窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「いだてん~東京オリムピック噺~」第四回「小便小僧」

出演

概要

四三は高等師範学校のマラソン大会に参加したが、出場直前に排尿に行き、スタートに間に合わず、出遅れる。途中で草鞋も切れ、裸足で走るなどのアクシデントがあったものの、三位入賞。感激した四三は、実家に勇んで報告するが、兄から、かけっこをやらせるために東京へ行かせたのではないと叱責される。

しかし、本格的に「かけっこ」にのめりこむことにした四三は、陸上部に入部。草鞋は切れるからと(専用の靴などない時代なので)足袋に目をつけ、播磨屋で足袋を買い求める。四三が購入したのは地下足袋ではなく、室内履きのようだ。これで外を走るのは痛いと思うが……

大森兵蔵の妻が来日。怪しげな英語で語る兵蔵とそれを日本語に訳す妻の掛け合い。

(2019/2/10 記)

矢本悠馬が結婚

2019年1月27日、矢本悠馬が自身の公式サイトで一般女性と結婚したこと、および妻が妊娠していることを自筆で発表した。矢本悠馬は27歳。

矢本悠馬は「おんな城主 直虎」に出演するまで顔も名前も全然知らなかったが、中野直之役を好演し好感を持った。気を付けていると結構あちこちに出ている。ドラマでは「空飛ぶ広報室」(2013)「真田丸」(2016)、映画では「銀の匙」(2014)「クローズ EXPLODE」(2014)「ちはやふる」(2016)「アイネクライネナハトムジーク」(2019)「屍人荘の殺人」(2020)など。2016年以前の作品は、全く印象に残っていないのだが。

リンク

(2020/9/22 記)

「嫌われ松子の一生」(BD)

ブルーレイ視聴。

雑感

約10年前に見た時は、原作の小説を読んだ直後で、中谷美紀市川実日子柴咲コウもよく知らなかった頃。原作と比べてここが足りないここが違うと不満を多く感じたようだ(下記リンク参照)。

今回は、原作はすっかり忘れており、純粋に映画作品として見て、十分楽しめた。

松子の両親は、病弱な妹・久美子を気遣うあまり、松子に十分な愛情を注げず、それが松子の転落の第一歩だったように思われるが、より大きな問題は、(女は)親の言うことを聞いていりゃいい、という教育方針にあったのではないか。教師になったのは、自分が教師という職業に憧れを持っていたとか、資質があると思ったから、ではなく、父親が教師になれといったから。自分のことは常に自分で決める、その結果を自分で受け入れる、という教育がなされていなかった結果が、万引き問題の対処であったり、岡野に振られた後の職業の選択であったり、龍洋一との同棲だったりに出ていると思う。人生の岐路に立った時に、正しい道を選択できないのだ。

久美子も悲惨だ。病弱で出歩けない、慕っていた姉に殺されかける。それでも姉を待ち続けるが、会えないまま死ぬ……。だからラストシーンは報われた思いにさせられる。これから久美子が穏やかに暮らせるとよいなと思う。

(2019/2/10 記)

「グッドワイフ(TBS)」第二話「その男、黒か白か」

出演(ゲスト)

概要

  • 佳恵の父登場。酒に酔って事故を起こし、現場から逃亡、近くの居酒屋にて飲酒。これは飲酒運転をごまかすためだとして、酒気帯び運転、公務執行妨害などで起訴されようとしていた。自分の弁護人として杏子を指名。
  • 佳恵は大輔を嫌っている。大輔は依頼人のためなら黒を白と主張することなどなんとも思っていないため。かつて世間的に相当グレーだった人物の無罪を勝ち取り、非難されたことがある。本人は多忙を理由に滅多に家に帰らなかったので、矢面に立ったのは妻だった。この時の心労がもとで早死にしてしまう。佳恵は、お母さんをころしたのはお父さんだと詰め寄る……
  • 今回の件も、誰がどう見ても酒気帯び運転は間違いなさそうなのに、大輔は酒など飲んでいないと主張する。おまけに当日の詳しい事情を語らない。窮地に立たされた杏子は……

雑感

  • どんでん返しも、大輔が細かい事情を杏子や佳恵に語らなかったことも、あとで真相がわかってみれば「なるほど」と納得のいくことであり、話の展開はうまいと思う。
  • 壮一郎の事件の展開が進まないのは(致し方ないが)気になる。
  • 光太郎はみちるに気があるらしい。今はそんなことを考えている場合じゃないだろうに。
  • 今回の杏子の頑張りに、みちるは少し見直したようだ。

配役

(2019/2/3 記)

「いだてん〜東京オリムピック噺〜」第三回「冒険世界」

出演

概要

四三の高等師範学校の日々。

四三は、朝食は幼い頃の躾を守り、よく噛んで食べる。そのため時間がかかり、寮を出るのは一番あと。が、学校まで約一里の道を走って登校、着くのはいつも一番乗りだった。

夏休みの故郷へ帰省すると、幼馴染のスヤが見合いをするという。落ち込む四三だが、再度上京する四三の見送りに、スヤは自転車で並走し、叫び声を上げ続ける……

天狗倶楽部の三島弥彦はお金もあり、顔もよく、スポーツ万能で、「本気で闘える相手がほしい」などと(火―ロス・リベラのような)ふざけたことを真顔を吐く。

東京でマラソンという競技の存在を知り、四三は驚く。彼がこれまで走っていたのは生活のためで、走るために走る、という世界を知らなかったのだ。四三とマラソンの運命の出会い。

雑感

シマと三島和歌子のかけあいが面白い。

四三は学校まで一里を約20分で走ったという。4km20分は、荷物を持ち、坂道などがあったことを考慮しても、特別速くはない。軽いジョギングのつもりで走っていたのだろう。

ビートたけしの活舌がよろしくなく、話し方もうまいとは思えず、正直うっとうしい。過去のパートは森山未來が語りを担当するが、実にわかりやすい、いい声だ。今後は全部森山未來でいいんじゃないか。

第一話の冒頭(1959年)で、物語はタクシーに乗った志ん生が、地下足袋で走る人物を目撃するところから始まる。これが四三だと思ったので、てっきり金栗四三とは東京オリンピックでメダルを取った人かと思い込んでいた。が、明治生まれだと東京五輪の時は相当な年齢のはずで、計算が合わない。なので混乱していたが、四三が出場したのはストックホルム・オリンピック。それで思い出した。ストックホルムに出場した日本人ランナーは、世界最長記録保持者のはず。

この話は知っている(らばQに取り上げられていたので知った)。そうかこの人が金栗四三だったのか。これで話がつながった!

(2019/1/27 記)

「アゲイン」

ブルーレイ視聴。

雑感

  • 以前劇場で見て印象に残っていたもの。もう4年も前なのか……
  • 松川典夫や立原裕子が男から何を言われたのか、単に「暴言を吐かれた」というだけで具体的な描写がなかったため、松川典夫が悪いとしか思えなかった。あとで柳田建司に「マネージャーを侮辱されて黙っていられる野球部員はいない」と言っていたけど、相手の男をぶちのめすのは夏の大会が終わってからでも良かったはず。(そうすると、今度は後輩に迷惑がかかるのか?)観客が「あんな態度を取られたら、誰だって我慢できないよな」と思えるシーンがほしかった。
  • 立原裕子もよくない。何もいえず28年間ずっと引きこもりをしていたのかと勘違いしていたが、結婚して子供もいるという。松川がどう噂されているか知らなかったわけではあるまい。誤解は彼女が解くべきだった。そもそも野球部員が必死に練習にいそしんでいる時に、他校の生徒と不純異性交遊をし、妊娠するなど、素行に問題ありだ。この二人のために野球部員はこれほど大きな傷を負った。そこは責められてしかるべきだろう。
  • 彼女はレイプされたんじゃなかったのかな。それだったらわかるけど。

配役

  • 劇場で見た時には気付かなかった安田顕阿南健治がすぐわかった。成長したな。

過去記事

ここで

波瑠がいい役者だった。(略)今後露出が増えるといいなと思う。

などと書いているが、この年の朝ドラの主役を務め、一気にトップ女優になったのだった。自分にしては先見の明があるうちか?
(2019/1/27 記)

「グッドワイフ(TBS)」第一話「家族の裏切り」

常盤貴子主演というので興味を持ち、見てみた。日曜の夜は時間的に辛いが。アメリカのTVドラマ「The Good Wife」のリメイクらしい。

出演

出演(ゲスト)

  • 武田鉄矢(日下部直哉、キャスター)
  • 野間口徹(小宮竹生、多田のフットサル仲間)
  • 野田あかり(浜口玲奈、行方不明になった女児)
  • 泉澤祐希(浜口直樹、玲奈の父)
  • 横田栄司(市原賢吾、日下部側弁護士)

概要

  • 蓮見杏子の夫が突如収賄容疑で逮捕された。壮一郎はこの件に関しては否認しているが、新聞記者の女性と不適切な関係を持ったことは認めた。杏子やその子たちはショックを受ける。杏子はかつては弁護士として活躍していたが、妊娠と同時に引退し、専業主婦となっていた。夫が収監され、離婚も視野に入れなければいけない状況で、16年ぶりに弁護士復帰を目指す。
  • 司法修習時代の同期で現在共同経営者である多田が誘ってくれたため、神山多田法律事務所で働くこととなったが、実は同じく新人の朝飛光太郎と半年間比較し、いい方を一人のみ正式採用するとの条件だった。
  • 最初に手掛けた事件。ニュースキャスターの日下部直哉が、世間を騒がしている幼児誘拐事件に関して、犯人は誘拐された子の母親で、育児ノイローゼから子供を殺したのだ、だからいくら探しても見つかるわけがないと自分の番組で断言。世間から激しい非難を浴びせられた母親は自死を遂げる。怒った夫が日下部を名誉棄損で訴えようとするが……
  • 円香みちるはかつて蓮見壮一郎の下で三年間働いたことがある。が、壮一郎に首を切られた。「あまりご主人を信用しない方がいいですよ」と杏子に言う。

雑感

  • ネットで、泉澤祐希が光っていたとの感想を読んだ。「白夜行」で武田鉄矢にいじめられる子ね。なるほど確かに存在感がある。
  • 武田鉄矢が嫌な人間の役を本当に嫌に演じてくれたため、見ていて腹立たしくて仕方がなかった。金八先生のイメージが強いが、たまに悪役をやると強烈である。こういう役の人は最後にぎゃふんと言わせてほしいが、ぎゃふんとは言わないまま終わったのは消化不良。もっとも嘘がバレたから、番組終了後にぎゃふんと言っているのだろうが。
  • 杏子の手掛けた事件は解決したが、壮一郎の汚職事件は進展がなかった。こちらは全編を通じて明らかになるということか。

(2019/2/3 記)

「いだてん〜東京オリムピック噺〜」第二回「坊っちゃん」

出演

概要

四三の幼少期からを描く。

四三の父は病弱で寝込むことの多い生活で、そのため一家の生活は厳しく、兄たちは皆、小学校を出たら田畑を耕すなど家の手伝いをしなければいけなかった。

四三も幼少の頃はひ弱で、心配した父は、嘉納治五郎に抱いてもらうと健康になるという願掛けのため、熊本まで10里の道を歩いて嘉納に会いに行く。が、大勢の人に囲まれて抱いてもらうどころか声をかけることすらかなわず、諦めて帰途に就く。が、望みが叶わなかったとは言えなかった父は、「嘉納先生に抱いてもらった」と家族に嘘をつく。

金栗信彦は、死の床でも「四三は嘉納先生に抱いてもらったのだから、丈夫に育つ……」と呟く。恐らく信彦にとっては、嘘ではなく、脳内で真実になっていたのだろう。四三は実次に「実は……」と打ち明けようとするが、「言うな!」と遮られる。

成績の良かった四三は、兄から進学を進められ、海軍兵学校を受験することに。が、視力検査で引っかかって落ちてしまう。気落ちした四三をスヤが「軍人にならなくてもお国のために働ける」と慰め、四三は、嘉納治五郎が校長を勤める東京高等師範学校への進学を決意する。

雑感

嘉納治五郎に抱いてもらった話、恐らく実次は事情を察していて、その上で父のために信じる態度を取っていたのだろう。しかし四三は家族に嘘をついていることが苦しくて仕方がない。

初回の最後で嘉納がゴールした四三を抱きとめるが、これは四三にとっては幼少時からずっと願っていたことで、それが初めて実現し、かつ、これによって父の言ったことが嘘にならなかったというわけだ。初回での伏線と二回目の回収、これは見事だ。だからドラマは面白い。継続してみるかどうかは、微妙だが。
(2019/1/26 記)

「いだてん〜東京オリムピック噺〜」第一回「夜明け前」

出演

スタッフ

概要

1959年(昭和34年)、日本に東京オリンピックを誘致しようと必死になっている人たちがいた。そして時代を遡って1909年(明治42年)――

嘉納治五郎は日本人初のIOCのメンバーだそうである。フランスから、オリンピックを白人だけのものではなく、世界のものとするためにアジア人も参加させたい、まずは日本の参加を、と嘉納に話があった。当時の日本はオリンピックどころか、スポーツという概念すらなかった(「体育」という言葉はあったが)。オリンピックの主旨もなかなか周囲の理解を得られず、仮に参加するとしても、世界の舞台で闘えるような運動選手はいないだろうと言われ、嘉納は選手の発掘のため、オリンピック予選のための競技大会を開催することにした。

ラソンではリタイア続出で、ほらみろと言われかけたが、優勝した選手はなんと当時の世界記録を30分近くも上回るタイムを叩き出した。その人の名は金栗四三。ゴールを過ぎて倒れた金栗を、嘉納は「いだてんだ、いだてんがいたぞ!」と抱きしめる。

雑感

大勢の有名俳優が次々と登場するが、関係がよくわからず。ネットの感想などを見ると、このワーッと見せる初回は典型的な宮藤官九郎節らしく、好みの分かれるところだとか。

道家としての嘉納治五郎はよく知っているが、オリンピックに功績のあった人とは知らなかった。金栗四三という名も初耳。これまでの大河ドラマは、主要な登場人物は知っている人だったので、話にすぐ入り込んでいけたが、知らない人ばかりだと、こんなものか。つまらなくはないが、特別感動もしなかった。次回も見ると思うけど。
(2019/1/26 記)

「アナと雪の女王」「アナと雪の女王/家族の思い出」(地上波放映)

1月3日、「アナと雪の女王」が地上波で放映された。

常々、地上波放映は(時間の制約から)あちこちカットされて原作に対する冒涜だとか、いちいちCMで切れるのがうっとうしいとか、テレビで見ても映画を観たことにはならないだとか言い放ってきたが、そしてそれはその通りだと思うが、放映されたとなれば見たくなる。ちょっと前半の思い出のシーンをと思ったが結局最後まで見てしまった。

冒頭で、アレンデールの国に電車が走っている風景が映る。これは気づかなかった。アレンデールは、少なくとも鉄道が敷かれている程度には文明国なのだ。自動車はないようだが。

アナと雪の女王/家族の思い出」は二作目のスピンオフで初見。内容的には可もなく不可もなくといったところ。

下世話な話だが、出演者のイディナ・メンゼルやクリスティン・ベル、吹き替えの松たか子や神田沙也加は、この短いスピンオフ作品でいくらくらいのギャラをもらっているのだろう。本編の歴史的な大ヒットに見合う報酬が、ちゃんと支払われていると良いと思う。

NHK「家康、江戸を建てる」後編〜金貨の町〜(NHK)

出演

雑感

  • 貨幣の流通に関する話。このような話は聞いたことがなかったため、前日に引き続き大変興味深かった。
  • ただしドラマとしては、詰めが甘いというか、疑問に感じる箇所があちこちあり、前編ほどではなかったな、というのが率直な感想。
    • ラス前の早紀と庄三郎のやりとりのシーンが長過ぎる。早紀が、嫁に行ったあとも庄三郎からの手紙を大事に持っていたことがわかっただけで十分。その手紙を最初から最後まで読み下す必要があったかどうか。
    • 早紀から手紙の返事がしばらく来なかったが、再び来るようになって喜ぶ庄三郎。だが、それは落ち込む庄三郎に胸を痛めた栗が、勝手に書いたものだった。……文字を見れば別人が書いたものであることは一目瞭然だと思うのだが。
    • 駿府で太閤殿下が作らせた金貨が出回ったとの報が江戸に届き、先を越されてはすべてが水の泡になるため激怒した家康が、庄三郎に、与一郎が漏らしたのではないかと問いただし、責任を取って切腹を申し付ける。この時、庄三郎は問題の金貨を見せ、こんな粗悪な貨幣は広まらないと訴えるのだが、なぜこんなに都合よく庄三郎は金貨を入手できたのか。などなど。

俳優

  • 伊原六花の名前には覚えがあるが、顔はわからないなあと思ったら、府立登美丘高等学校のダンス部のキャプテンだった子かあ。

(2019/1/6 記)

NHK「家康、江戸を建てる」前編〜水を制す〜(NHK)

出演

スタッフ

雑感

  • 非常に面白かった。自分はかねがね、歴史の授業で戦国時代を取り上げる際に、各戦国大名の領有支配についてもう少しきちんと説明がなされてしかるべきだと思っているが、軍事と外交ばかり。これは多くの歴史ドラマでも同様だが、本作は家康の治水灌漑という政策をまともに取り上げた。
  • 大久保長安伊奈忠次なんて名前は知らなかったなあ。井伊直政今井朋彦で笑ってしまった。しかし、なぜここに酒井忠次がいないのだろうか?【追記】酒井忠次は1588年に隠居し家督を家次に譲っている。徳川の江戸入りの時点では京都に住んでいたが、眼病のためほとんど目が見えなかった。(2023-10-02)
  • 大久保藤五郎は、この事業は自分一人に任せてほしいと家康に頼み込む。しかし、このようなおおがかりな工事は、とても一人や二人で何とかなるようなものではなかろう。途中、優香が作業員に握り飯を振る舞うシーンがあったが、女一人で(娘も手伝ったかも知れないが)作れる握り飯でまかなえる程度の人数で作業をしていたら、何年かけても終わるはずがない。大勢の人足を投入し、その食事の用意、衣服の支給、宿泊所の手配、娯楽の提供なども含め、数百人、あるいは千人を超える人手を動かす仕事であり、膨大なお金が動く。相当な力のある大大名が担当しなければ全うできるとは思えず、その意味で大久保長安がやりたがったのはあながち間違いではない、と思う(妨害工作は、いただけないが)。
  • 家康もいろいろと考えているようで、長安が藤五郎を家康に会せないように画策していることがわからず、「合わせる顔がないとのことです」という説明を真に受け、「会いたいのう」などと言っているようでは、まだまだ……?

俳優

  • 藤野涼子は何度も見ていて知っているはずだが、顔にも名前にも覚えがなかった。
  • 千葉雄大は、名前を知っているし顔も覚えがある気がするのだが、どこで知ったのかがわからない。彼の出演作で見たことがあるのは、TVドラマでは「平清盛」(高倉天皇)、映画では「幕末高校生」(沼田慎太郎)、「殿、利息でござる!」(千坂仲内)のみなのだが。

(2019/1/6 記)

安楽椅子探偵ではなかったのか?「ビブリア古書堂の事件手帖」

題名ビブリア古書堂の事件手帖
原作三上延
監督三島有紀子
出演■現代/野村周平(五浦大輔)、神野三鈴(大輔の母)、渡辺美佐子(大輔の祖母)、黒木華(篠川栞子(しおりこ)、ビブリア古書堂店主)、桃果(篠川文香、栞子の妹)、成田凌(稲垣、古書店仲間)

■回想/夏帆(五浦絹子)、高橋洋(絹子の夫)、東出昌大(田中嘉雄)、他
公式サイト映画『ビブリア古書堂の事件手帖』絶賛上映中!
主題歌サザンオールスターズ「北鎌倉の思い出」
制作日本(2018年11月1日公開)
時間121分
劇場TOHOシネマズららぽーと横浜(スクリーン5)

概要

  • 五浦大輔の祖母が亡くなり、遺品を整理している時に、夏目漱石の「それから」に目を留める。幼い頃、この本を許可なくさわってひどく怒られたことがあるのだ。手に取ると夏目漱石自身のサインがある。これは価値あるものかも知れないと思い、ビブリア古書堂を訪れて栞子と出会う。
  • 栞子は本を一瞥しただけで、サインが偽物であること、大輔が祖母に怒られたことを看破し、さらに祖母の人に言えない秘密にも気づく。栞子の洞察力に驚いた大輔は、ビブリア古書堂で働くことになる。
  • 栞子は、古書店仲間の稲垣と仲が良く、会えば話が弾んで途切れることがない。その話に入っていけない大輔は面白くない。
  • ビブリア古書堂にある最も高価な本は、太宰治の「晩年」の初版本、しかも署名入りのアンカット本だ。栞子は大庭葉蔵と名乗る男からこの本を譲ってくれるようしつこくつきまとわれ、ついに大けがを負わされてしまう……。

雑感

  • 古書を一目見ただけで持ち主の過去の不倫までをたちどころに見抜いてしまう洞察力や論理的思考力のある栞子が主人公なのだから、これは安楽椅子探偵もののミステリードラマなのかと思ったら違った。だって大庭葉蔵の正体は誰が見たってあの人しかいないのに栞子は(大輔も)それに気付かないのだ。そんなバカなミステリーがあるか。
  • 一方、回想シーンが異様に長い。こちらが本編なのかと思うくらいだ。絹子は、最初は、人懐こいただの定食屋の店員(亭主の女房だが)。田中嘉雄にも最初は客として愛想よく接するが、徐々に心惹かれていく演技が絶妙だった。
  • 絹子は、元々は恐らく文学少女だったのだろう。女学生時代は、小説を読んだり、映画を見たり、その感想を友人と言い合ったりすることが何より楽しかったに違いない。が、縁あって定食屋に嫁ぎ、以後は買い物、仕込み、接客、掃除などに忙殺される日々。亭主は働き者だし、店もソコソコ流行っていてまあお金にも不自由はしない。何も文句をいう筋はない、幸せな生活だ。そんな中で心の奥底に封印していたことが、田中嘉雄との出会いで表に出て来てしまったのだろう。こうなったら誰にも止められない。
  • 野村と黒木のダブル主演と喧伝されているが、本当の主役は夏帆。「タイムスクープハンター」の頃に比べて、いい役者になったなあ。

監督

(2019/9/18 記)

押し付けられた感動は厭だけど「コーヒーが冷めないうちに」

有村架純主演映画。四回泣けます、などと盛んに喧伝されていて、そういう押し付けられた感動は厭だなと思ったが、少なくとも一回は確かに泣けた。

題名コーヒーが冷めないうちに
原作川口俊和
監督塚原あゆ子
出演有村架純(時田数)、高松咲希(時田数:幼少期)、石田ゆり子(数の母)、深水元基(時田流、数の従兄・喫茶「フニクリフニクラ」店主)、伊藤健太郎(新谷亮介、数の夫)、山田望叶(未来、数の娘)、波瑠(清川二美子、喫茶店の客)、林遣都(賀田多五郎、清川二美子の幼馴染)、吉田羊(平井八絵子、喫茶店の客)、松本若菜(平井久美、八絵子の妹)、薬師丸ひろ子(高竹佳代、喫茶店の客)、松重豊(房木康徳、佳代の夫)、他
公式サイト映画「コーヒーが冷めないうちに」公式サイト
制作日本(2018年9月21日公開)
時間116分
劇場TOHOシネマズららぽーと横浜(スクリーン11)

概要

  • 時田流が経営する喫茶店「フニクリフニクラ」には、ある条件を満たすと過去に戻ることができるという都市伝説がある。それは都市伝説ではなく事実だが、失敗すると現世に戻って来られず幽霊となってしまう。店内にはそうした幽霊が存在し、ある席にずっと座り続けている。
  • 話中では、清川二美子、平井八絵子、房木康徳が過去へ戻るオムニバス短編で、最後に時田数が過去に戻るエピソードが全体を締める。それで「四回泣ける」ということなんだろうが、清川二美子、賀田多五郎、平井八絵子らがやーな性格で、本質は悪い人ではないのかも知れないけど、人の神経を逆なでするようなしゃべり方を平気でする人たちで、物語の前半はムカムカしながら見ていた。時々画面に出てくる有村架純が唯一の癒し。
  • 高竹佳代のエピソードは泣けたなー。松重豊も良かったけど、なんといっても薬師丸ひろ子の圧倒的な存在感。有村架純も30年経ったらこんな風になれるか。
  • 時田数のエピソード(特に母との再会)は一番感動するところなんだろうけど、もったいぶられ過ぎてそこまでではなかった。むしろ娘の未来の奮闘ぶりが可愛い、微笑ましいエピソードだ。

有村架純、初のキスシーン

  • 伊藤健太郎とキスするシーンは、キスしているように見えるけど本当は唇を合わせていないな、と思ってほっとしたが、二度目のキスでははっきり唇を合わせていた。ああいうものを見ると心中穏やかではないけれど、伊藤健太郎は好青年だったので、許す。
  • 有村架純は、既にキスシーンは何度かこなしているはずだが、僕が見たのは今回が初めてという意味。

監督

(2019/8/23 記)

TBS連続ドラマ「この世界の片隅に」第五話

出演

粗筋

  • 浦野要一戦死の知らせが届き、遺骨が返って来る。葬式のあと、うっかり十郎が骨壺を落としてしまうが、中から出て来たのは骨ではなく石だった。
  • 水原哲が入湯上陸し、北條家にすずを訪ねてきた。
  • 周作は水原に、母屋には泊められないと納屋に追い立てるが、すずに「積もる話もあるだろう」と納屋へ行かせる。おまけにすずが家を出ると家に鍵をかけて(すずを締め出して)しまう。すずは、鍵をかけられたことに気付いた……
  • 現代編、近江佳代は(かつてすずの住んでいた)古民家に住むにあたって、権利者に許可を取ったという。その相手が北條節子だった。節子の謎は恐らく次回に明かされる(はず)

雑感

  • 原作で一番謎のエピソード。
  • アニメでは原作に輪をかけて謎だったが、アニメではりんとのエピソードをばっさり落としているため話がつながらなくなっているのだろうと思った。ていねいに(過剰に)説明し過ぎるきらいのある本ドラマでは理由を明確に語るかと思ったが、自分の理解の及ぶ範囲では説明はほとんどなかった。
  • 周作が初めて(それと知らずに)会った時の哲は、礼節のある、好人物であった。しかしこの日の哲は、他人の女房をつかまえて「すず」「すず」と呼び捨てにし(周作でさえ「すずさん」と呼んでいるのに!)「ここじゃただのボンヤリでしょう、遠慮のう言うてくださりゃ連れて帰ります」など、たとえ実の兄でも口にすべきではない、失礼な物言いをする。周作が怒るのも当たり前である。
  • ただし仮にも兵隊さん、無碍にはできない。それが「納屋に泊める」という判断なのであろう。ここまではわかる。
  • わからないのはすずを差し出したことである。夜に男が一人で泊まる部屋に行かせたのである。おまけに母屋に鍵をかけてしまったのだから、周作の意図は明らかである。なぜ女房を差し出すような真似をしたのか?
  • この当時、死地に向かう兵隊に対してこうしたもてなしをするのが常識だったのか? それとも哲と仲のよさそうに話をしているすずを見て、すずも本当はこの人の嫁に行きたかったのではと勝手に気を回した結果か? もし夫公認でよその男と一夜を過ごした嫁、などということが近所の噂にでもなったら、大変なことになると思うが……
  • 北條節子登場。すずの娘か? 径子が再婚して出来た子、という可能性もなくはないが……

(2018/8/17 記)