋が、百戦錬磨の東庵に勝てるわけがない。信勝に手加減をしたくだりは、元康が強いのではなく、信勝がどうしようもなく弱かった、というだけの話なのではあるまいか。

その元康は、駒に好意を寄せているようで、愚痴を漏らしたり、生きて帰ってくると軽々しく約束したりしているが、彼は既に瀬名と結婚し、この一年前には信康を授かっているのである。物語に登場しないからいい気になって駒と仲良くしているけど、「おんな城主直虎」を見た視聴者は、菜々緒の顔をちゃーんと思い浮かべて、「おいおい」と思っているのである。
f:id:chd:20200608020914p:plain
十兵衛が蹴鞠に興じる義景に失望するシーンも引っかかるところ。かつては武士の蹴鞠といえば軟弱というイメージが一般的だったが、「おんな城主直虎」を見たわれわれは、蹴鞠は時に軍事力よりもはるかに強い力を持つことを知っている。これは、十兵衛にはまだそれがわからない脳筋者だということを言いたかったのか。

於大の方から元康への手紙の主旨は、生き延びてほしいということだった。菊丸は織田につくべきと力説したが、3000対25000の戦いである。生き残ることを考えるなら25,000に付いた方がよいのは明らかだ。おまけに視聴者には知らせていないけど瀬名と信康が駿府にいるわけで、裏切ったら殺されるに決まっている。だから瀬名と信康を登場させなかったのか……?

過去記事

水野信元はきっと再登場するだろうという勘が当たった。


映画ランキング

(2020/6/5 記)

「アシガール」第7回「待ってます戦国で!」

概要

感染症も治り、戦国の世へ戻る準備を始める忠清。そんな忠清に、尊は、タイムマシンがあと二回しか使えないことを告げる。忠清が戦国へ戻ったら、あと一回。それを知ったら、唯は現代には戻って来ないと言い出すのではないかと心配する両親に、責任を持って唯をご両親にお返しする、と忠清は約束する。

戦国では、指名手配となり逃亡する唯だが、行く当てもなく、忠清とただ一度デートした思い出の場所で物思いに耽っていると、天野信茂が腹を切ろうとするのを目撃する。忠清が死んだのは自分の責任、若殿が好きだったこの地で腹を切るのだという。「忠清様は次の満月の夜に必ず戻ってきます!」という唯の言葉に動かされ、その言を信じて待ってみることと、その日まで唯を匿うことを約束する。

天野家では足軽の格好では誰に見られるかも知れないと、女装させ、下女として下働きをさせる。そんな折、吉乃が捕らえられ、城に連れて来られた。唯の行方を調べるためだが、白状しなければ拷問にかけられるかも知れないという。唯は仕方なく出頭する。それを知った吉乃は「せっかく逃げおおせたのに……そんなことをして私が喜ぶとお思いか」「いえ、叱られると思いました。でも、黙って見過ごすことはできませんでした」

吉乃は釈放され、唯は牢に入れられる。その夜は満月、これで忠清が戻ってくれば解決と信じて待つが、忠清は帰って来ず、寒い牢の中で風邪を引き発熱してしまう。

翌日、朦朧とした中で取り調べが行なわれる。羽木忠高は、こやつが間者とはとても思えぬと、唯を解放しようとするが、成之が、忠清が姿を消す直前に唯が吉田城に忍び込んだところを見た者がいること、また、我らに隠し事をしていると言い、服を脱がすように指示する。

まさにその時、忠清が城へ戻ってきた。吉田城からくる途中の川の橋が落ちていて、回り道をしていたため遅くなったのだ。忠清は、誰に命を狙われたのかわからないため、吉田城にとどまっていては危険と判断し、ひそかに城を抜け出し民家にて養生をしていたこと、また、唯は自分の命の恩人であると告げ、唯を抱きしめる。残念ながら唯は高熱のため意識がなかったが……

忠清は天野に、唯の介護と、看病は吉乃(とその子)のみで行なうよう言いつける。ある夜、元気になった唯のもとを忠清が訪れる。そういえば、タイムマシンのエネルギーがあとわずかだと尊が言っていたんですけど、という唯に、「あと一回だそうだ」と忠清が答える。「と、言ったらどうする?」「使わずにずっとこの世界にとどまります」「……嘘じゃ。あと二回使えるそうだ。ご両親も尊もとても心配していた。次の満月の夜にはとにかく一度家へ帰れ。そして改めてここへ戻ってこい」と言ってタイムマシンを唯に返す……

雑感

なかなか見どころが多かった。

どうやら成之は、唯が女だということを知っているようだが、いつ知ったのか。というより、幼児ならともかく、仮にも17~18歳の大人の女が一ヵ月も二ヵ月も生きていて、女だと気付かない方がおかしいのだが。生理の時はどうしていたのだろう? 二度目に戦国へ行った時は生理用品を持参したかも知れないが、初めて行った時はそんな用意もなかったはず。当時の用具を使うにしても、男で通していたらそれもままならなかっただろう。原作者(森本梢子)は女なので、そのことが気にならないはずがないと思うが、あえて「なかったこと」にしているようである。

責任をもって唯を現代に返すと唯の両親と約束した忠清だが、いったいどうやって約束を果たすつもりだったのか。はらはらしながら気にしていたが、そうきたか……。二度と戻れない覚悟で戻って来い、と自分が言えば唯は従うだろうという確信、その唯を、本当は自分も傍に置いておきたいけど、現代へ帰るのが唯にも唯の家族にもいいことなのだという判断。壮大な両思いだなあ。唯よ、キミは忠清様にここまで愛されておるぞ。



映画ランキング

(2020/6/4 記)

「麒麟がくる」第十九回「信長を暗殺せよ」

あらすじ

十兵衛らが越前へ移って二年、十兵衛は禄は食まず、近所の子に読み書きを教えて口に糊する生活を送っていた。

将軍・足利義輝は、近江に身を寄せていたが、三好長慶と和睦し、5年ぶりに京へ戻った。そして諸大名に上洛を命じたが、応じた大名は少なかった。朝倉義景も、火中の栗を拾いたくないといい、自分の代わりに十兵衛に上洛を命ずる。将軍にお目通りがかなうと張り切る十兵衛に、さらに嬉しい知らせが。煕子が子を宿したのだ。

さて、京では、義輝に会うのは9年ぶり、松永久秀に会うのは11年ぶりである。義輝が能を見に行くのに同道を命じられ、身に余る光栄と思い緊張の中にも嬉しさを隠せない十兵衛であったが、実は将軍はすっかり変わっていた。京へ戻ったといっても実権は三好が握っている。諦念にとらわれ、能を見るくらいしかやることがないのだ。

既に斎藤高政(義龍)は上洛しており、間もなく織田信長も上洛してくるとのことだが、高政が京で信長暗殺を画策しているとの噂が耳に入った。十兵衛は、将軍に伝えて高政を止めてもらおうと細川藤孝に言うが、将軍にそんな力はない。結局、松永久秀に頼んで事なきを得たが……

高政は十兵衛を呼びつけ、自分についていればいい暮らしができるのに今は浪人暮らしかといい、自分は尾張を飲み込んで美濃を大きく豊かな国にする、だから自分を扶けろと改めて口説く。が、十兵衛は冷たく断わる。

信長は義輝に、せっかく尾張を平定したのに今川が狙ってくる、これ以上戦はしたくないので何とかしてほしいと願い出る。義輝は、義元よりも上の官位を授ける、それでも駄目なら相伴衆になれ、そうすれば今川は手出しができないだろうという。そんな将軍に失望した信長は、松永に、尾張と摂津を交換しないかと持ち掛ける。

登場人物の満年齢(1558年)

氏名 誕生日後の満年齢 役者の年齢
明智十兵衛 30 42
煕子 28 32
織田信長 24 27
織田信勝 18 31
朝倉義景 25 49
斎藤高政 31 44
細川藤孝 24 43
足利義輝 22 38
三好長慶 36 65
松永久秀 50 61

今日の十兵衛&藤孝

「(信長殿は)やすやすと死なせたくはないお方です」

雑感

信勝が死んだことを知った土田御前は嘆き悲しみ、信長を激しく非難する。が、もともと信長を殺そうとしたのは信勝で、返り討ちに合っただけだし、信勝が信長を殺そうとしたことを知らないはずがない、むしろ焚きつけた張本人ではないかと思う。だから逆恨みもいいところだ。しかし、それはそれとして、壇れいはいい声しているな。

朝倉義景が京に行きたくない、というが、そう考えたのは義景だけではなかったのでそこはわかるとして、名代として遣わすのが身内でも家臣でもないただの浪人という点で、さすがに将軍家を軽んじ過ぎではと思う。十兵衛は辞退すべきと思うが、あの義輝さまに会えるという気持ちが勝ったのだろう。最初の喜び、憧れ……的な気持ちから、だんだんと、あれ、この人は自分が思っているような人ではないのでは、を気付いて行く変化が今回の見どころ。「将軍」の名はどんどん形骸化しているのだ。

十兵衛は子供たちに読み書きを教え、それは一応評判はよいのだが、いったいこれでいくらになるのだろうか、いや、そもそも授業料を徴収しているのだろうか。(お金を持っている)良家の子女なら、こんな得体の知れない浪人に習おうとは思わないだろうし。なぜ士官しないのかな。

煕子が十兵衛に、ややこができました、と告げるシーン。時代劇ではよくあるシーンだが、今の時代のように検査薬があるわけでなし、子が出来たことをどうやって知るのだろう。しかも経産婦の牧に相談もせず……。

高政の十兵衛への未練がすごい。父を討ち弟を殺し、一国の長になってみたものの、信頼できる者がまわりに誰もいないのだろう。はっきりと自分に意見を言う十兵衛は貴重なのだ。しかし、これを別れた女に復縁を迫る男、だと思って見ると、滑稽というか、粘着で気持ち悪いというか。

その高政は、まさかのナレ死。この二年後に死ぬのだそうだ。

信長が義輝に願いことを申し出るが、その裁定を聞いて「ダメだこりゃ」という顔をしたのが面白かった。



映画ランキング

(2020/6/3 記)

「アシガール」第6回「平成に若君キター!」

概要

傷を負った忠清を、この時代なら死ぬのを待つしかないが、平成の世ならば、自分の母ならば治せると唯は判断して、現代に送り込む。速川家では突然出現した若殿に驚くが、事情を察した尊に説明を受けた両親によって看護された忠清は、みるみる元気になる。

平成で一ヵ月過ごしても、戦国に戻ってくれば3分しか経っていないはずなのに、5分経っても10分経っても戻らぬ忠清に、城は大騒ぎになる。高山との和議も、阿湖姫を娶る話も、忠清がいなければ始まらない。もともと虫の息だったのだから、自力で遠くへ行かれるわけがない。殺されてどこかへ連れ去られたのか……

羽木成之は、弟・忠清の捜索を買って出るが、その意図はどこにあるのか……忠清の身を案じてでないのは確かのようだ。成之は唯が真相を知っていると感ずいており、あぶり出すために、唯が忠清をかどわかしたと噂を流す。

忠清は、黒羽城跡を見て、すべてが(平成の世から見れば)過去になってしまったことにショックを受けるが、だからこそ戦国の世へ戻らなければならないと思い決め、次の満月の夜に帰るつもりでいたが、今度は感染症にかかってしまい、重体に。元の世界に帰れない……

雑感

忠清が現代の高校生の制服のコスプレをするところとか、彼の凛とした姿勢や言葉遣いに周囲が感化されていく様子がオカシイ。また、唯が自分の身の危険も顧みず、忠清を救いに戦国の世へ来たことを知り、唯の真心を感じるが、今後の転回点となるか!?

噂と回想シーンでしか出て来なかった阿湖姫が初めて本格的に登場。なかなか心優しい姫である(川栄李奈が好きなので、いろいろとひいき目ではある)。

羽木は滅ぶのか!? と忠清が尊に詰め寄るシーンがあるが、平成の世でそれを訊かれても、忠清の時代の人は一人残らずとっくの昔に死んでいるわけで、のちの世の視点で振り返るというのは残酷なことでもある*1。しかし、今を生きる人にとっては、自分や周囲の人が、今年中に死んでしまうのか、2~3年後まで生きられるのか、10年、20年、あるいは50年先まで生き永らえるのかは大きな違いだ。それが生きるということだ。

NHKドラマ アシガールFANBOOK (洋泉社MOOK)

NHKドラマ アシガールFANBOOK (洋泉社MOOK)

  • 発売日: 2018/12/28
  • メディア: ムック


映画ランキング

(2020/5/27 記)

*1:昔、100年カレンダーといって100年先まで使えるカレンダーが販売されたことがあったらしい。話題になって割と売れたらしいのだが、買った人がカレンダーを眺めて、自分はこのカレンダーのどこかの日に必ず死ぬのだと考えてノイローゼになってしまう人が何人も出て販売中止になった、という話を聞いたことがある。

「麒麟がくる」第十八回「越前へ」

あらすじ

屋敷から逃げ出した十兵衛たちが尾張へ向かおうとした時、駒が菊丸を連れてやってくる。尾張方面は警戒が厳重で、関所にも人を多数放っているという。仕方なく反対方面へ逃げるものの、どこも追手が一杯。途方に暮れているところへ伊呂波太夫がやってくる。帰蝶様の命で明智殿の手助けのためにやってきました、と、抜け道を案内する。そして一行は太夫に導かれて越前へ行く。

伊呂波太夫の紹介で十兵衛は朝倉義景に会う。義景は、戦はしたくないし、巻き込まれたくもない、十兵衛らを抱え込めば余計なことに巻き込まれるのではと、あまり積極的ではなかったが、ある手紙を十兵衛らに見せる。それは細川藤孝からのもので、明智十兵衛なる人物がもし落ち延びてきたらよしなに……としたためてあった。明智の窮状を知り、あちこちの主だった大名に根回しをしておいてくれたのだ。

駒と煕子は初対面だがすぐに意気投合する。そして、幼い頃に誰かに命を救ってもらったことを話す。それを隣で聞いていた牧は血相を変える。駒を京都で救ったのは明智光綱だったのだ。

尾張では信長の弟の信勝が謀反を企てるが、土田御前のとりなしでいったんは和解。が、また斎藤高政と通じ、信長に敵対する動きがあると。信長は帰蝶の進言に従い、信勝を呼び寄せる。そして信勝が、信長を殺そうと持参した毒薬を本人に飲ませ、殺す……

雑感

今回は、伊呂波大夫、駒という架空の人物がキーとなる働きをした。そういう意味で(文字通り)ドラマチックな展開だった。

先週を見て、当時の戦の常識として、城や屋敷に立てこもって抵抗すれば殺すが、家財一切を捨て逃げ出した者は追わない、という不文律でもあったのかと思った。そうでなければ目の前に敵が迫っているにも関わらず、なおぐずぐずしていた理由がわからないからだ。が、高政勢は、街道筋や関所に人を配置し、追い詰めようとしていることがわかった。これでは女や年寄りを引き連れていては、逃げられるはずがないが、ここで無双の旅芸人・伊呂波大夫が登場する。彼女に連れられれば可能な気がする。

その前に登場した駒も重要な働きをする。尾張方面は警戒が厳重だという貴重な情報をもたらす。次に、山の中で伊呂波大夫と会った時に面通しし、人物を保証する。あとは彼女自身医療の心得があるため、けが人の手当てができること。これだけやってくれれば、この時の明智の一行にとっては命に等しい恩を受けたというべきだろう。

駒の命を救ったのが十兵衛の父というのは、予想通り。

伊呂波大夫は近衛家の家出娘のなれのはてなのだそうだ。なるほど、高貴な人も含めて異様に顔が広いのも、それが大きな理由か。

ユースケの義景は、なにやら胡散臭さ全開。なおこの時23歳。

帰蝶は、信長個人を愛し、少しでも彼の力になりたい、というレベルから、今は織田家当主の座を愛し、これを守り発展させるために自分ができるだけのことをする、という立ち位置に変わってきている。そのため信長が膝枕をしていてもあまり仲が良さそうではない。信長が帰蝶の思惑通りに動かないとそっとたしなめ、自分をまさぐる手を外したりする。こわい。

登場人物の満年齢(1556年)

氏名 誕生日後の満年齢 役者の年齢
明智十兵衛 28 42
煕子 26 32
織田信長 22 27
帰蝶 21 25
朝倉義景 23 49
柴田勝家 34 44
織田信勝 16 31


映画ランキング

(2020/5/18 記)

「アシガール」第5回「走れ!初デート」

概要

三千対千の不利を覆すべく、現代に戻ってきた唯は、木村先生に戦術を相談したり、弟・尊に武器を作らせたり。人を殺す道具は作りたくない、という尊に、殺さなくていい、逃げさせればいいと唯が言うと、尊が作ったのは幻の兵を登場させる「まぼ兵くん」だった。

戦国に戻った唯は、忠清に「策があります」と言ってともに敵陣を突っ切り、丘の上に登ると悪丸に「まぼ兵くん」を作用させ、見事敵を退散させることに成功した。この手柄で唯は「お馬番」に取り立てられる。

高山氏から和議を申し込まれ、交渉のために忠清は吉田城へ赴くが、途中、矢を射られ大けがを負ってしまう。如古坊が忠清を襲うと話していたのを聞いてしまった唯は、忠清を助けるべく吉田城に向かうが間に合わなかった。今は息があっても長くはもたない、と言われた忠清を救うため、唯は忠清を現代に送る。

その他:

  • 忠清は唯がふくであることに気付いていた。
  • 阿湖姫との婚礼話が復活。
  • 成之には二心あり。ただし如古坊の言いなりなのではなく、如古坊が成之の言いなりという関係のようだ。

雑感

唯之助とふくの関係に気付くとは、さすがは忠清だが、唯之助が女だと見抜いたのか、ふくが男だと思ったのか、どちらだろう。

忠清と唯之助がたっだ二人で敵の囲みを解くシーンはイラスト(記号)ではなくぜひ実写で見たかったが、合戦シーンをまともに撮影するととんでもなく費用と時間がかかるから、致し方ないか。


映画ランキング

(2020/5/17 記)

「麒麟がくる」第十七回「長良川の対決」

あらすじ

十兵衛は、光安に合流し道三に味方すべく戦場に赴く。

長良川を挟んで道三軍と高政軍が対峙する。戦は圧倒的な戦力を有する高政が有利に。敗色濃厚と感じた道三は、一騎で敵陣に駆け寄り、高政に一騎打ちを挑む。高政に「父の名は?」と問うと高政は「土岐頼芸様じゃ」と答える「おまえはその口で美濃を掠め取ったのか」と言い斬りかかるが、高政の部下に槍で突かれ、絶命。

高政は、道三が自分の軍門に下れば命を取る気はなかったが、これは道三の作戦で、これにより高政は終生「親殺し」の汚名を着せられてしまうことになる。

高政は十兵衛に、改めて自分に付け、自分の政治を助けろ、そうすれば今回道三方に付いたことは忘れてやると言うが、十兵衛は、高政には組しないと答えてしまう。急ぎ明智城へ取って返すが、すぐに高政軍の追手がやってくる。光安は、自分は城に残る、お前は左馬助を連れてどこまでも逃げろという。

伊呂波大夫は帰蝶に、道三を連れ出せなかったことを詫びる。帰蝶は、済まぬがもう一度美濃へ行ってくれと頼む。褒美は好きなだけ取らせるからと。

今日の光安&十兵衛

光安「城を失うのはつらい。亡き兄上に申し開きができぬ。されど、明智家が滅びるのは座視できぬ。なんとしてもそれは避けねばならぬ。これはそなたの父上の声と思って聞け。いったん城を離れ、逃げよ。逃げて逃げて生き延び、明智家の主として再び城を持つ身になってもらいたい。そなたならそれがやれる。許されるなら、この左馬助も、そこに加えてもらいたい」

今日の伝吾&牧

牧「私はここに残りまする。ここは亡き夫・光綱様が終生大事にされた父祖伝来の血。今捨てろと言われても捨てるわけにはいきませぬ」
伝吾「大方様、お気持ちは私も村の者も皆同じでござりまする。大事な田や畑や山や川や……。この先10年20年、皆で守って行こうと思っておりまする。いつの日か大方様がまたお戻りになられた時、何も変わらず、この里は、村はあります。それをまた見ていただくために、今日は旅に出てくださりませ。どうか……」

雑感

  • 今年の大河ドラマ斎藤道三」の最終回。ネットでは神回の呼び声も高かったが、自分はあまり感心しなかった。
  • 合戦となるといつもいろいろ不満を感じる。今年はまだましな方だが、それにしてももう少しなんとかならぬものかと思う。
    • なぜ道三や十兵衛は鉄砲を使わないのか。いったい何のためにこれまで練習してきたのか。鉄砲隊30名を組織するという話はどうなったのか。
    • 道三と高政の一騎討ちはあり得ないが、ドラマとしてはありだろう。しかし、一騎討なら一騎討をすれなよい。延々とセリフを言い合うのは現実離れし過ぎている。
  • 十兵衛が道三方に付く決意をしたのはよいとして、高政の勝ちで戦が終わったら覚悟を決めるべきだ。せっかく高政が改めて自分の下に付けと言ってくれたのに、逆らうとは何事か。その瞬間に、自分だけでなく、牧や煕子、使用人たち、あるいは伝吾らの命を失ったのだ。
  • 光安も同じ。明智家が滅びるのはなんとしても避けなければ、と今頃いうのなら、道三につかず高政につけば良かった。高政が大勢の兵を集めたのはそういう理由だろう。
  • 落ち延びることに決めたのならさっさと落ち延びればよい。高政軍が目の前に迫っているのに別れの言葉を名残惜しく延々と続けている場合ではないと思うのだが。
  • 牧の気持ちもわかる。この時代、単なる旅行でも命懸けだろうが、女を大勢引き連れて、持てる荷物も限られる中、行く当てのない逃亡の旅である。高政軍に見つかれば終わり、見つからなくても、こんな行程は高齢者には何日も耐えられないのではないか。旅の途中で死ぬくらいなら、家で死んだ方が良いと僕でも考えそうだ。


映画ランキング

(2020/5/17 記)

「アシガール」第4回「ドキドキの夜!」

出演

  • 中村静香(鐘ヶ江ふき)
  • 森優作(あやめ、猿楽一座の人間)
  • 田中美里(久、羽木成之の母)

概要

忠清は、成之の情報を元に小垣城奪回の戦に出陣、見事勝利する。

鐘ヶ江氏はお家再興のため一人娘を忠清のお手付きとさせるべく、戦勝祝いとして閨の相手に差し出す。そのことを知った唯は、他の女を近づけたくないと、あやめの協力のもと、ふきに成りすまして(間違えてふくと名乗り)忠清の部屋へ行く。「戦はやっちゃいかんです」というふくは忠清に興味を持たれるが、閨の相手まではできず、そのまま逃げ帰ってくる。

久は成之に、あなたが父と忠清を殺し城主となる夢を見たと言い、成之は、それは正夢だと答える。

小垣城を奪われた高山氏は、戦力を増強して再度羽木家に戦を仕掛けてくる。忠清は打って出るが、三千の敵に対して味方は千。圧倒的に不利だが、唯は、21世紀の科学力でなんとかすることを誓い、現代に戻って来る。

雑感

  • 黒島結菜は、ボーイッシュな役回りしか知らず、それはそれで可愛いが、長髪で着物を着てお化粧をした姿が信じられないほど美人で驚いた。今回はこの彼女の姿を見られただけで見た価値はあった。ただ天野小平太に言われていたが「落ち着きがなさ過ぎる」。それに、夜に殿の部屋へ行って「相手をする」のに閨を嫌がって逃げ出すというのも「何しに来たの?」。現在娘があのような場に引き出された時の反応としては自然かも知れないが……
  • 成之は忠清の味方なのかも知れないと思ったがそうでもない? しかし前回、わざわざ謎かけをしたのはどうしてか。本心は忠清の味方をしたいが母が許してくれない? この件はまだ奥がありそう。
  • 正名僕蔵が登場しないとイマイチ面白くない。


映画ランキング

(2020/5/16 記)

「転・コウ・生」(NHK)

テレワークドラマ第三話。チーム直虎とも呼ばれ、大河クラスタでも話題になった。

題名

  • 「転・コウ・生」

スタッフ

概要

柴咲コウムロツヨシ高橋一生、ノエル(柴崎コウの愛猫)が入れ替わってしまい……

雑感

第二話よりずっと面白かった。

魂が入れ替わる話というのは「とりかえばや」から「君の名は」まで腐るほどあって、その意味では意外性はないが、ここでは、それぞれの役者が別人を演じるのが見物なのだ。特にノエルになった高橋一生の目が本当に猫で、ビックリ。

人間同士が入れ替わった時も、twitter界隈では「うまい!」「似てる!」「さすがに大河で一年間一緒に過ごしただけある……」などと賞賛の声が相次いでいたが、正直なところ、自分はちょっと物足りなかった。

柴崎コウが表情を作る時は、あの大きな目をくるくる動かす。それが彼女の大きな特徴である。が、彼女に中にムロないし一生が入った時も、やはり目を動かしていたし、逆にコウinムロ、コウin一生の時、あまり目を動かしていなかった。

とまれ、ドタバタコメディがスピーディに進み、良かったのだが、これ一体どういうオチにするのだろうと思っていたらオチがなく、肩透かしを食った感じだった。そこが物足りなかったけど、よくよく考えてみると、そこが一番大事なメッセージだったのだろう。

状況の変化に対し、落ち込んだり、元に戻ることだけをひたすら考えたりするのではなく、この状況を楽しもう、これはこれで悪くないと。

一生が柴崎コウに「殿」と呼びかけたことだとか、二人が月を見る場面はあのシーンのアンサーになっているとか、いちいち井戸の底から歓声が上がっていたが、そこまでいちいち直虎に結び付けなくてもいいのではと思う。これは直虎のスピンオフではないのだから。


映画ランキング

(2020/5/12 記)

「さよならMyWay!!!」(NHK)

NHKが「今だから、新作ドラマ作ってみました」と銘打ち、三つのドラマを作った。新コロナウイルスのため緊急事態宣言がなされ、大河ドラマをはじめテレビドラマの収録が見合される中、打ち合わせから収録までスタッフ・役者すべてテレワークで制作したテレワークドラマである。話題になっていたので見てみた。第一話は見損なったが。

題名

  • 「さよならMyWay!!!」

出演

スタッフ

  • 脚本:池谷雅夫

概要

道男は保険の外交員。客の家族構成や趣味などを暗記しようと必死になっているところへ、見知らぬ相手から電話がかかってきた。それは死んだはずの妻だった……

雑感

様々な制約の中、できることをやろうとした姿勢は立派。新コロナはそう簡単に完全収束するとは思えず、何ができるのかさまざまな試みをする中で新しい道が見えてくるのだろう。その意味で、積極的にこうしたドラマを作った役者やスタッフの姿勢にまずは拍手を送りたい。

テレワークでドラマを作るとなると、登場人物同士もネットを通じて会うしかないが、それを逆手に取り、会うことのできない人との連絡という設定にしたのは見事。またどんでん返しもあり、それなりに面白かった。

ただ、ベテラン二人の掛け合いなので、熟達した名人芸を期待したが、案外と単調であった。カメラマンがいないためカメラワークが単調なせいか、登場人物が本当に二人しかいないせいか。でも舞台だったらそんなことは普通なのだが、やはり顔を合わせることなく掛け合うのは難しかったか。


映画ランキング

(2020/5/11 記)

「麒麟がくる」第十六回「大きな国」

出演

  • 池田優斗(松平元信)

あらすじ

十兵衛は尾張帰蝶の元へ行き、美濃のことは美濃で片を付けるので手出しをしないでほしいと願い出る。このたびの騒動のそもそもの発端は、帰蝶が孫四郎に、高政に代わって美濃を収めろなどとネジを巻いたからだと。が、孫四郎を冷たく追い返し結果死に追いやった十兵衛に対し帰蝶は不信感を持ち、高政殿は(信長に敵対する)岩倉城の織田信賢と手を結ぼうとしている、ほってはおけぬといって十兵衛を追い返す。

その話を隣の部屋で聞いていた信長は、光秀の言うこともわかる、親父殿はいま戦をすべきではないと帰蝶に告げる。が、帰蝶は収まらない。

駿河では太原雪斎がナレ死。東庵と駒は足止めを食らって動けない。松平元信登場。竹千代が元服したか。菊丸が薬を持ってやってくる。美濃が二つに割れて戦になると東庵に告げる。駒は居ても立ってもいられない。

十兵衛が稲葉山城に登城すると宴会の声が聞こえる。昼間から飲んでいるのだ誰だと思っていると、座の真ん中で踊っていたのは光安であった。高政に代が変わっても今の明智荘を安堵してもらいたいとご機嫌伺いに来たのだ。高政は十兵衛に国替えを考えていると伝える。明智荘を出て行けというのか、と問う十兵衛に、もっといい土地をやろうというのだ、と言いつつ、国衆が自分の領地を抱え込んで、穀物の取れ高もはっきりしない今のやり方では強い国を作れない、そこをはっきりさせるための国替えだと説明するが……

斎藤道三から、高政と戦をするから大桑(おおが)城に集まれとの命が届く。十兵衛が明智城へ行くと、光安は可愛がっていた小鳥を逃がし、新しい世を作るのならそれもよいが、自分は高政様ごときに付いていく気はないと言う。十兵衛は、ことは明智家の存亡にか関わること、二日待ってほしいと頼み込み、戦を辞めるよう説得すべく、一人、大桑城へ向かう。

大桑城で伊呂波太夫とすれ違う。帰蝶のはからいで、この戦は勝ち目がないからと伊呂波太夫の力を借りて道三を北陸へ逃がそうとしたのだが、道三は断わる。

十兵衛は、国が割れての戦は美濃にとって何一ついいことはないと必死で説得するが、道三は出発してしまう。

帰宅すると、既に光安は道三に合流すべく出発したという。十兵衛は道三と高政、どちらにつくべきか決断を迫られる……

今日の煕子&十兵衛

(十兵衛から、国替えがあるかも知れないと告げられると)「それが美濃のために良いことならば、私は十兵衛さまについていくだけでございます」

今日の斎藤道三&十兵衛

道三「高政は人を欺き、自らを飾ろうとしたのだ。十兵衛、人の上に立つ者は、正直でなくてはならぬ。偽りを申す者は必ず人を欺く、そして国を欺く。決して国は穏やかにはならぬ。わしはケチだが、それをわしは隠したことはない。そうは思わぬか」
十兵衛「それは、その通りかと」
道三「そなたは正直者だ」

さらに斎藤道三&十兵衛

道三「大きな国を作るのじゃ。誰も手出しのできぬ大きな国を」

再び煕子&十兵衛

「皆、既に覚悟を。あとは十兵衛さまのお心のままに

雑感

  • 今年の大河ドラマ斎藤道三」もいよいよ次回が最終回か……というような盛り上がりだった。セリフも演出も見事。
  • 十兵衛は道三に対して、初めて光秀だと名乗った。いつ光秀になったのだ?
  • 煕子はこれまでは大人しく、従順で、ちょっと天然が入ったような人物であったが、いざという時の覚悟の決め方が素晴らしい。さすが、戦国のおなごだ。
  • 「人の上に立つ者は、正直でなくてはならぬ」というセリフは、どこぞの政治家に聞かせてやりたいと、多くの人が思ったであろう。この脚本を書いた時には恐らくそこまで意識はしていなかったのではないかと思うが、見事に今のタイミングである。名作というのは、こういうものなのだ。

登場人物の満年齢(1556年)

氏名 誕生日後の満年齢 役者の年齢
明智十兵衛 28 42
煕子 26 32
織田信長 22 27
帰蝶 21 25
斎藤利政 62 54
斎藤高政 29 44
藤吉郎 19 52


映画ランキング

(2020/5/10 記)

「アシガール」第3回「若君といざ出陣!」

概要

羽木家の滅亡を知った唯は、戦国へ戻って忠清様を守るべく身体を鍛え、準備を始める。尊はそんな姉を見て、当初は反対していたが、一ヵ月後には必ず戻って来ることを条件にタイムマシンを稼働させる。

戦国の世へ戻った唯は、吉乃の元へ行き、現代から持参した米を渡す。当初は盗品かと疑われるが、そうでないとわかると、吉乃はその米を村中に分け与えてしまう。貧しい村だから分かち合うのだと。せっかくなのにと唯は不満に感じるが、以後村人たちは何かと親切に食べ物などを分けてくれ、唯は吉乃を見直す。

第一話で城を高山家に奪われた羽木家では、松丸家を味方につけるべく阿湖姫と忠清の婚儀を進めていたが、松丸家では羽木家を落ち目と見たのか、婚儀の時期を引き延ばしている。松丸家に頼らず単独で城を奪還すべく、忠清は高山家の調査を始める。兄・成之の協力も得て高山家が別の豪族とにらみ合っていることを知ると、これぞ好機と挙兵する。

唯も召喚されて戦に参加するが……

雑感

第一話より第二話、第二話より第三話と、どんどん面白くなってきた。なぜだろう。

忠清が、気が逸るだけの若武者ではなく、クレバーに戦を進めていること、成之の微妙な立ち位置と、その成之と幼馴染だがさらに存在の微妙な如古坊、また吉乃が、ただ人がいいだけの貧しい百姓女ではなく、かなり頭がよくいろいろ先を見ていること……といったあたりを面白く感じるのか。

川栄李奈は今回も顔見世だけ。いつになったらちゃんと登場するのか?


映画ランキング

(2020/5/8 記)

「麒麟がくる」第十五回「道三、わが父に非ず」

出演

  • 長谷川純(斎藤孫四郎、利政の次男)
  • 犬飼直紀(斎藤喜平次、利政の三男)
  • 木下ほうか(織田信光、信秀の弟)
  • 有馬自由(斯波義統(よしむね)、尾張守護)
  • 松田周(斯波義銀(よしかね)、義統の子)
  • 梅垣義明(織田彦五郎、守護代・清須城城主)

あらすじ

利政は高政に家督を譲り、出家して道三と号する。

二ヵ月後の深夜、光安の屋敷に来るように言われて駆けつけると、斎藤孫四郎がいた。高政に美濃は任せられない、織田家との関係を強固なものとするためにも、高政を廃し自分が家を継ぐ、明智にはそのための力になってもらいたいと懇願する。孫四郎の背後には帰蝶がいるのだが、十兵衛は即答で断わる。高政を跡継ぎにというのは利政がよくよく考えた上でのことであろうし、二ヵ月でその良し悪しの判断はできないと。

二日後に高政に呼ばれて十兵衛が登城すると、孫四郎が明智の家に行ったこと、十兵衛にあっさり追い返されたことを高政はちゃんと知っていた。十兵衛に帰蝶のところへ行き、孫四郎にかかわりを持たないよう伝えるようにとの指示を出す。信長も帰蝶も、自分が稲葉山城の城主となったのに手紙ひとつ寄越さない。織田との盟約は見直さざるを得ないだろうが、見直すまでもなく今川・織田彦五郎にあっさりやられてしまうかも、と……

清須城にいた斯波義統は、織田彦五郎の配下の坂井大善に殺される。その子・斯波義銀は命からがら那古野城に逃げ込み、信長に助けを求める。そんな折、織田信光が訪ねて来る。応対した帰蝶に、彦五郎から碁に誘われているが清州を訪ねれば自分が寝返ったと信長に思われるから断わろうと思っていることを告げると、それはチャンスだ、碁を打ちに行った方がいいと背中を押される。

清州を訪ねた信光は、隙を見て彦五郎を殺害。信長と義銀は清州に入る。これで信長は尾張をほぼ手中に収め、近隣の国(特に、高政と今川義元)から恐れられる存在となった。

こうなると信長の後ろ盾を得て孫四郎が高政に取って代わろうとするかも知れないからくれぐれも注意するようにと稲葉良通にネジを巻かれた高政は、孫四郎と喜平次を暗殺。それを知った道三は怒り狂って高政打倒を誓う。

高政は国衆を集めて宣言する。自分は弟を殺したのではない、道三の子を殺したのだ。道三は父ではない、自分の父は源氏の血を引く土岐頼芸であると。

今日の帰蝶&信光

帰蝶「よい話ではござりませぬか。おうちになればよろしいかと。――碁を」

雑感

  • 今回は突然登場し今回限りで退場された人が多かった。それにしてもよく死んだ。
  • 帰蝶の暗躍に舌を巻く。あの可愛い顔で暗殺をそそのかすなど、並みの神経ではない。さすがは蝮の娘と言いたいが、道三よりも一回りスケールの大きな人間に育ちつつあるのではないか。
  • 孫四郎が明智家に言って話したことを高政がつかんでいたのは驚いた。うっかり口車に乗っていたら大変なことになるところだった。高政は政の実務もちゃんと執っていたようだし、決して無能ではないのだ。
  • 稲葉良通も狸で、信長が彦五郎を討ち果たしたことを聞いた道三が「我が子のように褒め称えていた」などと殊更に強調して高政に報告する。が、それにあっさり乗せられてしまうあたりが高政の限界だ。いくら口では服従を誓っても、現実には稲葉の思惑で高政は動かされているわけである。そして恐らく本人はそれに気付いていない。
  • とはいえ孫四郎はもっと間抜けで、とても美濃を任せられる人物ではない。高政を後継者と決めたのは道三なのだから、道三に願い出て跡継ぎを見直させるのが筋である。そうでなければ、高政に弓を引くということは道三とも敵対することになるのだが、それをわかっていない。また、いったん高政に引き継がれた後、何も失政をしていないのにこれを廃するのも無茶な話で、大義名分が立たなければ国衆はついてこないだろう。
  • それにしても、わが父は土岐頼芸だなどとどの口が言うか。気に入らない者をあっさり暗殺するのはまぎれもなく道三の血だ。


映画ランキング

(2020/5/7 記)